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SUPER GT RACE REPORT

2010年 SUPER GT 第6戦 SUZUKA <決勝>

2010年8月22日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/リチャード・ライアン
決勝総合結果 6位
天候:晴|コース状況:ドライ

2010年 SUPER GT 第6戦 SUZUKA <決勝> ノックダウン方式の予選2回目、思いがけないS2敗退を喫した#38 ZENT CERUMO SC430。#12 カルソニック IMPUL GT-Rが4基目のエンジン交換を行っていたことから、昨日の段階で9番手からのスタートが決まっていたが、その後朝までに#18 ウイダー HSV-010もエンジンを4基目のものに換装。このため、さらに繰り上がって4列目、8番グリッドから決勝を戦うこととなった。タイトル争いに踏みとどまるためには、表彰台に匹敵する好成績がマストという状況となっていたLEXUS TEAM ZENT CERUMOにとっては願ってもない展開だが、さらなる上位進出のためには他力本願ではなく、自らの力も高める必要があるのは間違いない。このため、チームは日曜朝のフリー走行2回目(1回目は昨日のナイトセッション)でも立川→ライアンとドライバー交代をしながら精力的に周回を重ねることとなった。

 午前9時55分のスタートながら、早くも気温32℃、路面温度40℃に達する暑さとなる中、セッション開始と同時にコースインした#38 ZENT CERUMO SC430。途中、シケイン入り口で#26 CINECITTA タイサンポルシェがクラッシュしたために赤旗中断となるなど、多少の波乱こそあったものの順調にセットアップを進めた#38 ZENT CERUMO SC430は、立川が1分58秒979をマーク。このタイムによって#38 ZENT CERUMO SC430は5番手でこのセッションを終え、午後3時の決勝を迎えた。

 午後2時。スタートドライバーを務める立川がコクピットに収まり、#38 ZENT CERUMO SC430は8分間のウォームアップに出走。しかしここでは軽くマシンのチェックをしたのみで本核的な走行は見送り、マシンやタイヤの消耗を抑える。そして気温36℃、路面温度48℃という灼熱のグリッド上でスタート進行が続き、ようやく午後3時、フォーメイションラップが始まった。

 1周を終えて、121周で争われる決勝がスタート。8番グリッドから加速した立川は、#35 MJ KRAFT SC430に次ぐポジションで1コーナーへ。まずはポジションキープの8番手からレースをスタートさせた立川だったが、LEXUS TEAM ZENT CERUMOとしては序盤の立川のスティントにソフト系のタイヤを投入し、できるだけポジションを上げる作戦を狙うが、上位陣のペースは想定よりも速く、#38 ZENT CERUMO SC430は思うようにポジションを上げることができない。「タイヤがどれぐらい持つか読めない……」と立川は思い切りプッシュするというわけにもいかず、攻めるというよりは安定したペースを刻むことに集中せざるを得なくなる。

 17周目に#32 EPSON HSV-010がピットインしたため、7番手に浮上した#38 ZENT CERUMO SC430だったが、背後の#6 ENEOS SC430は引き離すものの、前を行く#35 MJ KRAFT SC430には届かず、膠着した展開が続く。立川のタイヤが厳しくなってきたこともあり、チームは3度のピットストップで残り周回をこなせる最小ラップとなる25周目に立川をピットインさせ、ライアンにバトンタッチ。タイヤ4輪を交換し、#38 ZENT CERUMO SC430を送り出す。

 コースに戻ったライアンは、ポジション的には11番手までドロップしたものの、そこからライバル陣営のピットイン
もあってじりじりと挽回を開始。28週目には9番手、31周目には7番手、さらに翌32周目には6番手とし、まずまずのラップを刻んでいく。

 ところが40周を過ぎたころ、背後の#39 DENSO DUNLOP SARD SC430をパスして7番手に浮上してきた#17 KEIHIN HSV-010がライアンに迫り、2台は息をも付かせぬ接近戦を演じることに。

 LEXUS TEAM ZENT CERUMOは、46周目に5番手に浮上しつつ、#17 KEIHIN HSV-010を押さえ込む好走を見せたライアンを57周目にピットに呼び戻し、再びステアリングを立川に託すことに。

2010年 SUPER GT 第6戦 SUZUKA <決勝>日差しは西に傾いていくものの、変わらぬ暑さの中サインガードから高木監督が戦況を見守る中、3スティント目には、ややハード寄りのタイヤをチョイスした立川は、#35 MJ KRAFT SC430を追ってコースに戻ったが、ほどなくしてGT300の集団を掻き分けつつ先を急ぐ#38 ZENT CERUMO SC430の左のミラーが、風圧のためか突然下を向いて倒れてしまう。このため左後方の視界を失った立川は、74周目ヘアピンの立ち上がりからスプーンにかけて後続の#17 KEIHIN HSV-010に左サイドに並び掛けられるも、「並んできているのかどうか、相手が見えない……!」とラインを閉めるわけにもいかず、7番手にドロップすることに。

 それでもギャップは数秒以内と大きく引き離されることのないまま7番手で周回を重ねた立川は、89周目にピットへ。メカニックたちはここでミラーの修復作業を行い、ライアンを最後の4スティント目に送り出した。いったん8番手に下がった#38 ZENT CERUMO SC430だったが、#18 ウイダー HSV-010のピットインによって翌周には7番手に復帰。コースが暗くなり始め、ライトオンボードが提示された午後6時以降は#38 ZENT CERUMO SC430も眩いヘッドライトを照らし、周回遅れをパッシングを使って安全に処理しながらの周回が続くが、ここでなんと再びミラーの角度が動いてしまうトラブルが発生。今度は右側も同様の状態となってしまい、ライアンは後方視界のないままの走行を続けるが、97周目に#32 EPSON HSV-010がピットで後れをとり、順位を下げたことでライアンは6番手に。

2010年 SUPER GT 第6戦 SUZUKA <決勝> レース終盤、ペースに勝る#32 EPSON HSV-010が僅差で迫ってきたものの、ライアンはこれに動じずポジションをキープ。#38 ZENT CERUMO SC430は1周遅れとはなったものの、見事120周を走り切って6位をゲット。狙っていた表彰台獲得はならなかったが、残る2戦でのタイトル争いに望みを繋ぐこととなった。

ドライバー/立川 祐路
「本当はもう少し上位に行きたかったのですが、ちょっと上位勢は速かったですね。柔らかめのタイヤで追い上げようとしたのですが、路面温度が高かったせいか思ったよりタイヤが厳しくなり、最初のスティントは少し早めにピットに入ることになりました。結果的にポジションが上がったので、無理に引っ張るよりは良かったように思いますが、全体的なペーストして今日は今ひとつでした。最低限ポイントは加算することは出来たので、苦しい状況とはいえ、ラスト2戦の結果次第でチャンピオンの可能性も残すことが出来たのは良かったと思います。次戦は舞台が得意の富士ということで、ウエイトも半減しますし、前回レクサス勢は富士で調子が良かったですから、なんとか最終戦のもてぎで勝負できる状況に持ち込みたいですね」

ドライバー/リチャード・ライアン
「いつものように今回の700kmもタフなレースだった。スターティングポジションよりもふたつ前でフィニッシュできたのだから、とりあえずは良かったと思いたい。残念ながら今日の僕達には、それ以上上に行けるスピードがなかったんだ。基本的に大きなミスもなく走った結果の6位だから、表彰台を望んではいたけれど、今日はこれが僕たちのベストリザルトだったんだろう。立川も僕も頑張ったけれど、最後のスティントなどではミラーが右側も倒れてしまって、後方視界が無い状態だったからかなり危なかったけれど、かえって背後のマシンのライトが眩しくなくて良かったかもしれない。次は富士だけれど、前回富士のレースは良かったしウエイトも少なくなるからクルマの状況も変化するはず。必ず次回は大量ポイントをスコアしなければならないね」

監督/高木虎之介
「最初のスティントで予想以上にタイヤが持たず、早めに入れたのですが、その後のスティントとの兼ね合いを考えると、本当にミニマムぎりぎりの周回でした。このためその後のスティントでは燃費の制約もあり、32周ずつをこなしていくことになって、結果としてそれ以上の作戦を採る選択肢がなくなったものの、早めに入って正解だったように思います。結果は6位でしたが、最後には#35 MJ KRAFT SC430に少し引き離されてしまったところを見ると、まだ新しいセッティングでの熟成不足だったかな、と感じました。タイヤに厳しかったようで、レース中にドライバーふたりともが、タイヤが苦しいと訴えてきましたからね。その辺りをもっと改善しないと、上位には食い込んでいけないと思いますし、きちんと準備をして次の富士ではなんとしても優勝を狙いたいと思います」