2009年 SUPER GT 第5戦 SUGO <決勝>
2009年7月26日(日) Final 決勝
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/リチャード・ライアン
決勝結果:10位
<決勝> 天候:晴れ コース状況:ドライ
天候の悪化が伝えられていた日曜の仙台地方だが、下り坂と言うその予報に反して朝から青空も垣間見えるような晴れ間が菅生の上空に広がる。そのため、前夜には雷雨となったことが嘘のように真夏を思わせる日差しが照りつけることとなり、この日午前9時45分から行われたフリー走行は気温30℃、路面温度 40℃という暑さの中、ドライコンディションで行われた。
走行開始から#38 ZENT CERUMO SC430のステアリングを握ったのはライアン。セッション開始直後からコースに出たライアンは、序盤から5~6番手につけるまずまずの立ち上がりで、7 周目に1分19秒984のベストをマークする。セッション中盤にはGT300クラスのマシンから脱落したパーツがシケイン立ち上がりのコース上に落ちるなど、コースはクリアな状況ではなかったものの、後半にライアンからステアリングを引き継いだ立川も順調に周回。結局、ファイナルラップとなった20周目にライアンのタイムを更新する1分19秒788を立川がたたき出し、#38 ZENT CERUMO SC430は8番手でこのセッションを終えることに。
午後から雨という予報が引き続き残ってはいたものの、午後1時05分からのスタート進行が始まっても、空は完全な夏空。気温31℃、路面温度46℃とさらに暑くなっていく中、決勝が厳しいコンディションとなることが予想されたが、8分間のウォームアップ走行に臨む、スタートドライバーを努めるライアンはこの暑さにも笑顔を見せる。「暑くなるのは僕らにとって好都合かもしれないよ」と、ソフト系のタイヤでスタートすることになることが予想される上位陣のタイヤの消耗が早いのではないかという読みだ。
しかし、スタート時刻が近づくと、最終コーナー方向の上空に大きな黒雲が。じりじりとその黒雲が近づき、文字通り風雲急を告げる雰囲気がサーキットを覆う中、最後までグリッドに残っていた立川がスタンドのファンに手を振りつつピットに戻り、ついに午後2時にフォーメイションラップがスタート。1周ののち、81周のレースが始まった。
スタート直後の1~2コーナーの位置取りが悪かったか、9番手スタートのライアンはインフィールドでポジションを落とし、1周目を11番手で終えることに。しかし、2周目に#35 KRAFT SC430をかわしトップ10に復帰したライアン駆る#38 ZENT CERUMO SC430は、コンマ数秒差で前を行く#100 RAYBRIG NSXを追う展開。しかし、背後には同じく追い上げを図る#12 IMPUL カルソニック GT-Rがおり、ライアンはこの#12 IMPUL カルソニック GT-Rとのバトルを続けるが、15周目に先行を許し再びポイント圏外の11番手に。この頃には、サーキットを照らしていた日差しは陰り、ウォールの竹内監督が見上げる上空は黒い雲に覆われてしまう。
そして22周目、最終コーナーでパンクに見舞われた#8 ARTA NSXをかわし、再び10位に戻したライアン。しかし、その数周後には、ついにポツリ、ポツリと雨粒がコース上を濡らし始めてしまう。
この雨を合図に、上位陣のピットインの動きが始まる。その中で、28周目に8位、29周目に7位と着実に順位を上げたライアンは、コース状況を読みつつ、ピットとピットインのタイミングを探る。そしてやや雨の強まる中、33周終了時点でピットに滑り込む#38 ZENT CERUMO SC430だったが、ここでメカニックたちの迅速な作業が功を奏し、同時にピットインした6番手の#12 IMPUL カルソニック GT-Rを逆転し6番手に。ステアリングを引き継いだ立川は、レインタイヤでウエットコンディションに転じていくコース上でさらに5番手に浮上、ポールシッターであった#3 HASEMI TOMICA EBBRO GT-Rを追い詰めていくと、40周目の最終コーナーでインを突き、レースの折り返しとなる40周終了時点で表彰台目前の4位にまで進出。ピットではスタッフ達が昨年の逆転劇の再来を期して、モニターで立川の走りを見守る。
しかし、3位を行く#39 DUNLOP サード SC430を追う立川の背後には、序盤から競り合っていた#12 IMPUL カルソニック GT-Rが迫る。再びコンマ数秒差でのバトルが勃発するが、最終コーナーで周回遅れに詰まったところを利用されて間合いを詰められると、47周目の2コーナー立ち上がりで#12 IMPUL カルソニック GT-Rに右リヤをプッシングされ、たまらず立川はスピン。ここで、スピンしながらも「これならすぐに立て直せる!」と立川は、カウンターを当てながらアクセルを開けたものの、#38 ZENT CERUMO SC430は縁石に乗っていたこともあり、さらにもう一回スピンを喫してしまう。なんと、右リヤを押された際に右リヤタイヤがパンクしてしまっていたのだ。
やむなくすぐさまピットインし、右リヤタイヤを交換した#38 ZENT CERUMO SC430は再びコースに戻るが、一気に4番手から11番手にドロップ、事実上の勝負権を失ってしまう。なんとかポイント獲得につなげるべく、雨が上がって乾き始めた終盤、62周終了時点でスリックに賭けたLEXUS TEAM ZENT CERUMOは、79周目に#32 EPSON NSXをパスして10位に這い上がり、1ポイントをもぎ取るものの、それ以上の挽回は許されず。そのまま10位でチェッカーを受けることとなった。表彰台目前から一転、1ポイントにとどまった#38 ZENT CERUMO SC430。次なる舞台は真夏の鈴鹿、シリーズ最長距離となる700kmもの長丁場での戦いとなる。
ドライバー/立川 祐路
「流れが良くないなりに頑張れてはいたんですが……。レインで出て、フロントがなかなか温まらず苦しみつつも、ペース自体は悪くなかったと思うんですが、最終コーナーで周回遅れに詰まったところでギャップを詰められてしまって。2コーナーでミラーで見て、”来るな!”と思ったところで、ドン!と。立て直してスタートしようとしたとき、すぐにリヤがパンクしているのが分かりました。最後は、あの順位のまま走っていても意味がないので、スリックに賭けたんですが、10位での1ポイントが精一杯でした。残念ですが、次の鈴鹿で大量得点を絶対に狙います!」
ドライバー/リチャード・ライアン
「昨日に引き続いて、思うように行かない一日になってしまったね。序盤今ひとつでポジションを落とし、集団の中でタイトなスティントになったけれど、雨が降ってきて、ピット作業も良かったし、タチカワがせっかく4位まで追い上げていたんだけれど……。残念と言うしかないけれど、次の鈴鹿700kmは長いレースだし、今回以上に何が起こるか分からないレースになるはず。今日は1ポイントに終わってしまったけれど、次はこんなことにはならないと信じているよ」
監督/竹内 浩典
「ドライからウエットに換える最初のピットインのタイミングも、ピットの作業も良かったと思います。しかし、やはりすべては12号車にプッシュされてしまったことで、上位入賞のチャンスが消えてしまいましたね。レースですから、こういうことはいつでも起こり得るわけですが、シリーズを争うライバル達が確実に加点していっている中で、僕達も1ポイントでも多く獲得したかっただけに、残念というしかありません。次戦の鈴鹿で取り返すしかないですね」