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SUPER GT RACE REPORT

2009年 SUPER GT 第4戦 SEPANG <決勝>

2009年6月21日(日) Final 決勝
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/リチャード・ライアン
決勝結果:10位
<決勝> 天候:晴れ コース状況:ドライ

2009年 SUPER GT 第4戦 SEPANG <決勝> 昨日よりもやや早めの時間帯の雨に見舞われた日曜のセパン・インターナショナルサーキット。しかし、その雨も早めに上がったことで、午前10時45分からのウォームアップの路面は生乾き状態。そのため、各車ともにセッション序盤はタイヤの皮むきなどに時間を費やすこととなった。

 ウォームアップ開始前にはメディアの撮影に応じるなど、立川はリラックスした表情を見せたが、その後はドライバーふたりも参加しての真剣なピットストップの練習をこなす。そしてセッション開始と同時に、ライアンがステアリングを握り#38 ZENT CERUMO SC430はコースイン。序盤は頻繁にピットイン&アウトを行ってタイヤの皮むきを行ったが、このセッション終盤には再び雨が降り始め、ライアンも足をすくわれてコースオフを喫したものの、大きなダメージもなくチェッカーを受けてピットに帰還することに。続くサーキットサファリの時間帯には立川がステアリングを握ったが、ここでサーキットは局地的な激しい雨に見舞われ、コースアウトするマシンが続出したことからセッションは早めに打ち切りに。それでもなんとか決勝に向けた準備を整えた#38 ZENT CERUMO SC430は、夕方4時からの決勝に臨んだ。

 午後3時05分、スタート進行が始まると、スタートドライバーを務めるライアンがコースに飛び出していく。しかし、サポートレースでは真夏のような日差しが照りつけていたものの、このスタート前のフリー走行の合間に再び雨が降り始めるなど、今年のセパンを象徴するような、不安定な天候の中、決勝のときが近づく。

 気温33℃、路面温度42℃というコンディションの中、いったんマシンを離れていたライアンが再びコクピットに戻り、午後4時ちょうどにフォーメイションラップが始まった。#100 RAYBRIG NSXがスタート前にエンジン交換を行ったことから、8番グリッドからのスタートとなっていた#38 ZENT CERUMO SC430だが、さらにポールポジションの#1 MOTUL AUTECH GT-Rもミッショントラブルに見舞われてピットスタートとなったことから、労せずして7番手からレースをスタートする状況に。レースが始まる前に既にふたつポジションを上げる幸運な展開となったわけだが、好事魔多し。このとき怒涛の追い上げ激を期待していたピットに予想外の知らせが届く。#38 ZENT CERUMO SC430がスタート用に装着しているタイヤがレギュレーションに合致していないというのだ。今季から導入されたレギュレーションでは、土曜のスーパーラップに進出した車両は、そのタイヤで決勝をスタートしなければならない。裏を返せば、スーパーラップに出なかった車両にはスタート用タイヤの自由度があるということになるが、これに関してチームは拡大解釈してしまい、本来装着が許されないマーキングされていないタイヤを#38 ZENT CERUMO SC430に装着してしまったのである。

 この衝撃の一報の直後に切られたスタートでは、さらにマシンの不具合があったのかライアンが加速に失敗し、大きくポジションを落としてしまい、1周目は 11番手。なんとかポジションを挽回すべく、ライアンは4周目に前の#35 KRAFT SC430をかわし、10番手に浮上するが、その直後にはドライブスルーペナルティーの裁定が。このためチームはやむなくライアンを6周終了時に呼び戻し、ペナルティーを消化させる。ピット前を通過するライアンのマシンに目をやりながら、ピットのスタッフ、そしてウォールの竹内監督の顔に苦渋の色が浮かぶ。

 こうして序盤のうちに13番手にまでドロップしてしまった#38 ZENT CERUMO SC430だったが、「なんとかポイントを……!」と、時折シフト関連に不具合を感じながらもライアンは粘り強く周回を重ねて行く。背後にはピットスタートから追い上げてきた#1 MOTUL AUTECH GT-Rが迫り、一時はその差が1秒を切ったものの、逆に20周を過ぎるとじりじりとGT-Rを引き離し、21周目には再びポイント圏内となる10位に復帰。ライバル勢のピットインが始まると、さらにライアンは順位を上げ、27周目に9番手というポジションでピットイン、立川に後半を託す。

 このピットインの際には、隣のピットで#35 KRAFT SC430が先にピット作業を行っていたため、やむなく斜めに停車するなど不利な展開もあったが、ピットアウトした立川もライアン同様シフトの不具合に悩まされながらもポイントを目指して懸命なドライブを続けることに。特にラスト10周ほどは、背後に#32 EPSON NSXが迫り、コンマ数秒差の10位争いを展開する。ファイナルラップには、ついに#32 EPSON NSXに並びかけられた立川だったが、接触しながらもポジションを死守し、10位でチェッカーを受けることに。

 まさに苦闘というべき54周を走りきった#38 ZENT CERUMO SC430。レース後、ファイナルラップの攻防での接触が危険行為とみなされ、競技結果に30秒加算というペナルティーを受けることとなったが、後続が離れていたことからポジションは10位と変わらず。苦しみながらも貴重な1ポイントを獲得した#38 ZENT CERUMO SC430は、悔しさを胸に異国の地を後にすることとなったのだった。

ドライバー/立川 祐路ドライバー/立川 祐路
「まぁいろいろあって、状況的に辛いレースになってしまいましたね……。僕のスティントのタイヤは、持っている中では一番やわらかいものを選んで行ったのですが、それでも夕方で気温などが下がっていく中では、もっとやわらかいものがあれば、という感じでした。終盤はパドルシフトのフィーリングも悪化したりしてペースが上げられず、後ろのNSXにかなり攻められてしまいました。できればもっとポイントが獲れれば良かったのですが、その分ウエイトも増えませんし、次戦にまた気持ちを入れ替えて頑張ります」

ドライバー/リチャード・ライアンドライバー/リチャード・ライアン
「ペナルティーに関しては、ドライバーとしては残念だという以外コメントのしようがない。しかし、それだけじゃなくスタートの時にも、エンジンなのかシフトなのか、うまく加速できずに大きくポジションを落としてしまったしね。その後なんとかポジションを挽回し始めたところで、ドライブスルーすることになって、とにかくうまくいかない一日になってしまった。この結果は悔しいけれど、昨年はもっと厳しい状況でもタイトル争いに持ち込むことができたのだから、まだまだチャンスはあるはずだよ」

監督/竹内 浩典監督/竹内 浩典
「ちょっと予想外のことというか、言い分けの出来ないミスが出てしまいました。今年から導入された規則なのですが、スーパーラップに出なかった場合はスタートでタイヤがフリーに選べるという勘違いがあって……。残念ですが、そういう部分ではちょっと緩みがあったといえるかもしれません。ただ、その点を除いても、今回のセパンではレース展開とリザルトを見る限り、SC勢にとっては辛いものがあったように思います。次戦もウエイトが厳しいことに変わりはありませんが、涼しいほうが状況は良いでしょうから、次戦の菅生でまた巻き返したいと思います」