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SUPER GT RACE REPORT

2012年 SUPER GT 第3戦 SEPANG <決勝>

2012年6月10日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/平手晃平
決勝総合結果 2位
<決勝> 天候:晴れ時々くもり|コース状況:ドライ

2012年 SUPER GT 第3戦 SEPANG <決勝> 惜しくもポールポジションこそ逃したものの、46kgものウエイトを跳ねのけて堂々のフロントロウを獲得したLEXUS TEAM ZENT CERUMO。土曜は終日セットアップの仕上がりも良く、非常に安定感のある一日となったわけだが、曇りがちで南国マレーシアとは思えないほどの過ごしやすい気候となった反面、気温や路面温度の上昇が見込まれる決勝ではさらなるマシン熟成が欠かせないところ。迎えた日曜朝のフリー走行は、若干雲は残っているものの予想どおりの明るい日差しがサーキットを照らす中で始まった。

 午前9時40分から午前9時57分まではサーキットサファリ、その後午前10時27分までの30分間はフリー走行、そしてさらに午前10時35分から午前10時52分まで再びサーキットサファリが行われるという変則的なタイムスケジュールとなった日曜朝。LEXUS TEAM ZENT CERUMOはまずは午前9時40分からのサファリ前半はドライバー交代などのピットシミュレーションをこなし、そこから立川がステアリングを握って決勝に向けたセットアップ作業を進めて行く。

 サファリの時間帯にはバスがコース上に入っているため、ラップタイム的には2分前後と遅かった#38 ZENT CERUMO SC430だが、午前9時57分にサファリが終了しフリー走行が始まると、立川は一気にペースアップ。開始5分の段階で1分58秒320と、その時点でのトップタイムを刻んで行く。しかし、その直後にピットインした#38 ZENT CERUMO SC430は、チームスタッフの手によってさらなるセットアップ変更を受け、再びコースへ。

 ここで再び1分58秒607というまずまずのラップタイムをマークした立川だったが、この直前にタイヤ脱落に見舞われてグリーン上にストップしたGT300車両を移動するため、セッションは午前10時15分に赤旗中断に。

 この中断の間にLEXUS TEAM ZENT CERUMOは立川から平手にドライバーを交代。午前10時31分に再開後、残り10分のセッションでは平手ステアリングを握り、1分58秒705とこちらもまずまずのラップタイムをマークしチェッカー。このフリー走行での#38 ZENT CERUMO SC430は5番手となったが、続く2回目のサファリの時間帯も精力的に周回を重ね、LEXUS TEAM ZENT CERUMOは決勝への準備を整えることとなった。

2012年 SUPER GT 第3戦 SEPANG <決勝> 眩しい日差しが照り付け、ようやくマレーシアらしい暑さとなった午後4時についに決勝のフォーメイションラップがスタートした。#38 ZENT CERUMO SC430のスタートドライバーを努めるのは平手。隊列が整わなかったためか、通常より1周長い2周のフォーメイションラップとなったため、決勝は1周減って53周の戦いに。そして午後4時08分、戦いの火ぶたが切って落とされた。

 トップの#18 ウイダー HSV-010に続き、アウト側から1コーナーにアプローチした平手は、2番手をキープしながらオープニングラップを終える。前を行く#18 ウイダー HSV-010は1周目からプッシュし、いきなり1秒2のギャップを#38 ZENT CERUMO SC430に対して築くが、平手も早々に1分58秒台に突入するなど、18号車の独走を許さない。

 周回後れを処理しながら、3位以下をじりじりと引き離しての攻防を続ける18号車と#38 ZENT CERUMO SC430。ややペースに勝る#18 ウイダー HSV-010がその差を約3秒に拡大も、そこから平手も踏ん張り両者の差はこう着状態に。高い路面温度に決してマシンバランスの良くない平手だが、23周目には2.2秒差、24周目には1.8秒差に詰め寄るなど、ウエイトを感じさせない見応えのある首位争いを見せる#38 ZENT CERUMO SC430。

 徐々にレースの折り返しが近づく中、ピットでは高木監督、村田エンジニア以下チームスタッフが18号車に先んじるピットインを決断。平手は26周終了時にピットに滑り込んで来る。ここでチームは36秒9という素早い給油とタイヤ交換作業を終え、平手から交代した立川をコースに送り出す。

 これを見て、トップの18号車も翌周にピットイン、小暮選手からカルロ・ヴァン・ダム選手にバトンを託す。相手も同様のピットタイムとなったことから、18号車がコースインしたときには、立川の駆る#38 ZENT CERUMO SC430は最終コーナーを立ち上がったばかり。ストレート半分ほどの差で28周目に突入した2台だが、先にピットアウトしタイヤの温まっている立川は、見る間に18号車との間合いを切り取って行くと、30周目にはその間隔は僅か0.3秒差に。

 テール・トゥ・ノーズ状態となった18号車と#38 ZENT CERUMO SC430。一気にトップを奪うチャンスが訪れたかに思われたが、18号車もタイヤが温まると1分59秒台のハイペースで周回。立川も僅差で追走を続けるものの、なかなかブレーキングでインを突くまでには近づけない。コンマ数秒差の攻防が続いたものの、ウエイトの重さが響いた上、雲が出始めて路面温度が下がり始めたことが影響しマシンバランスがやや悪化したために、40周あたりからじりじりと両者のギャップは開き始めてしまう。

2012年 SUPER GT 第3戦 SEPANG <決勝> 最後まで諦めずに前を追った立川だったが、残念ながら最後までチャンスは訪れぬまま#38 ZENT CERUMO SC430は2位でチェッカーを受けることに。惜しくも優勝を逃し、前日の予選同様悔しげな表情を浮かべた立川だったが、このセパンでウエイトを感じさせない好レースを展開したLEXUS TEAM ZENT CERUMOは、大量15ポイントを加算し見事ランキングトップに躍り出ることとなった。

 次戦はレクサス勢が得意とする菅生だけに、#38 ZENT CERUMO SC430にはトップハンデをものともしない今回同様のレースを再び見せてもらいたい。


2012年 SUPER GT 第3戦 SEPANG <決勝>ドライバー/立川 祐路
「平手から引き継いだ後、序盤は向こうが周回遅れに引っ掛かったりしたこともあり、真後ろまで行けたのですが、相手とのウエイト差が響いたのか、どうしても抜くまでには行けませんでしたね。もの凄くムリをすればインに飛び込めたのかもしれませんが、そこまでリスクを負うわけにも行かなかったですし……。そういう状況の中、後半になって路面温度が下がって来たところでアンダーステアが酷くなってしまって。スタート前に路面温度がかなり上がったことでリヤを気遣ってセットアップを変えたのですが、路面温度が下がってそれがかえって悪い方向に出てしまったようで、それで最後は前を追えるような状況ではなくなってちょっと個人的には悔しいですね。けれど、チームとして考えれば、ここでの2位というのは大きいと思います。特にこのセパンではずっと厳しい戦いをしてきましたから、セパンでここまで戦えるという手応えを得られたのも大きかったですね」


2012年 SUPER GT 第3戦 SEPANG <決勝>ドライバー/平手 晃平

「今季ここまでで一番高い、50℃を超えるような路面温度でのスタートとなったのですが、なんとか前を行く18号車の小暮選手に着いて行こうと頑張りました。朝のフリー走行などを踏まえ、決勝を想定してセットを調整していったのですが、予想以上に路面温度が高かったためかオーバーステア傾向が出てしまい苦しい面がありましたが、恐らく小暮選手も出来るだけギャップを作って交代したいと思って頑張ってプッシュしていたでしょうから、こちらはそれをさせないように、と食らいついて行った感じです。後半の立川選手の時には路面温度がさがったせいかアンダーステアになったようですから、セットアップについては非常に難しい状況だったんだと思います。しかし、もっと苦戦するかもしれないということで迎えたセパンで2位表彰台を獲れて、ポイントリーダーとして次の菅生に臨めるので、とても価値のあるレースになりましたね」

監督/高木虎之介
「トップに追いつけなかったということで恐らく立川は悔しいと感じていると思いますが、チームとしては非常に良いレースが出来たと思います。46kgという重いウエイトを積んでいながら、良くここまでトップ争いが出来たものだと思いますし、これはやはりドライバーふたりが凄く頑張ってくれたからでしょう。他のドライバーだったら、ここまでの戦いは出来なかったかもしれません。ピットのタイミングは周囲の状況を見ながら判断しましたが、予定よりもスティントを引っ張れましたし、妥当なものだったと思います。前回の富士では今ひとつのレースをしてしまいましたが、今回の2位でその分を取り戻せたように思いますし、シリーズ争いを考えても大きい結果だと思います。次の菅生ではさらに重くなりますが、また良いレースが出来るよう頑張りたいですね」