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SUPER GT RACE REPORT

2011年 SUPER GT 第5戦 SUZUKA <決勝>

2011年8月21日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/平手晃平
決勝総合結果 14位
<決勝> 天候:雨|コース状況:ウェット

2011年 SUPER GT 第5戦 SUZUKA <決勝> ドライの公式練習、予選1回目と好調であったものの、急転直下ウエットとなった予選2回目ではマシンバランスに苦しみ、Q3進出を果たせず予選11番手にとどまった#38 ZENT CERUMO SC430。上位グリッド獲得が期待されていただけに無念の結果となってしまったわけだが、今大会は500kmと長丁場での戦いである。さらに不安定な天候も予想されていることから、決勝での挽回はまだまだ充分に可能であるだけに、決勝を前にした最後の走行時間である、45分間で行われる朝のフリー走行はセットアップを煮詰めるためにも貴重な走行時間となるが、午前10時の走行開始を前に鈴鹿サーキットは激しい雨に見舞われる。

 早朝には雨が小康状態となっていたことから、やや乾き始めたかに見えた路面も見る間にヘビーウエットに。雨がひと段落した午前10時、LEXUS TEAM ZENT CERUMOは、昨日苦戦したウエットでのバランス改善を期して、セッション開始と同時に全車のトップを切って立川をコースインさせた。

 ピットを離れた立川は、コンディションを確かめつつゆっくりとタイヤを温める。2分23秒というスローペースで計測1周目を終えた立川は、翌周も2分22秒台で周回。しかし、その翌周には一気にスパートをかけるように、2分12秒056をマークし、#38 ZENT CERUMO SC430をモニターの3番手に押し上げる。

 この翌周にピットに戻った立川は、#38 ZENT CERUMO SC430にセットアップ修正を加えると、午前10時20分に再びコースイン。雨量が減り、徐々に好転し始めるコース上では、ライバル陣営が2分08秒台と速いラップを刻むが、#38 ZENT CERUMO SC430は立川から平手に交代しつつ、決勝への準備を整えて行く。

 2011年 SUPER GT 第5戦 SUZUKA <決勝>結局このセッションは13番手となった#38 ZENT CERUMO SC430だが、この後に設けられたサーキットサファリの時間帯には平手がステアリングを握り、2分10秒436にまでタイムアップ。午後3時10分の決勝スタートに向け、入念な準備を行ったLEXUS TEAM ZENT CERUMOは、いよいよ500kmの長い戦いに臨むこととなった。

 午後2時10分、雨が降り続く中ウォームアップ走行がスタート。最初のスティントを担当する立川が#38 ZENT CERUMO SC430を駆って真っ先にコースイン、僅か8分しかないものの、決勝前のフィーリングチェックを行う。ここで2分11秒383までタイムを伸ばした立川は、このウォームアップで4番手とまずまずの手応えを得たもののピットに戻って、シフトの不具合を訴える。すぐにでも修復に掛かりたいスタッフだったが、コースインまで時間もないことから、このまま#38 ZENT CERUMO SC430をグリッドに送り出し、ダミーグリッド上で修復作業を行うことに。

 メカニックたちが取り組んだ必死の作業のお陰で無事スタートまでに修復を終えた#38 ZENT CERUMO SC430は、午後3時10分にスタートした1周のフォーメイションの後、いよいよ決勝のスタートを切った。

 スタートでジャンプアップを狙った立川だったが、逆にタイヤのウォームアップに上回っていた後続の#24 ADVAN KONDO GT-Rの先行を許し、1周目は12番手とひとつポジションを下げる。

 さらに、#38 ZENT CERUMO SC430は深溝のレインタイヤをチョイスしていたものの、雨量が減り路面が乾き始めたために、4周目には浅溝を履く#32 EPSON HSV-010に後塵を拝した立川は13番手となるが、5周目には早くもペースの鈍った#24 ADVAN KONDO GT-Rをパスし12番手に復帰。ここから前を行く#6 ENEOS SUSTINA SC430とテール・トゥ・ノーズの攻防を続け、16周目にはスプーンで僅かにコースオフした#6 ENEOS SUSTINA SC430をかわし、11番手に浮上を果たす。

  この間、立川とピットは無線でコミュニケーションを取り、LEXUS TEAM ZENT CERUMOは予定していた通り早めのピットインを決断。18周終了時にGT500のトップを切って立川をピットに呼び寄せ、給油とタイヤ交換を済ませると、平手をコースに送り出す。

 既に10周を過ぎた辺りから、路面は浅溝がベストの状況だったことを受け、浅溝を履いてコースインした平手は、いったん14番手あたりまでポジションを下げるも、早めにピットインした作戦が奏功し、#6 ENEOS SUSTINA SC430、#17 KEIHIN HSV-010らを相次いでパス。21周目には11番手に早くも返り咲く。

 タイヤの温まった平手は、21周目に2分08秒667、翌22周目には2分08秒503とベストラップを更新しながらハイペースで飛ばす平手は、さらに10番手に躍進するものの、その背後には#17 KEIHIN HSV-010が、じりじりと迫って来る。

 こうした状況で迎えた27周目、ヘアピンにアプローチしようとした平手の前にペースの遅いGT300マシンが出現。これをオーバーテイクしようとインから並びかけた平手だったが、ここでヘアピン正面のポストから黄旗が提示されているのに気付きペースダウン、GT300の追い越しを中断した。ところが、この黄旗を見落としたのか、#17 KEIHIN HSV-010は平手に追突。#38 ZENT CERUMO SC430はスピン状態となり、イン側のコンクリートの壁に接触してしまう。ヘアピンイン側のグリーン上でリヤタイヤを空しく空転させる#38 ZENT CERUMO SC430が映ったモニターを、ピットのスタッフたちは悔いるような視線で見つめるものの、ここからの脱出に手間取ってしまった#38 ZENT CERUMO SC430は、なんとか平手がピットイン、簡単な修復を終えてレースに復帰も、ここで無念の周回遅れとなってしまう。

 500kmの長丁場ゆえに、まだまだ挽回は可能と思われたものの、スピンを喫した際に#38 ZENT CERUMO SC430はフロント部分にダメージを受けており、急激にバランスが悪化。平手は思うようにペースが上げられず、セーフティーカー導入など荒れた展開を見せるレースを後目に、マシンとの格闘を強いられることに。

 2011年 SUPER GT 第5戦 SUZUKA <決勝> ポジションも14番手となってしまう中、周回を重ねるもフロント周りのパーツが脱落しかけた#38 ZENT CERUMO SC430は、54周終了時にドライバー交代のためピットイン。ここでメカニックがダメージを修復しようとマシンをチェックしたものの、もう既にパーツは脱落しており、そのまま立川はピットアウトする。

 コースに戻った立川だったが、ダメージの影響でバランスが悪化しており奮闘を続けるも、ペースは上位陣には遠く及ばない。とにかく完走を果たすべく、必死の走行を続けた#38 ZENT CERUMO SC430だったが、結局14位のままチェッカーを受けることとなった。

 予期せぬアクシデントに見舞われ、失意のレースに追い込まれたLEXUS TEAM ZENT CERUMO。レース後、#17 KEIHIN HSV-010のドライバーが謝罪に訪れたものの、失ったレースは戻りはしない。あまりにも大きな痛手を負わされた#38 ZENT CERUMO SC430は、次戦の富士はシリーズ争いに踏みとどまるために、文字通り背水の陣となってしまった。

ドライバー/立川 祐路
「今週はウエットでのバランスが今ひとつだったので、厳しい展開を覚悟していたものの、序盤着実に走って順位を上げていけたし、ピットタイミングも良かったのですが、アクシデントが起こってしまって残念です。黄旗の出ている状況で追突されたということですが、結果としてその瞬間に今週末の僕たちのレースが終わってしまったと思います。苦しいながらも着実にポイントを獲りに行こうとしていただけに悔しいですが、あのアクシデントのダメージで後半はもうレースを戦える状態ではなくなってしまいました。次は得意の富士ですから、大量得点を狙いたいですね」

ドライバー/平手 晃平
「立川さんから引き継いで自分は浅溝でコースインしたのですが、フィーリングもタイムも良かったですし、恐らく良いポジションに行けたと思います。しかし、ヘアピンで周回後れを抜きに行ったところで黄旗に気付き、減速したところ後ろからかなりの勢いで追突され、イン側の壁にヒットしてしまいマシンに大きなダメージを負ってしまいました。フロント周りのパーツが壊れたことで、もの凄くアンダーステアが強くなり、とてもドライブしづらい状態になって……。自分としては避けようの無いアクシデントでしたが、ここ2戦結果が残せていないので申し訳なさも感じています。次の富士では必ず汚名を返上したいと思います」

監督/高木虎之介
「今回はドライでは調子が良かったですし、決勝では雨でもスタートしてからの展開もまずまずだったんですが……。立川から平手への交代のタイミングも良く、早めのピットインでうまくポジションを上げることが出来た矢先、黄旗区間で追突されてしまい、残念というしかありません。前回の菅生もそうでしたが、何かしらアクシデントに遭うことが多く気がかりです。コース上でのことはドライバーたちに気をつけてもらうしかありませんが、もうシリーズ争いに生き残るためには、次の富士は優勝しなければなりませんし、とにかく勝ちにこだわった戦いをしに行きます」