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SUPER GT RACE REPORT

2010年 SUPER GT 第4戦 SEPANG <決勝>

2010年6月20日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/リチャード・ライアン
決勝総合結果 6位
天候:晴|コース状況:ドライ

2010年 SUPER GT 第4戦 SEPANG <決勝> 例年のセパンにしては、暑いとはいえ、やや凌ぎ易いコンディションであった土曜に比べ、朝から汗ばむような暑さとなった日曜のセパン。午後4時からの決勝を控え、最後の貴重な調整時間となる午前のフリー走行は、午前10時45分から始まった。

 このセッション、まずステアリングを握ったのはライアン。セッション開始と同時にコースインしたライアンは、2周ほどゆっくりとしたペースで周回すると、3周目には1分59秒972をマークしてモニターのトップに躍り出る。しかし、すぐさまそのタイムはライバル陣営のマシンに更新され、スーパーGTのコンペティションの激しさを感じさせるシーンとなったが、その後ライアンはいったんピットに戻ると、数分後には再びコースへ。決勝に向けたフィーリングをチェックすると、セッション終盤には立川がステアリングを引き継ぎ、同様にマシンとコンディションをチェックすることに。立川もトラフィックの中、チェッカーを受けるファイナルラップに2分00秒904というまずまずのタイムを刻み、#38 ZENT CERUMO SC430は結局このセッションを6番手で終える。

 続くサーキットサファリの時間帯も使い、決勝に向けたセットアップの確認を終えたLEXUS TEAM ZENT CERUMOは、午後3時からのスタート進行に向け着々と準備を整えることとなった。

  午後3時に始まったスタート進行では、スタートドライバーを務めるライアンがコクピットに乗り込み、まずは8分間のウォームアップでフィーリングのチェックを終えると、#38 ZENT CERUMO SC430はダミーグリッドへ向かう。熱心なマレーシアの地元ファンで賑わうグリッド上では、ZENT sweetiesの差し出す日傘の影の下でライアンがリラックスした表情を見せるが、高木監督も思わず「暑い……!」と口にしてしまうほどの日差しが照りつけ、路面温度は日なたでは50℃に届こうとしていた。

 いよいよ迎えた決勝レースは54周の戦い。ローリングスタートから1コーナーに突入していくGT500マシンの集団の中、ライアンは加速も良くポジションキープの7番手あたりでアプローチを開始したが、ブレーキングのタイミングの関係か、前を行く#18 ウイダー HSV-010のテールにヒットしてしまい、相手をスピンさせてしまう。

 いきなりのアクシデントに見舞われた#38 ZENT CERUMO SC430だったが、マシンには大きなダメージはなく、6番手で1周目を終えたライアンは、前を行く#100 RAYBRIG HSV-010を追走。背後の#24 HIS ADVAN KONDO GT-Rを突き放しながら6番手につける。

 ところが、順調にレースが推移していた序盤を終え、10周目に突入したところで、#38 ZENT CERUMO SC430にはスタート直後の接触に関してドライブスルーペナルティーが科せられてしまう。

 無念のペナルティーを11周終了時に消化した#38 ZENT CERUMO SC430だが、これによってポジションは12位と、GT500の最後尾にドロップ。しかし高木監督以下、チームは苦境を脱するべく戦略を変更、ライアンのスティントを出来るだけ引き伸ばし、立川のスティントでは柔らかめのタイヤを投入し追い上げを図る作戦を採る。

 これを受けたライアンは、自らのミスを挽回すべくプッシュを開始。上位陣と遜色のないペースで周回を重ね、じりじりとポジションを上げて行くライアンは、20周を過ぎた頃から早めのピットインを行い始めたライバル陣営を後目にコース上に留まり続け、レースの折り返しとなる27周終了時にはついに3番手にまで浮上を果たすと、満を持してトップとなった29周目にピットイン。立川にステアリングを託す。チームは迅速な作業でソフト系のタイヤを装着した#38 ZENT CERUMO SC430と立川を、既に後半に突入したコース上に復帰させる。

 #1 PETRONAS TOM’S SC430に次ぐ9番手でレースに復帰した立川だったが、同じレクサス陣営である1号車との攻防の中で32周目にポジションをドロップ、11番手に下がってしまう。しかし、再びここからの猛追を開始した立川は、37周目に#35 MJ KRAFT SC430をパスし10番手とすると、39周目には#24 HIS ADVAN KONDO GT-Rをオーバーテイクし9番手にまで挽回。そして再び8番手を行く#1 PETRONAS TOM’S SC430との攻防に。

 2010年 SUPER GT 第4戦 SEPANG <決勝>数秒あったギャップを見る間に詰めて行く立川は、残り10周を切った終盤戦ではコンマ数秒差の接近戦を展開。ストレートでは一時#38 ZENT CERUMO SC430が先行するも、再び1~2コーナーで抜き返されるなど、なかなかオーバーテイクは許されず膠着した戦いが続き、ピットスタッフもじりじりとした緊迫感に包まれることとなったが、同じレクサス勢同士とはいえ、負けられない立川の意地が相手を上回り、残り2周となった52周目には#1 PETRONAS TOM’S SC430がコースオフ。この機を逃さなかった立川は、続くコーナーで#1 PETRONAS TOM'S SC430をついにオーバーテイクし6番手に躍進を果たす。

 結局そのままのポジションでチェッカーを受けた#38 ZENT CERUMO SC430は、狙っていた上位入賞にこそ届かなかったものの、序盤の遅れを挽回するまずまずのレース展開で6位を獲得。厳しい戦いを予想していたLEXUS TEAM ZENT CERUMOだったが、シリーズランキングでも6位ながら、トップとは10ポイント差という状況でセパンを終え、次戦菅生でのさらなる上位進出を狙うこととなった。

ドライバー/立川 祐路
「リチャードが接触した状況は分かりませんが、ペナルティーで順位を大きく下げてしまい後方からのレースになってしまったのがちょっと残念でしたね。タイヤチョイスも戦略もうまく機能して、ペナルティーがなければ確実に上位争いが出来ていたと思うのですが……。終盤は同じレクサス勢とのバトルになり、結構大変な状況でしたが、それでも6位ということで、今年は去年出来なかった安定したポイント獲得を果たせていますし、クルマ的にずっと気になっていた部分を改善するヒントも、今日のレースで見えたので収穫はありました。次の菅生でまた頑張ります」

ドライバー/リチャード・ライアン
「スタート直後の1コーナーで、各車ともにタイヤが冷えている状況の中、前の18号車のリヤにヒットしてしまったんだ。僕のミスだったと思うし、レース後には一応謝りに行ったんだけれど、ペナルティーを受けてしまったことは残念だ。けれど、その後のクルマのパフォーマンスにはかなり満足しているよ。いったん最後尾にまで下がったものの、上位陣同様のペースでポジションを挽回することもできたからね。ただ、立川のスティントでも、同じレクサス勢の背後でスタックする状況もあったし、今日はとにかく波乱の多いレースだった。うまく生き残って6位になれたことは、僕はもちろんチームにとっても良かったと思うよ」

監督/高木虎之介
「レースなのでアクシデントがあるのは仕方ないのですが、ペナルティーが出てしまったので、これはもう作戦で何とかするしかないね、と。それでリチャードを出来るだけ引っ張ることにしたのですが、彼も頑張ってくれて一番最後までピットを引き伸ばすことが出来ました。そのお陰で、立川のスティントにはソフト系のタイヤで勝負を掛けることが出来、それがうまく行きましたね。立川もいったんポジションを下げたものの、1周1秒くらい速かったので、最後にはちゃんと抜き返してくれて良かったです。一時は、ポイント獲得は無理かも、とも思ったくらいでしたので、6位ということで一応満足はしています。富士に比べて、今回は良い形でレースを終えられたことも良かったですね」