2010年 SUPER GT 第3戦 FUJI <決勝>
2010年5月2日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/リチャード・ライアン
決勝総合結果 4位
天候:晴|コース状況:ドライ
2日続いての快晴となり、最終コーナー方向には雪を冠した富士が、くっきりとその姿を現わすなど好天となった日曜。LEXUS TEAM ZENT CERUMOは、400kmという長丁場の第3戦の決勝日を迎えた。
昨日のスーパーラップで6番グリッドを獲得した#38 ZENT CERUMO SC430だが、マシンのセットアップにはまだ改善の余地があるということで、決勝前の最後のセッションとなる午前8時半からの30分間のフリー走行は貴重な時間だ。
気温15℃、路面温度21℃というコンディションとなったセッションスタートと同時に、#38 ZENT CERUMO SC430は立川が乗り込みコースイン。いきなり連続走行に入った立川は、1分40秒台、1分37秒台、そして1分36秒台と周回毎にタイムアップ。セッション開始10分で1分36秒502をマークして一躍モニターのトップに躍り出ると、午前8時44分に立川はピットイン。チームは実戦さながらのタイヤ交換などのピット作業を行い、ここから#38 ZENT CERUMO SC430のドライバーはライアンに。
ステアリングを引き継いだライアンは、そのままチェッカーまで周回。1分36秒後半~37秒台で安定したラップを刻み、4番手あたりにつけつつ決勝に向けたフィーリングをチェックしたライアンは、チェッカー提示後のラストラップに1分36秒387でベストタイムを更新。#38 ZENT CERUMO SC430を3番手に押し上げてこのセッションを終了することに。続くサーキットサファリの時間帯も立川が周回を重ねた#38 ZENT CERUMO SC430は、午後2時からの決勝に向けての確認作業を終えることとなった。
お昼前のピットウォークでは、立川のスーパーGT参戦100戦目を祝ってケーキが用意され、花束贈呈などのセレモニーが行われるなど、和やかな雰囲気に包まれたピットだが、午後1時のスタート進行が近づくにつれ、スタッフ達の表情にも緊張感が漂い始める。
そして午後1時ちょうど、決勝前の8分間のウォームアップが始まった。今回はドライバー交代を伴うピットインが2回義務付けられていることもあり、スタートドライバーを務める立川がコクピットに座り、グリーンランプ点灯と同時にピットアウト、ストレートを一度通過しただけの僅かな周回ながら、決勝前の最後のフィーリングチェックを行いピットイン。スポットクーラーを浴びながら、立川はコースインを待つ。
そして午後1時15分、コースイン開始。#38 ZENT CERUMO SC430が3列目、6番手のダミーグリッドに停止したが、なんと予選4番手で立川の前にいるはずの#23 MOTUL AUTECH GT-Rが、マシントラブルのためにグリッドにつけずピットスタートに。
初夏を思わせるような日差しが照りつけ、気温22℃、路面温度35℃と暑さが増す中、スタート進行が進み、午後2時、ついに5万人を超える観衆が注視する決勝がスタート。実質的に5番手からスタートすることとなった立川は、グリーンランプ点灯と同時に鋭く加速するも、1コーナーの位置取りが悪く、#17 KEIHIN HSV-010の先行を許し6番手に。しかし、立川は返す刀でダンロップコーナー進入で#17 KEIHIN HSV-010のインを突き、5番手のポジションを奪還することに成功。オープニングラップはポジションキープの5番手で終える。
ここから前を行く#6 ENEOS SC430、背後の#17 KEIHIN HSV-010との接近戦を演じた立川だったが、周回後れが絡み始めた10周目あたりから#6 ENEOS SC430とのギャップがじりじりと広がり、徐々に苦しい展開になって行く。
実は前日からやや風邪気味で声も充分に出ないなど、体調的に万全ではなかった立川だが、粘り強く周回を重ね、他車のピットインに伴い一時4番手を走行。最初のピットイン直前に#17 KEIHIN HSV-010の再逆転を許し5番手に下がるも、その直後の28周終了時に#38 ZENT CERUMO SC430もピットへ滑り込む。
ピットストップタイム28.8秒という迅速な作業で給油とタイヤ交換を終え、ライアンのドライブで9番手あたりでレースに復帰した#38 ZENT CERUMO SC430は、上位陣の最初のピットストップが終わった33周目あたりには6番手に。背後の#24 HIS ADVAN KONDO GT-Rには水を開けているものの、逆に前の#6 ENEOS SC430とは13秒ほどのギャップをつけられている状況だったが、ピットを引き伸ばしたホンダ勢のピットインなどもあり、41周目に5番手、42周目には4番手に。
しかし、これ以上のポジションアップは叶わず、展開的には膠着状態となった60周目に前を行く#6 ENEOS SC430がピットインしたことで3番手に浮上した#38 ZENT CERUMO SC430だったが、62周目にはライアンもピットインすることに。
最後のスティントを託された立川は、6番手でレースに復帰。65周目に#17 KEIHIN HSV-010が、72周目には#18 ウイダー HSV-010がピットインしたため、じりじりとポジションアップした立川駆る#38 ZENT CERUMO SC430は、73周目からは4番手に。「なんとか表彰台を……!」と踏ん張りを見せる立川は、残り2周となった終盤の86周目、GT300などのバックマーカーに引っかかることもなく、この日のベストタイムとなる1分36秒654をマークするなど、最後まで前を追い、#38 ZENT CERUMO SC430に鞭を入れるが、立川の前を行くのは同じレクサス勢3台とあって、それ以上のポジションアップは果たせず、チェッカー。88周、400kmの長丁場で粘りの走りを見せた#38 ZENT CERUMO SC430は4位でのフィニッシュとなり、8ポイントを獲得。決して楽な戦いではなかったが、#38 ZENT CERUMO SC430はランキング4位に浮上を果たすこととなった。
ドライバー/立川 祐路
「昨日からちょっと波に乗り切れず、苦しい戦いにはなってしまったかなと思います。本当ならば表彰台に乗りたかったんですが、ダメなときでもしっかりとポイントを獲ることが大事ですし、去年はそれが出来なかったことですから、ギリギリのラインで今日は納得できた感じです。100戦目を良い思い出にしたかったので今日は頑張ったのですが、4位ですし、まずまずというところでしょう」
ドライバー/リチャード・ライアン
「今日は全体的に決勝でのペースがかなり遅かったね。コンスタントに周回を重ねることは出来たし、4位というまずまずのポジションを得ることが出来たとはいえ、本音をいえば少し悔しいかな。選手権を考えたときには、決して悪いリザルトではないんだけれどね。次のセパンでは、ホンダ勢やニッサン勢がウエイト的にも楽な状況だろうから、最低でもレクサス勢のトップにいたい。大事なのはコンスタントに良いリザルトを続けることだからね!」
監督/高木虎之介
「昨日の予選でタイム的に詰め切れていなかった部分が、今日の決勝でも出てしまったように思います。同じレクサスでも上位のマシンに比べて負けていた部分があったわけですから、立川も体調が思わしくなく、チーム的にもいろいろな状況がある中での戦いで、結果的に見ればなんとかうまく4位で切り抜けた、という印象でしょうか。セパンはさらにクルマが重くなりますし、今回以上に厳しい戦いになると思いますが、今日のようにしぶとく入賞、表彰台を狙って戦いたいですね」