2010年 SUPER GT 第8戦 MOTEGI <決勝>
2010年10月24日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/リチャード・ライアン
決勝総合結果 DNF
天候:晴|コース状況:ドライ
予想外の不具合に起因するセットアップの後れから、まさかのS1敗退を喫し12番グリッドからのスタートを強いられることとなった#38 ZENT CERUMO SC430。思うような流れに乗れなかった感の強い土曜だったが、LEXUS TEAM ZENT CERUMOはその状況からの脱却を図るべく、まずは午前8時30分からのフリー走行に臨んだ。
前日に比べ、やや下り坂の予報が出されているとおり、曇りがちのもてぎの空の下、気温16℃、路面温度18℃でスタートしたフリー走行。チームとしても立川・ライアンのドライバーコンビとしても、なんとしても午後の決勝までに#38 ZENT CERUMO SC430の体勢を立て直し、怒涛の追い上げ劇を見せたいところ。それだけにセッション開始と同時にコースインしてから、セッションを通じて熱の篭った走行となった。。
まず序盤ステアリングを握ったのは立川。1分50秒台のゆっくりとしたペースで周回し、コースコンディションを確かめた立川は積極的に連続周回をこなし、4周目に1分47秒735をマークするとその時点の3番手に。さらに周回を続けた立川は、6周目に1分47秒246へとタイムアップし、午前8時43分にピットイン。セットアップの修正作業を行っていく。
ライバル勢もタイムを上げ始め、#38 ZENT CERUMO SC430が8番手あたりとなった午前8時50分、今度はライアンがコクピットに収まり、ピットアウト。コースに出たライアンも連続周回を行いじりじりとタイムを上げていくと、全体の11周目にはポジションこそ8番手と変わらないものの1分47秒052のベストタイムをマークする。
翌周も1分47秒台をマークしてピットインしたライアンは、セットアップに修正を加えるとさらに周回を重ねると、午前9時13分にピットへ。#38 ZENT CERUMO SC430はそのままピット内でセッションの終了を迎えることとなったが、結局8番手でこのセッションを終えることに。
その後続いて行われた20分間のサーキットサファリの時間帯も、ライアン→立川とステアリングを引き継いでマシンのフィーリングを確かめたLEXUS TEAM ZENT CERUMOは、いよいよ今季最後の決勝レースを迎えることになった。
ピットウォークの時間帯には今季GT出走100戦を迎えた道上龍、脇阪寿一、高木真一とともにグレーデッド・ドライバーのセレモニーに臨んだ立川は、花束の贈呈を受けパレードランを行うなど、つかの間のリラックスした時間を過ごす。そして午後1時ちょうど、#38 ZENT CERUMO SC430はスタートドライバーを務めるライアンの手によってウォームアップ走行に出走。僅か1周のみながら、決勝への準備を整えた#38 ZENT CERUMO SC430は、午後1時15分、ダミーグリッドに向かう。
午後2時、ついに今季最終戦、53周の戦いが始まった。フォーメイションラップを終えたGTマシンたちが一気に1コーナーに向けて加速していく中、#38 ZENT CERUMO SC430のライアンも好スタート。まずは1周目のヘアピンで#32 EPSON HSV-010をパスし、ライアンは11番手でオープニングラップを終える。
コンマ数秒差で前を行く#8 ARTA HSV-010を追走するライアンだが、その#8 ARTA HSV-010も前の#100 RAYBRIG HSV-010や#23 MOTUL AUTECH GT-Rと競り合っているような状況で、激しいつばぜり合いの集団の中での走行となるが、ペースの上がらない#100 RAYBRIG HSV-010をかわすと同時に、1周目に提示されたペナルティーストップを消化するため2番手を走行していた#6 ENEOS SC430が3周目にピットインしたことで、ライアンは早くもポイント圏内の9番手に進出。4周目には1分47秒270のベストタイムを刻みながら、怒涛の追い上げに向け#38 ZENT CERUMO SC430は上々の滑り出しを見せる。
さらに8周目には、前で#24 HIS ADVAN KONDO GT-Rと#8 ARTA HSV-010が競り合い、そのバトルの間隙を縫ってライアンは7位に躍進。11周目、いったん抜いた#8 ARTA HSV-010に再び逆転を許し、8番手に下がったものの、17周目にはこの#8 ARTA HSV-010がドライブスルーペナルティーを受けたために、労せずして7番手に復帰。さらに19周目には#12 カルソニック IMPUL GT-Rがピットインしたことで6番手へと、さらに#38 ZENT CERUMO SC430はポジションを上げて行く。
ところが、このころから#38 ZENT CERUMO SC430に異変が起き始める。突然エンジンの水温が上昇したかと思うと、ダッシュボードの表示がすべてブラックアウトして消えてしまったのだ。「電気系のトラブルかもしれない!」と無線でピットに一方を入れるライアンだったが、トラブルのためかピットでは正確にライアンの声が聞きとれない。
そのころピットでは立川が走行準備を終え、スタッフもタイヤ交換と給油の準備を整えている状況。ルーティンのピットインを前に、スタッフに緊張感が漂っていたが、そこに飛び込んで来た#38 ZENT CERUMO SC430から降りたライアンは、立川に必死に状況を説明するが、互いにヘルメットを被っていることもあり、うまく意思の疎通がはかれないまま立川はコクピットへ。ピット作業が終わり、ジャッキダウンされエンジンを始動しようとする立川だったが、メインスイッチをオンにしてもコクピット内にはなんのランプも表示もなされぬまま。
結局ピットアウトすることが出来ず、そのままガレージに押し戻され修復作業に入った#38 ZENT CERUMO SC430がコースに戻ったのは午後3時18分。既にトップからは18周遅れという状況となっており、1分47秒台のラップを刻むなど立川も懸命のドライブをしたものの、結局チェッカーを受けるも完走扱いにはならなかった。
今季最終戦を無念の結果で終えたLEXUS TEAM ZENT CERUMO。残念ながら今シーズンはタイトルに手が届かなかったが、来季の雪辱を期してスタッフたちはもてぎを後にしたのだった。
ドライバー/立川 祐路
「トラブルが出てしまって、残念な最終戦になりました。リチャードのスティントの終盤、既に症状が出ていたようですが、一応ピットアウトしようとしたものの、エンジンが掛かりませんでした。今季最後のレースだったのに、昨日からトラブルが出るなど、まともにクルマを走らせることが出来なかったことが悔やまれます。今年は1勝も挙げることが出来ませんでしたし、いろいろな意味で思うように戦えない、苦しい1年になってしまいました。来年はこれを反省して、チーム全体の建て直しが必要かも知れません。必ず来年はチャンピオンを獲りたいと思います」
ドライバー/リチャード・ライアン
「チームの頑張りもあって、クルマは昨日からは大きく進歩していた。そのお陰で走り出して数周で、これなら行けると感じた。楽にポジションを守ることが出来たし、周囲のマシンのミスに乗じてポジションを上げることも出来たんだ。ただ、15周目あたりからはタイヤの消耗のためにグリップが落ちてしまったことと、ピットに入る数周前から電気系のトラブルでダッシュボードの表示がすべて消えてしまったんだ。それでも前のマシンよりも速いペースでラップできていたけれど、ピットに入る周にはギヤがスタックして変速できなくなった。残念だけれど、ピットインした段階でたぶんもうレースには戻れないだろうと思っていたよ。今季は思うような結果に恵まれず、苦しいシーズンになってしまったのが残念だ」
監督/高木虎之介
「トラブルに始まってトラブルに終わった、という週末になってしまいました。電気系のトラブルが起こったようですが、朝のフリー走行からクルマがかなり良くなって、決勝でも序盤リチャードがピットに入るまではトップと変わらないような、まずまずのペースで走ってくれていたのでこれなら行けるという手応えがあったのですが……。終盤のトラブルに関して、リチャードも無線で訴えてきていたのですが、電気系のトラブルのために無線もあまり聞こえない状況でしたし、最後はシフトアップ出来なくなったようで残念です。今年は自分にとっても初めての監督としてのシーズンで、開幕前突然就任が決まったこともあり難しいシーズンでした。この2年ほどあまり良い結果が残せていないので、チーム全体として来季はしっかりと準備を整えて臨みたいと思います」