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SUPER GT RACE REPORT

2012年 SUPER GT 第8戦 MOTEGI <決勝>

2012年10月28日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/平手晃平
決勝総合結果 1位
<決勝> 天候:雨|コース状況:ウェット

2012年 SUPER GT 第8戦 MOTEGI <決勝> ノックアウト方式で行われた前日の公式予選ではQ1〜Q2で2番手に甘んじたものの、最終Q3で立川が序盤のミスをコース後半に挽回する好アタックをまとめ、開幕戦・岡山以来となる今季2度目のポールポジションを獲得した#38 ZENT CERUMO SC430。前戦オートポリスでタイトルへの望みを絶たれた悔しさを糧に、早くも来季に向けた好スタートを切ったとも言えるLEXUS TEAM ZENT CERUMOだが、土曜のセッションはすべてドライコンディションとなったものの、日曜の決勝は雨が予想されておりまだまだ予断は許されない。立川、平手の頑張りによるポールポジションを優勝という最高の結果に結びつけるため、LEXUS TEAM ZENT CERUMOは最後の調整時間となる日曜朝のフリー走行に臨んだ。

 雨の確立が高い決勝を考えると、朝のフリー走行でもウエットコンディションで走行したかったところだが、朝8時前後には雨がぱらついたものの、その後雨は上がってしまい、午前9時から行われた15分間のサーキットサファリに続いて始まったフリー走行は、完全なドライコンディションでの走行となってしまう。

 それでも決勝に向けてのセットアップを進めるべく、まずはサーキットサファリのスタートと同時に、#38 ZENT CERUMO SC430は平手がステアリングを握ってコースイン。すぐさまピットインして決勝でのピット作業さながらのシミュレーションをこなすと、立川に交代して再び#38 ZENT CERUMO SC430はピットアウトしていく。

 コースに戻った立川は、サファリのバスを避けながら徐々にタイムアップ。サファリが終わる頃には1分44秒424、1分44秒889と44秒台のタイムを連発するなど、好調な走りで周回を重ねて行く。

 午前9時15分からフリー走行の時間帯となると、徐々にコース上がクリアとなり周囲のペースが上がり始めるが、ほどなくして立川はピットイン。午前9時23分からは平手が乗り込み、#38 ZENT CERUMO SC430は再び連続周回に入る。

 1分45秒台の安定したラップを刻んでピットに戻った平手は、ピットイン&アウトを行うと再び連続周回。セッション終盤には1分44秒台にペースアップしつつ、タイヤやセットアップなどの確認作業を進めて行く。

 結局そのままフリー走行のチェッカーまで走行を続けた#38 ZENT CERUMO SC430は、このセッションを10番手で終えることとなったが、終始ドライでの走行となったこのフリー走行終了直後に雨が降り始める。このため、午前10時10分からの2回目のサーキットサファリでは、WET宣言が出される中、15分という短い時間ながら決勝用の雨用タイヤの皮むきを慌ただしくこなすことに。

 しかし、ライバル勢同様LEXUS TEAM ZENT CERUMOもウエットセットまでは確認することは出来ず、未知数のウエットコンディションとなる決勝を迎えることとなった。

 その後雨は一進一退を繰り返し、ウエットコンディションの中で午後零時55分にウォームアップがスタート。#38 ZENT CERUMO SC430は、スタートドライバーを務める平手の手によってレインタイヤを装着しコースイン。フィーリングチェックを終えると、ポールシッターの特権である花道を通ってグリッドへ向かうことに。

2012年 SUPER GT 第8戦 MOTEGI <決勝> スタート進行の間、チームとドライバーはグリッド上でタイヤチョイスなどに頭を悩ませることとなったが、雨はあまり強まることはなかったものの、最終的に#38 ZENT CERUMO SC430はレインタイヤのままセーフティーカー先導スタートとなった決勝レースに臨むこととなった。

 午後2時、セーフティーカーに先導されてレースがスタート。そのまま2周をセーフティーカーが引っ張り、3周目から本格的な戦いがスタートした。

 労せずしてトップのまま3周目の1コーナーを奪った平手だったが、その周の90度コーナーで2番手につけていた同じレクサス陣営の#6 ENEOS SUSTINA SC430がスピンアウト。代わって#23 MOTUL AUTECH GT-Rが2番手に浮上する。しかし、早くも最初のラップで2秒7ものギャップを奪った平手は、そこから力強いペースで周回。ペースの上がらない2番手以下をぐんぐん引き離して行く。

 10周目には7秒3にまでマージンを拡大した平手だったが、その周に#23 MOTUL AUTECH GT-Rをかわし、#1 S Road REITO MOLA GT-Rが2番手に浮上。ミシュランを履き、ややペースの上回る#1 S Road REITO MOLA GT-Rは、じりじりと#38 ZENT CERUMO SC430との間合いを詰め始める。

 しかし、平手もタイヤマネージメントに気を配りながらもプッシュを続け、20周目あたりには2秒ほどにまで#1 S Road REITO MOLA GT-Rに詰め寄られたものの、それ以上の接近を許さない。なかなか#38 ZENT CERUMO SC430を射程に捕えられない#1 S Road REITO MOLA GT-Rは、平手の頑張りを受けて先に動き、33周目にピットに入る。

 ここで#1 S Road REITO MOLA GT-Rはタイヤを換えぬままピットアウト。ピットタイムを短縮することで、その後にピットを控えている#38 ZENT CERUMO SC430を逆転を狙って来たのだ。

 しかし、自身のピットインが迫る中#1 S Road REITO MOLA GT-Rの猛追を受けながらもタイヤマネージメントに徹した平手は、後半を受け持つ立川にも余力を残した形で35周目にピットイン。高木虎之介監督以下、チームは平手との無線での交信や先にピットインした他車のタイヤ状況を踏まえ、こちらもタイヤ無交換で立川を送り出す作戦を採ることに。これが奏功し、立川は先にピット作業を終えていた#1 S Road REITO MOLA GT-Rの前でピットアウト。#38 ZENT CERUMO SC430はスタートから1度もトップを譲ること無く後半戦に向かう。

 コースに戻った立川は、1秒前後のギャップをコントロールしていたが、周回遅れに詰まるなど思うようなペースで周回出来なかったところで#1 S Road REITO MOLA GT-Rの接近を許す。

 しかし、コンマ数秒差で詰め寄る#1 S Road REITO MOLA GT-Rにブレーキングでは肉薄を許すものの、立ち上がりのトラクション重視で走る立川はなかなか隙を与えない。終盤に雨量が増えて来ると、ややペースが上げられず苦労するシーンは見られたものの、立川はトップを死守したままファイナルラップに。

2012年 SUPER GT 第8戦 MOTEGI <決勝> 最終ラップのラストセクターでもGT300の周回遅れに行く手を阻まれ、一瞬ヒヤリとした立川だったが、結局#1 S Road REITO MOLA GT-Rを抑え切ったままトップでチェッカー。ウエットレースで完敗したオートポリスでの借りを返すとともに、シリーズ最終戦を開幕戦に次ぐポール・トゥ・ウインで締めくくった#38 ZENT CERUMO SC430とLEXUS TEAM ZENT CERUMOは、来季に向け最高の形で今シーズン最終戦を終えることとなった。



2012年 SUPER GT 第8戦 MOTEGI <決勝>ドライバー/立川 祐路
「今回ブリヂストンが新しいレインタイヤを用意して来てくれて、そのタイヤについてのデータがまったく無かったので、本当に最後までこのタイヤで走りきれるのかどうか分からず、タイヤ交換をするかどうかはギリギリまで悩んだのですが、ピットインを引っ張ることで同じタイヤを履いていた他のマシンの状況などを見ることが出来ましたし、1号車が先にタイヤを換えずにピットアウトしたので、こちらも無交換で行こうと。結果的にそれが勝因だったと思いますが、オートポリスでのウエットでの完敗の悔しさも残る中、同じ雨のレースでチャンピオンとなった#1 S Road REITO MOLA GT-Rに勝てたということがとても嬉しく思います。今季は開幕戦で優勝して良いスタートを切れたものの、その分序盤からウエイトをたくさん積んで戦うことになり、最終的に逆転されてタイトルに届かなかったことは残念ですが、再びノーハンデの最終戦で優勝出来たことで、気持ち良くシーズンを終えられましたね」


2012年 SUPER GT 第8戦 MOTEGI <決勝>ドライバー/平手 晃平

「決勝がウエットレースになり、8分間のウォームアップでしかウエットでの確認が出来ない状況でしたが、クルマは悪くなかったですし、タイヤも他のレクサス勢の情報なども加味しつつ決めてレースに臨みました。これまで使ったことのないレインタイヤでしたが、序盤からうまくマネージメントしながら走ることが出来ましたし、1号車に追い上げられてからはかなりプッシュしたのですが、その中でもしっかり立川さんの後半スティントのためにタイヤを残すことが出来て良かったです。同じ雨のレースとなったオートポリスで1号車に負けていたので、今回はそのお返しが出来て嬉しいですし、自分としても今週末は良い仕事が出来たと思います。そして今季2度目のポール・トゥ・ウインで最終戦を終えられたということで、僕もLEXUS TEAM ZENT CERUMOに来て2年目ですが、チームとして最高の形でシーズンを締めくくることが出来たと思います」

監督/高木虎之介
「前回のオートポリスのことがありましたから、雨のレースではあまり良くないかもしれないなという思いもあったのですが、ここまで短期間でブリヂストンが良いパフォーマンスを発揮するレインタイヤを用意してくれて、しかも無交換で優勝出来たということは本当に凄いことだと思います。そしてもちろん、ドライバーのふたり、平手と立川が今年一番の良い仕事をしてくれたお陰で優勝出来たのだと思います。チームとエンジニアが良いクルマに仕上げてくれたことも大きかったと思います。タイヤが良くても、クルマのセッティングが決まっていなければ、あれほどのパフォーマンスは引き出せませんからね。本当に全てがうまく行った週末でした。今季は2勝することが出来ましたし、1〜2戦取りこぼしはあったかもしれませんが、自動車メーカー、タイヤメーカー、ドライバー、チームすべてがライバルと戦っている中、終盤までタイトルを争うことが出来て良いシーズンだったと思います。今日勝てたことで、来シーズンに気持ち良く臨めるのではないでしょうか」