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SUPER GT RACE REPORT

2011年 SUPER GT 第7戦 AutoPolis <決勝>

2011年10月2日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/平手晃平
決勝総合結果 3位
<決勝> 天候:曇り|コース状況:ドライ

2011年 SUPER GT 第7戦 AUTOPOLIS <決勝> 決勝日を迎えた阿蘇外輪山のオートポリス上空は、土曜とは打って変わってどんよりとした曇り空。気温 15 度と肌寒いほどの冷え込みとなったこの日、LEXUS TEAMZENT CERUMO は午前9 時20 分のフリー走行を前にピットストップ作業のシミュレーションを入念に行うなど、朝早くから決勝での追い上げを期してしっかりと準備を整える。

 前日の予選ではスーパーラップに進出も、10 番手に留まった#38 ZENT CERUMO SC430 は、マシンバランスにはまだまだ改善すべき点もあり、決勝を前にしたフリー走行では決勝を想定したセットアップ作業など、やるべきことも多い。このため、平手がステアリングを握った#38ZENT CERUMO SC430 午前9 時20 分のセッション開始と同時にピットを離れた。

 コースインした平手は、計測1 周目を1 分48 秒539 とすると、翌周には1 分44 秒586 で3 番手に。そこから1 分45〜46 秒というラップタイムで周回を重ねた平手は、午前9 時34 分にピットイン。一旦ガレージの中に収められた#38 ZENT CERUMO SC430 は、メカニックたちの手によってセットアップ修正を施されると、再び平手のドライブでコースに復帰。1 分46 秒058 にまでタイムを上げると、今一度ピットに向かった#38 ZENT CERUMO SC430 は、早くも残り3 分ほどとなったセッション終盤にピットアウト。このままチェッカーを受けた#38 ZENT CERUMO SC430 は、最終的にセットアップとタイヤ評価をこなし、8 番手というポジションでフリー走行を終了。このセッションではドライブしなかった立川も、この後に行われたサーキットサファリの時間帯にフィーリングを確かめると、LEXUS TEAM ZENT CERUMO は決勝前のすべての走行を終えることとなった。

 慌ただしくピットウォークを終え、サポートイベントのGT ASIA のレースが終了した午後零時55 分、早くも決勝に向けたスタート進行が始まった。8 分間のウォームアップに臨んだのはスタートドライバーを務める平手だ。

 ウォームアップを終え、決勝への最終チェックを終えた#38 ZENT CERUMO SC430 が向かったのは、イン側の9 番グリッド。朝のフリー走行で黄旗追い越しをしてしまった#1 ウイダー HSV-010 が、6 番グリッドから降格されたため、#38 ZENT CERUMO SC430 のスターティンググリッドがひとつ繰り上がったのだ。グリッド上でスタート進行を待つ間、リラックスした表情を見せる平手。

 気温 17 度、路面温度24 度となって迎えた午後2 時のフォーメイションスタート。平手はゆっくりとタイヤを温めると、午後2 時04 分、ついに54 周の決勝をスタートした。

 惜しくも1 周目の混乱の中で#36 PETRONAS TOM'S SC430 の先行を許し、10 番手で1 周目を終えた平手は、背後に迫る#23 MOTUL AUTECH GT-R と接戦を演じる。3 周目の1 コーナーではインを奪われかけた平手だったが、返す刀で3 コーナーでは10 番手のポジションを奪い返す。

 4 周目に1 分44 秒556 の自己ベストをマークした平手だったが、5 周目には#23 MOTUL AUTECH GT-Rの先行を許し11 番手に後退。さらに攻防の中で平手は9 周目に最後尾にまでドロップしてしまう。実はこのとき、既に#38 ZENT CERUMO SC430 のリヤタイヤは消耗が進み始め、ペースが苦しくなって来ていたためだった。しかしこれは予想外ではなく、LEXUS TEAM ZENT CERUMO は朝のフリー走行での結果を踏まえ、スタートで履くタイヤのライフが短い可能性を予見しており、状況に応じて1 ストップから2 ストップに作戦を切り替えるという2 段構えの戦略を用意していた。

 瞬時に2 ストップ作戦に方針転換した高木監督以下、LEXUS TEAM ZENT CERUMO は10 周目に平手を呼び寄せ、予定通り状態の良くないリヤのみ2 輪を交換する。同時にピットインした#6 ENEOS SUSTINA SC430は8 番手を走行していたものの、4 輪を換えたこともあり、ピットで逆転した#38 ZENT CERUMO SC430 が先にコースに復帰する。

 2011年 SUPER GT 第7戦 AUTOPOLIS <決勝> 14 番手でレースに戻るも、リヤのみニュータイヤを履いたために序盤こそバランスに手こずった平手だったが、タイヤが温まってくると1 分44〜45 秒台のハイペースで周回し始める。先行するマシンたちは1 分50 秒に届くほどのペースダウンをしていることもあって、平手は見る間に30 秒近かったギャップを削り取って行く。先行したマシンたちがピットインを行い始めた18 周目には12 番手、19 周目には10 番手と、早くもポイント圏内に復活。21 周目には#35 D'STATION KeePer を捕らえるなどして8 番手と、ライバルたちのピットインを後目に見る間にポジションアップを果たした#38 ZENT CERUMO SC430 は、なんと28 周目にはトップに躍り出る。

 無線でマシンとタイヤの状態を刻一刻と交信しながら、ピットのタイミングを計っていたLEXUS TEAM ZENT CERUMO は、34 周目についに平手をピットインさせる。ここでスタッフは4 輪タイヤ交換と給油を行うと、残り20周を立川に託すことになった。

 #17 KEIHIN HSV-010 の後ろ、6 番手でピットアウトした立川は、タイヤが温まると周囲を大きく上回るペースで周回し始めると、38 周目にはもう#17 KEIHIN HSV-010 とテール・トゥ・ノーズに。激しく抵抗する#17 KEIHIN HSV-010 を40 周目の3 コーナーで仕留め、5 番手に浮上した立川は、41 周目には自己ベストとなる1 分44 秒951 をマークするなど、平手同様怒濤の追い上げを見せる。

 数秒開いていた4 番手の#36 PETRONAS TOM'S SC430 に見る間に詰め寄った立川は、ついに44 周目、その差をコンマ3 秒と射程に収める。47 周目の第2 ヘアピンではいったん前に出たものの、イン側で粘る#36 PETRONAS TOM'S SC430 を抜き切れなかった立川だが、49 周目の3コーナーでは狙いすましたようにインを奪ってオーバーテイク。これで#38 ZENT CERUMO SC430 は4 番手に躍進することに。

 この時点でトップ3 台は30 秒近く先行していたため、LEXUS TEAM ZENT CERUMO も立川も“追撃もここまでか……”と4 番手でのフィニッシュを想定していた53 周目、なんと2 番手を走行していた#39 DENSO SARD SC430 がトラブルでストップ。労せずして3 番手に浮上することとなった#38 ZENT CERUMO SC430 は、そのまま3 番手でのフィニッシュに。

 2011年 SUPER GT 第7戦 AUTOPOLIS <決勝>急遽2 ストップに作戦を切り替えたことが奏功し、ともすれば大苦戦となる可能性もあった決勝を、見事3 位表彰台で締めくくることとなった#38 ZENT CERUMO SC430。残念ながら#23 MOTUL AUTECH GT-R が優勝し、#46 S Road MOLA GT-R が2 位に入ったため、シリーズチャンピオンという可能性は消えてしまったが、残る最終戦のもてぎでもここ2 戦続いている好調をキープし、今季2 勝目を目指したいところだ。

 

ドライバー/立川 祐路
「作戦がうまく行った、これに尽きますね。スタートで履くタイヤの状況が良くなかったので、あらかじめこういう事態は想定していましたし、チームがうまく対応してくれた結果だと思います。僕のスティントとしては、さほど無理をしたというようなことは無く、タイヤの状態が周りより良く、ペースが速かったので当たり前と言えば当たり前かなと。僕は平手が2 回目に履いたリヤタイヤと同じ仕様のものを4 本換えて出たのですが、こちらの予想どおりのパフォーマンスでした。終盤のバトルでも、こちらの方が良い状況でバトルしているので、オーバーテイクはそれほど大変というわけではなかったですが、4 位より前は離れていたので、これ以上は届かない状況だったのですが、最後はラッキーもあって3 位になれました。残念ながらチャンピオンの可能性は無くなってしまいましたが、その分もてぎでは思い切ったレースをしたいですね」

ドライバー/平手 晃平
「スタートで履くタイヤが、フリー走行で確認したら4〜5 周でパフォーマンスが大きく落ちてしまうことが分かっていたので、2 ストップは予定に入っていましたし、もう一方のタイヤの方が安定して良いペースで走ることが出来るということも確認済みでしたから、早くピットに入っても慌てること無く追い上げて行くことが出来ました。最初は凄いアンダーステアで苦しんだのですが、コクピット内でスタビを調整したりした結果、すぐにフィーリングも安定してくれて、良い走りが出来たと思います。立川さんに繋ぐ2 回目のピットインのタイミングは、僕から無線でチームにタイヤの状況を伝えつつ、タイミングを決めましたが、3 位にまで行けるとは思いませんでしたね。ポイントではレクサス勢のトップで最終戦に臨めるので、気分も良いですし、最終的にシリーズランキングで少しでも上位で終われるよう頑張ります」

監督/高木虎之介
「10 周という短い周回でピットに入ることとなったわけですが、あの作戦もスタート前に既に選択肢の中に入れていたもので、うまくいけば走り続けて通常の1 ストップになるけれど、状況によっては最短ならGT300 に引っ掛かり始める7〜8 周目くらいで入るかもしれないと想定していました。スーパーラップで使用したタイヤでスタートしなければならなかったのですが、そのタイヤではあまり長い周回はこなせないだろうという読みがありましたからね。リヤのみ交換で6 号車の前に出ることも出来ましたし、二つ目の作戦でチームとしてもうまく対処できたと思いますし、その後の平手も良いペースで走ってくれました。6 位以内に行ければと思っていましたが、まさか4 位、さらに表彰台までは予想してませんでしたね。最終戦のもてぎではウエイトも無くなりますし、ドライバーに頑張ってもらって良い流れで終わりたいですね」