2010年 SUPER GT 第8戦 MOTEGI <予選>
2010年10月23日(土) Qualify 予選
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/リチャード・ライアン
公式予選総合結果12位(1分45秒005)
天候:晴れ|コース状況:ドライ
富士スピードウェイで予定されていた第7戦富士が大雨による災害のためにキャンセルされ、2カ月以上のインターバルが開いてしまったスーパーGT。トップから15ポイント差のランキング8位につけるLEXUS TEAM ZENT CERUMOにとって、勝つしかチャンピオンへの可能性のない、文字通り背水の陣となった最終戦は栃木県のツインリンクもてぎでの開催となるが、全車ハンディキャップウエイトが0にリセットされ一層の激戦が予想される中、チームスタッフ、そしてドライバー一丸となって悔いの残らない今季最後の戦いが期待される週末となる。それだけに、LEXUS TEAM ZENT CERUMOはこの週末に集中し、しっかりとした準備を整えてもてぎ入りすることとなった。
走行開始となった土曜のもてぎは朝から快晴に恵まれ、気温10℃、路面温度19℃という状況で、午前9時05分から1時間45分の公式練習がスタートした。
いつものようにセッション開始から少しの間、ピットで待機した#38 ZENT CERUMO SC430だが、開始から約15分のところで立川がステアリングを握ってコースイン。2分20秒台のゆっくりとしたラップでタイヤを温めつつ、マシンとコースの状況を見極めて行く立川。コンディションの安定しないセッション序盤、1分54秒160、1分50秒520とじりじりタイムを詰めて行った立川は、7周目に1分46秒425をマークするとピットイン。ここでセットアップの修正作業に取り掛かったチームだが、午前9時42分にGT300マシンが最終コーナーでスピン、グラベルにストップしたため、セッションは赤旗に。
午前9時50分、残り1時間06分でセッション再開後、作業を終えた#38 ZENT CERUMO SC430が再び立川のドライブでコースイン。1周計測すると、すぐさまピットインし、さらにセットアップに修正を加えていく。その後、いったんライアンでセットアップを進めた#38 ZENT CERUMO SC430は、ライアンのドライブでベストタイムを1分46秒097に更新、ポジションを10番手としてセッション終盤へ。
午前10時37分に最終コーナーでGT300マシンがスピン、立ち往生したために2度目の赤旗が提示され、セッションは5分延長され、残り11分で再び午前10時44分に再開されるが、その再開直後に再び最終コーナーでGT300マシンがスピンアウト。なんとこのセッション3度目の赤旗中断となり、残り時間僅か4分での再開に。
こうした混乱の中、ピットで些細なトラブルの解消と足周りのセットアップ変更作業を行っていた#38 ZENT CERUMO SC430は、ようやく残り1分を切った午前10時54分にピットアウト。もちろん最初のラップでチェッカーフラッグを受けてしまったためタイム更新はならなかったが、なんとか予選を前にセット変更後のマシンのフィーリングチェックを終えることに。「2カ月ぶりだから、最初は完熟走行が必要だったけれど、大きくセットを変えていく中で、最後に1周確認できて良かった。これを次の予選に活かせれば」と立川が振り返ったように、結局このセッションをセットアップに集中した#38 ZENT CERUMO SC430は、10番手というポジションに留まることとなった。
午後1時05分からの公式予選1回目。ノックダウン方式の予選2回目に進むためには、このセッションで両ドライバーが予選基準タイムをクリアしなければならないが、基本的にはノックダウン予選に向けての貴重なセットアップの時間帯。このセッションを前にチームはマシンに不具合を発見も、無事これを修復し予選1回目に臨んだ。
気温19℃、路面温度32℃で始まったこのセッション、まずは立川がコースイン。2周目に1分48秒449をマークすると、4周目に1分47秒257へとタイムを上げピットイン。このタイムで基準タイムをクリアできたと言うことで、チームはステアリングをライアンに託す。コースインしたライアンは、ピットイン&アウトを行いつつセットアップを進め、11周目に1分47秒211へとタイムを更新、#38 ZENT CERUMO SC430を9番手に押し上げるものの、朝とはクルマの動きが異なり、フィーリングは今ひとつ。
そして残り6分のところでライアンがピットに戻り、#38 ZENT CERUMO SC430のコクピットには再び立川が座り、再びコースへ。立川はゆっくりとタイヤを温めると、チェッカーを目前とした15周目に1分46秒620へとタイムアップ。ポジションを8番手に上げ、#38 ZENT CERUMO SC430はこのセッションを終了したが、午前に進めたセットアップでは予想と異なる挙動を見せるマシンにドライバーたちの表情はすぐれない。
決勝を占う意味で、是が非でも上位グリッドを狙いたい公式予選。ノックダウン方式で行われるこの予選は、午後2時45分にGT300クラスのアタックから始まった。GT500は10分間のS1で上位10台がS2へ進出、7分間のS2では上位7台がS3へ進出するというシステムだ。
午後2時55分、いよいよGT500がコースインを開始。GT300マシンがコース上からいなくなるタイミングをはかり、午後2時57分にピットを離れた立川は、まずは最初の計測ラップとなる2周目に1分49秒944で5番手に。しかし、この段階で既にGT500のS1の残り時間は4分を切っており、息つく暇もなく立川はアタックを敢行。ライバル陣営も同様にアタックを行い、立て続けにタイミングモニターのトップが入れ替わる激しい展開となる中、#38 ZENT CERUMO SC430も3周目に1分45秒169を叩き出してタイムアップ、いったん下がっていたポジションを6番手につける。
しかし、トップの#18 ウイダー HSV-010は1分43秒台に突入するなどハイレベルな攻防となる状況で、予選1回目からノックダウン予選までにセットアップを煮詰め切れなかったのが響き、立川は懸命なアタックを続けるものの、相次ぐライバル勢のタイム更新にじりじりとポジションが下がってしまう#38 ZENT CERUMO SC430。立川のファイナルアタックに期待が掛かったが、チェッカーを受けた#38 ZENT CERUMO SC430のタイムは1分45秒005。タイムアップこそ果たしたものの、ポジションはトップ10に届かず11番手。その後さらにもう1台のタイムアップによって#38 ZENT CERUMO SC430は無念の12番手となり、S2進出は果たせずまさかのS1敗退を喫してしまった。
無念の表情を浮かべつつ、無言でコクピットを後にした立川。高木監督はもちろん、ピットでアタックの様子を見守ったスタッフたちの表情にも一様に悔しさが浮かんだが、テクニカルでタイトなインフィールドを持ち、オーバーテイクの難しいコースとして知られるもてぎだけに後方からの決勝レースは厳しい戦いが予想されるものの、この悔しさをバネにLEXUS TEAM ZENT CERUMOには明日の決勝での追い上げを期待したい。
ドライバー/立川祐路
「ちょっと今日は厳しい結果になってしまいました。公式練習でいつもとクルマのフィーリングが違うと感じたのですが、その原因がお昼に見つかって修復することが出来たものの、それ以前の状況でセッティングを合わせて行ってしまっていたので……。ノックダウン予選までにセットアップをうまく合わせられず、もうどうにもなりませんでした。しかし、終わってしまったことは仕方ありませんし、明日の決勝ではとにかく頑張る、というほかはないですね」
ドライバー/リチャード・ライアン
「まったく予想外の結果で、何が起こってしまったのか良く分からないというのが正直なところだね。立川はベストのアタックをしただろうと思うし、僕も公式練習、予選1回目とベストを尽くしたつもりだけれど、残念ながらノックダウン予選ではS2に進むことが出来なかった。明日の決勝までに、僕たちのマシンも他のレクサス勢と同様のパフォーマンスに引き上げることができれば、絶対に彼らに負けない速さを見せる自信はあるし、明日の決勝で良いレースをするためには、それが欠かせないと思う。なんとか状況を立て直せると信じているよ」
監督/高木虎之介
「午前中にいろいろセットアップを進めたのですが、お昼に見つかった不具合を修正した結果、そのセットアップが活かせなくなってしまい、ドライバーたちには悔しい思いをさせてしまいました。なんとかノックダウン予選に向けてクルマを合わせたかったのですが、結果的にセットを煮詰め切れなかったように思います。チームとして今日のようなことは2度と繰り返さないようにしなければならないと思いますし、最終戦を今年一番悪いグリッドからスタートしなければならず残念ですが、明日はチーム全員で精一杯の戦いをしたいと思います」