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SUPER GT RACE REPORT

2011年 SUPER GT 第6戦 FUJI <決勝>

2011年9月11日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/平手晃平
決勝総合結果 1位
<決勝> 天候:曇り|コース状況:ドライ

2011年 SUPER GT 第6戦 FUJI <決勝> 今季初めて平手がアタッカーを務めた土曜のスーパーラップでは、ポールポジションには惜しくもコンマ1秒届かなかったものの、見事今季最高となる2番手を獲得したLEXUS TEAM ZENT CERUMO。久々のフロントロウからのスタートに高鳴る思いを胸に、チームはフリー走行を前にした日曜の早朝からピットロードでタイヤ交換や給油作業のシミュレーションを繰り返すなど、入念な準備を整える。途中からは平手、立川も加わり、高木監督の見守る中ドライバー交代の練習もこなし、チームは万全の体勢で午前8時20分からのフリー走行を迎えた。

 ところが、セッション開始を待つチームスタッフの頭上から、霧雤状の雨が降り始めてしまう。セッションスタートまで5分となったころには、やや雨量が増えピットロードの路面はじっとりと黒く湿って行くこととなり、チームでは急遽レインタイヤを#38 ZENT CERUMO SC430に装着し、セッション開始と同時に平手をコースに送り出した。

 ピットアウトした平手だが、今週末初のウエットセッションとあって、まずはレインタイヤの皮むきをこなすため、細かく30分を過ぎてから。それまで11番手あたりに留まっていた#38 ZENT CERUMO SC430だが、徐々に連続周回に入り始めたことで、午前8時34分には1分47秒448で9番手に浮上すると、さらに1分46秒578で6番手とポジションを回復して行く。

 しかし、雨量が微妙に変化する難しいコンディションの中、セッション後半もタイヤを履き替えるなど細かくピットイン&アウトをこなすこととなった平手は、その後ベストタイムを更新することはなく、結局#38 ZENT CERUMO SC430はフリー走行を8番手で終えることに。この30分のセッションではステアリングを握ることのなかった立川も、その後のサーキットサファリの時間帯を使ってフィーリングをチェック。LEXUS TEAM ZENT CERUMOは、まずまずの手応えを持って残る決勝を待つこととなった。

  サーキットサファリ終了後、サポートレースが始まるころには雨が上がり、眩しい日差しがサーキットに照り付けると、あっという間に路面はドライに。このため、午後零時55分からの8分間のウォームアップに向け、#38 ZENT CERUMO SC430はスリックタイヤで臨むこととなった。

 スタートドライバーを務める平手が乗り込み、ドライに転じたコースに出た#38 ZENT CERUMO SC430は、決勝に向けたフィーリングチェックを行うと、いったんピットイン。そして改めてピットを離れ、ダミーグリッドへとついた。

 スタート進行の間にやや曇りがちとなった空の下、ついに午後2時ちょうどに55周の決勝レースのフォーメイションラップがスタート。平手もフロントロウアウト側2番グリッドからこの隊列に加わって行く。

 迎えたスタート。好スタートをみせた平手だったが、ポールの#39 DENSO SARD SC430も鋭い加速をみせ、#38 ZENT CERUMO SC430は2番手のままオープニングラップを終える。背後には#6 ENEOS SUSTINA SC430が続いていたが、平手は逃げようとプッシュする#39 DENSO SARD SC430に食らいつき、5周目には1分36秒730の自己ベストラップをマークしながら追走。徐々に3番手以下を引き離した2台は、マッチレースの様相を呈して行く。

 8周目あたりから現れたGT300の周回遅れをかわしつつ、平手は一時1秒半に拡大したトップとのギャップを縮めることに成功。マシンもタイヤもフィーリングが良く、#38 ZENT CERUMO SC430は平手のプッシュに応え、#39 DENSO SARD SC430を追いつめて行く。

 2011年 SUPER GT 第6戦 FUJI <決勝>コンマ数秒差で続く2台の攻防を見て、高木監督らチームは先にピットインを行う作戦を選択。24周終了時、平手をピットに呼び寄せ拮抗状態となっている首位争いに見切りをつける。ピットインした平手からステアリングを引き継いだ立川は、4輪交換と給油を終え、脱兎のごとくピットアウトしていく。

 これを受けて翌周には#39 DENSO SARD SC430もピットイン。なんとかアウトラップで#39 DENSO SARD SC430を捕らえたかった立川だったが、なんと39号車陣営はLEXUS TEAM ZENT CERUMOを約3秒上回る迅速な作業で井口卓人を送り出し、逆にギャップは約2秒と拡大してしまう。

 ここから立川は前とのギャップを詰めるべく猛プッシュを見せるが、#39 DENSO SARD SC430の井口もルーキーながら予想を上回る好走でこれに対抗。なかなか2台のギャップは縮まらない。

 しかし、終盤勝負と読んで徐々にタイヤを温存する走りに切り替えていた立川の読みが的中する。残り10周となったあたりで周回遅れに引っ掛かるなどした#39 DENSO SARD SC430とのギャップが詰まり始めたのだ。さらに50周目の最終コーナー立ち上がりでアクシデントに見舞われた#36 PETRONAS TOM'S SC430がクラッシュしたため、ストレート上に黄旗区間が生まれ、ここでGT300に詰まった#39 DENSO SARD SC430はさらにマージンを失い、51周を終えたところで#39 DENSO SARD SC430と#38 ZENT CERUMO SC430とのギャップはコンマ7秒に。

 一気に緊張感の高まる中、立川は#39 DENSO SARD SC430を射程に収めると、53周目のコカコーラコーナーでアウトから#39 DENSO SARD SC430に並びかけ、ついにトップに浮上! スタンドと同様にピットでも歓声が上がる。

 2011年 SUPER GT 第6戦 FUJI <決勝>残り2周でトップ浮上を果たした#38 ZENT CERUMO SC430は、そのまま55周を逃げ切って念願のトップチェッカー。ウインドウを開け右手を振りながらウイニングランをする立川が場内のモニターに映し出される中、ウォールでは高木監督と抱き合う平手の姿があった。

 09年の鈴鹿以来の優勝、そしてレクサス陣営にとって待望の今季初優勝を飾った#38 ZENT CERUMO SC430。ついに優勝を飾ったLEXUS TEAM ZENT CERUMOは、なんとかタイトル争いの望みをつないで次戦オートポリスに乗り込むこととなった。

2011年 SUPER GT 第6戦 FUJI <決勝>ドライバー/立川 祐路
「今回は出だしから優勝争いが出来る感触があり、“ここで勝たなければどこで勝つんだ?”という気持ちで臨んでいたので、それを達成出来たことがうれしいですね。特に富士でしたしね。井口選手もとても速かったので、敢えて自分は頑張りすぎず、相手が終盤辛くなるのでは、と考えて走っていましたが、最後は黄旗などで向こうがロスしたのでチャンスが来ましたね。前半、平手が完璧に仕事をこなしてくれていたので、最後は僕が行かないと、という気持ちで抜きに行きました。富士が得意と言われながらも最近勝てていなかったので、自分なりに忸怩たる思いがあっただけに、本当に富士で勝てて良かったです!」

2011年 SUPER GT 第6戦 FUJI <決勝>ドライバー/平手 晃平
「いや〜、さすがにGT500初優勝はうれしいですね! 序盤は相手のペースが分からなかったのですが、3周目くらいに石浦選手がプッシュして逃げようとしたので、ここで離されてはいけないと僕もプッシュして。そうしたら、その後意外と相手とのペースが変わらなくなったので、うまくついて行けましたし、最後まで僕のタイヤはちゃんとパフォーマンスを発揮してくれました。ピットインと言われたときも、まだ余裕があったほどでしたから。実はスタート前にはかなり緊張していたのですが、落ち着いて自分の仕事をすることが出来たと思います。今季厳しい状況にあったレクサス勢ですが、こういうチャンスが巡って来たときに、それを自分たちがモノに出来たことがうれしいですし、次のオートポリスも立川さんが得意なコースですから、この1勝で流れを変えて行ければ最高ですね」

監督/高木虎之介
「ドライなら行けるだろうと昨日から言っていましたが、結果的にその通りになりましたね!39号車が非常に速かったので、最後届かないのではとも思ったのですが、本当に追いつけて良かった。ベテラン立川の読みと経験が生きましたし、前半を担当した平手がずっと離されることなくトップに食らいついてくれたのが凄く良かったですね。ベテランと若手コンビの良い面が出たと思いますし、自分が監督として来て約1年半掛かりましたが、優勝できて僕もホッとしています。ただ、ピット作業では39号車の方が3秒ほど早かったので、その点は改善すべきだと思いますし、残り2戦も諦めずに戦いたいと思います」