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SUPER GT RACE REPORT

2019年 SUPER GT 特別戦 FUJI <Race1>

2019年11月23日(土) 特別交流戦Race1
ZENT CERUMO LC500#38 立川祐路/石浦宏明
公式予選総合結果15位/決勝結果9位

 

2019年 SUPER GT 特別戦 FUJI <Race1> 2019年のSUPER GTは11月の第8戦もてぎで幕を閉じたが、今季はLEXUS TEAM ZENT CERUMOはもうひとレース戦いに挑む。長年、車両規定統一に向け交渉を進めてきたSUPER GT500クラスと、ヨーロッパで転戦するDTMドイツ・ツーリングカー選手権のマシンが競い合う『AUTOBACS 45th Anniversary presents SUPER GT X DTM 特別交流戦』だ。日本からはGT500クラスに参戦する15台全車が、そしてDTMからは7台が参加し、5車種22台で争う“ドリームレース”だ。

 すでに10月にはレクサスLC500が1台ドイツでレースを戦っており、その情報がLEXUS TEAM ZENT CERUMOにも伝えられているが、ふだんのSUPER GTとの大きな違いがタイヤだ。ふだんZENT CERUMO LC500が履いているブリヂストンではなく、DTMのワンメイクタイヤであるハンコックを装着しなければならず、そのため大きなセッティング変更が要求される。そのタイヤを習熟するため、このレースはふだんより2日長い、11月21日(木)から走行枠が用意された。

 長いレースウイークに臨んだLEXUS TEAM ZENT CERUMOは、まずは11月21日(木)午前9時15分からのタイヤテスト1に挑んだ。さらに、午前11時からは7台のDTM車両も加わってのテストセッション1が、さらに午後にはテストセッション2とタイヤテスト2が行われた。

 美しい富士山が顔を出す快晴のなかで行われた4回のテストを使い、立川祐路と石浦宏明のふたりはハンコックタイヤを装着したZENT CERUMO LC500をドライブした。ただ、タイヤテスト1は8番手、テストセッション1は9番手。午後もテストセッション2は13番手、さらにGT500車両のみのタイヤテスト2では、最下位の15番手と思うようにセットアップを進めることができなかった。ドライバーたちの評価も良くない。

2019年 SUPER GT 特別戦 FUJI <Race1> さらに、明けた11月22日(金)は4セッションが用意されていたが、この日の富士スピードウェイは雨となってしまった。土日にも雨が降る予報があったためレインタイヤを履くいい機会となったが、ハンコックのレインタイヤは、SUPER GT用と比べても非常にスリッピー。さらにZENT CERUMO LC500は、コース上の水量が多いためか、ブレーキに熱が入らない状況になってしまった。立川、石浦という両ドライバーをもってしても、スピンやコースアウトに見舞われてしまうほど。苦しい2日間となっていた。

 迎えた11月23日(土)は、ふだんであれば予選日にあたるが、今回のレースはSUPER GTの参戦チームは土曜にひとり、日曜にもうひとりがそれぞれ午前の予選と午後の決勝を戦うスタイルが採られる。LEXUS TEAM ZENT CERUMOから土曜のレース1に参戦するのは立川だ。

 

この日の富士スピードウェイは、前日の強い雨ほどではないものの、小雨が舞うコンディション。路面も完全には乾かず、午前9時25分からの予選ではウエットタイヤを履きコースインし、20分間の予選のなかで1分43秒412というタイムをマーク。ただ、2セット目のニュータイヤもなかなかタイムが出ないなか、上位陣が1分42秒台に入っており、15番手という順位となった。

 

ウエットということもありなかなか思うような順位につけることはできなかったZENT CERUMO LC500だが、決勝レースは55分+1周のスプリント。立川は気持ちを切り替えレースに挑んだ。決勝直前にはふたたび小雨も舞ったが、そこまで路面を濡らすほどではない。LEXUS TEAM ZENT CERUMOはスリックタイヤを装着して立川を送り出した。

 

迎えたスタートは、DTMで採用されている“インディスタイル”と呼ばれる接近した状態からのものだが、立川は接触することなくまずは14番手にポジションを上げる。ただその後、#39 LC500や#21 RS 5 DTMにかわされふたつポジションを下げた。

 

しかし5周目に#21 RS 5 DTMを抜き返すと、ここから立川の快進撃がはじまる。7周目には#24 GT-Rを抜くと、8周目には2台を、さらに13周目までの間になんと8台抜き。ワンメイクタイヤは非常に難しいタイヤだが、立川はこれをうまく使いこなすとともに、この日の朝に取り組んだセットアップが奏功し、ZENT CERUMO LC500は本来の戦えるポテンシャルを取り戻していたのだ。バトルのなかで、審査委員会から順位を戻す指示も飛んだが、それも大きな影響はなかった。

 

14周目、立川は#23 GT-Rと二度のDTMチャンピオンであるレネ・ラスト選手が乗る#33 RS 5 DTMのバトルに加わると、ダンロップコーナーで激しいブレーキングをみせこれをオーバーテイク。GT500、DTMのチャンピオンたちのバトルでサーキットを沸かせる。さらに立川は他車のピットインもあり3番手まで順位を上げると、18周を終えピットイン。LEXUS TEAM ZENT CERUMOも立川の走りに応え、非常に素早いピット作業を行った。

 

2019年 SUPER GT 特別戦 FUJI <Race1> 各車がピット作業を終えると、ZENT CERUMO LC500の順位は6番手。終盤に向け各車の間隔も開いており、チェッカーに向けて走行を続けていた立川だったが、レースも残り8分というところで#12 GT-Rのストップにより、セーフティカーが導入される。

 

これは残り3周で退去し、ふたたびインディスタイルでリスタートとなるが、ここでなぜかZENT CERUMO LC500のフロントのグリップが急激に失われてしまう。立川は集団のなかで奮闘をみせるものの、10番手にドロップしてしまう。それでも、なんとかファイナルラップに#16 NSX-GTをかわしシングルとなる9位でフィニッシュ。レース1を終えることになった。

 

慣れないタイヤで苦戦を強いられたが、このレースでチームは戦える手ごたえを得た。11月24日(日)に予選・決勝を戦う石浦宏明に、好材料を残すことができた。

2019年 SUPER GT 特別戦 FUJI <Race1>ドライバー/立川 祐路
「木曜から走りはじめましたが、この決勝レースでやっとしっかりと走れる感触になりましたね。タイヤテストやプラクティスではなかなか良い方向にいきませんでしたし、金曜はウエットのなかで、とにかくブレーキがうまく動かず、今日やっとセットアップできた印象です。ただ、昨日から今日にかけてエンジニアがしっかりデータを見直してくれて、クルマをきちんと合わせてくれたので、レースではそのなかでいい戦いができたのではないかと思っています。15番手と後方からの戦いで順位を上げていけましたが、セーフティカー明けに極端にグリップを失ってしまい、最後はコースアウトもしましたが、ファイナルラップに1台抜けて9位になりました。今週の流れを考えると、思ったよりもいい結果を残せたと思います。明日に向けていい流れを残せたのではないでしょうか」

総監督/立川 祐路
「木曜からなかなか難しい状況で、しっかりと走れることができませんでしたが、今日はようやくいい状況で走ることができました。今日得られたいいデータをしっかり明日に活かして、石浦選手の活躍に繋げなければいけませんね。それに今日はタイヤ交換も非常に速く、決めてくれたのが嬉しかったです。明日もいいレースができると思いますし、今日よりもいい成績が残せるようチーム一丸となってがんばっていきたいと思っています」

監督/村田 淳一
「木曜から非常に流れが悪く、ライバルに対して出遅れている状況で、金曜には雨になって、さらにブレーキが温まらないトラブルに見舞われたりと、苦しい状況でした。しかし土曜になってからは微調整をしながら走り、不安定な天候となった予選、そして決勝と繋げていきました。レースでは、序盤から立川選手のペースも良く、トップ集団とまではいかなかったものの、中団では良い戦いができました。セーフティカー明けに温度管理の影響か少しタイヤに影響が出て抜かれてしまいましたが、それをしっかりと明日への課題として、天候をしっかり読みつつ繋げていき、石浦選手がもっと前でレースできるようにしたいと思います。タイヤ交換では我々にミスがなかったので、メカニックたちはいい仕事をしてくれましたね」