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SUPER GT RACE REPORT

2012年 SUPER GT 第2戦 FUJI <決勝>

2012年5月4日(金) Final決勝レース
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/平手晃平
決勝総合結果 8位
<決勝> 天候:くもり時々雨|コース状況:セミウェット〜ドライ

2012年 SUPER GT 第2戦 FUJI <決勝> 終日ウエットコンディションとなった前日のスーパーラップでは、立川のアタックで6番グリッドを獲得した#38 ZENT CERUMO SC430。500kmの長い戦いを前にまずまずの予選ポジションを獲得したとはいえ、予報では500kmの決勝がドライとなるとされているだけに、LEXUS TEAM ZENT CERUMOにとっては、他のライバル勢同様木曜朝のフリー走行が非常に重要な意味を持つ。それだけに、30分間とはいえしっかりと走り込んで決勝に向けた準備を整える準備を整え、チームは木曜のサーキットを後にした。

 ところが、金曜朝の富士はどんよりとした曇り空が広がり、雨こそ降っていないものの気温は16℃前後と涼しく、路面は乾くどころかセミウエット状態のままでのフリー走行となってしまった。ライバル勢同様、レインタイヤでの走行となってしまった#38 ZENT CERUMO SC430だが、それでも時間を無駄にすることなく午前8時半にセッションがスタートすると、序盤は決勝で2回予定されているピットストップでのドライバー交代などのシミュレーションを消化。そして開始8分のあたりから平手からステアリングを引き継いだ立川がようやく連続周回に入って行く。

 ゆっくりとしたペースでピットイン&アウトを行いながらフィーリングをチェックした立川は、セッション半ばの午前8時46分に1分45秒170をマークし7番手に#38 ZENT CERUMO SC430を押し上げると、その後も周回を重ね終盤には平手にバトンタッチ。ステアリングを引き継いだ平手は、フリー走行終了後のサーキットサファリの時間帯を使って決勝用タイヤの皮むきを行うなど、公式練習は11番手で終えるも、LEXUS TEAM ZENT CERUMOは出来る限り決勝に向けての準備を整える。

 サポートレースやピットウォークを終えた午後零時55分、いよいよ決勝のスタート進行が8分間のウォームアップで始まった。コンディションは予想どおりドライ。スタートドライバーを務める立川は、スリックタイヤを履いてコースに出るとこの短い時間でコース状況やマシン、タイヤの状況をチェック。ここでの#38 ZENT CERUMO SC430は、フィーリングも良く1分35秒554と3番時計をマーク、LEXUS TEAM ZENT CERUMOは決勝に向け大きな自信を得ることとなった。

 ところが、午後2時の決勝スタートを待つ間に、ポツリ、ポツリとグリッド上に雨粒が落ち始める。しかし、雨量はそれほど酷くはならず、#38 ZENT CERUMO SC430は他車同様スリックタイヤのままスタートを迎える。だが、予想に反して雨量は徐々に強まり、レースはセーフティーカー先導によるスタートとなった。

 午後2時、SCに先導された隊列が1周目をスタート。コース後半を中心に雨が強まって行く中、SC先導の1周目に#36 PETRONAS TOM’S SC430がピットインして浅溝のレインタイヤに履き替える。2周目、さらにピット周辺でも雨が強まり、チームは5番手に浮上したばかりの#38 ZENT CERUMO SC430をピットに呼び寄せる決断をするが、ここでなんと#8 ARTA HSV-010以外のGT500全車がピットになだれ込む。

 混乱するピットロードの中、迅速な作業で浅溝タイヤに交換した#38 ZENT CERUMO SC430は、#32 EPSON HSV-010や#39 DENSO KOBELCO SC430をピットで逆転、本来なら7番手に下がるところを5番手のままコースに復帰することに成功する。

2012年 SUPER GT 第2戦 FUJI <決勝> そして翌3周終了時、SCがピットに入り本格的にレースがスタート。ここでのジャンプアップが期待された#38 ZENT CERUMO SC430は#23 MOTUL AUTECH GT-Rをかわし、続いてスリックで苦闘する#8 ARTA HSV-010をコカコーラコーナーで捕らえ3番手に。さらにダンロップコーナーでは前を行く#6 ENEOS SUSTINA SC430がオーバーランしたことで労せずして#36 PETRONAS TOM’S SC430に次ぐ2番手に躍進を果たす。

 願ってもない展開に、長丁場ながらも好リザルトへの期待が膨らんだ矢先、高木監督以下スタッフたちの目に1コーナーでオーバーランを喫した#38 ZENT CERUMO SC430の姿が飛び込んで来る。

 思いがけないアクシデントで一気に11番手まで後退を余儀なくされた#38 ZENT CERUMO SC430だが、立川はミスを挽回するべく7周目には#17 KEIHIN HSV-010をパスして10番手に。10周目には#32 EPSON HSV-010のピットインによって9番手と、着実に浮上して行く。

 しかし、この頃には序盤の混乱を呼んだ雨が上がってしまい、路面は徐々に乾き始めることに。ライバル陣営の何台かはいち早くスリックに履き替えるものの、LEXUS TEAM ZENT CERUMOは敢えて立川をそのままコースに留まらせることで大きくポジションを挽回。ついに21周目に#38 ZENT CERUMO SC430はトップに立つ。

 立川をうまく引っ張ったチームは、26周目に平手に交代。スリックタイヤを履いた平手は10番手でコースに復帰すると、翌周には9番手に。さらに37周目には8番手、38周目には7番手と順調にポジションアップを果たすが、好事魔多し。この追い上げの最中、ダンロップコーナー立ち上がりのシケインでGT300車両がコースアウトしたため提示されていた黄旗区間で周回後れを抜いてしまったという判定が下され、#38 ZENT CERUMO SC430にペナルティーストップ10秒が科せられてしまったのだ。

 4番手にまでポジションを上げていた平手だったが、46周目に無念のピットボックスへ。ここで#38 ZENT CERUMO SC430は8番手に再びドロップすることになった。ここからのさらなる挽回に期待が掛かったものの、徐々にタイヤの消耗に苦しみ始めていた平手は、50周目に7番手に浮上も、#17 KEIHIN HSV-010に先行されてしまうなどペースがやや鈍ってしまい、ついに7番手ながら58周目には周回遅れになってしまう。

    

 さらに不運が#38 ZENT CERUMO SC430を襲う。62周目に1コーナー付近で発生したGT300のクラッシュに対応するため、SCが再びコースイン。いったん全車はGT500、GT300別に隊列を整えることとなったが、ここでトップの#12 カルソニック IMPUL GT-Rの直後に#38 ZENT CERUMO SC430が並べられることに。さらにSCランの間にピットインが解禁されると#12 カルソニック IMPUL GT-Rがピットインしたものの、トップでもない#38 ZENT CERUMO SC430がSCの直後に従えられてしまった上、そのまま#38 ZENT CERUMO SC430を先頭にレースがリスタートしてしまったのである。

 ここで大きく前車とのギャップが開いてしまった#38 ZENT CERUMO SC430は、70周目にピットインし平手から立川にステアリングを委ねるが、#38 ZENT CERUMO SC430は12〜13番手あたりにまで後退してしまう。

 それでも諦めずに前を追った立川は、84周目にようやくポイント圏内の10番手に浮上するが、このあたりからまたしても雨が降り始めてしまう。徐々に路面状況が悪化、ラップタイムが下がってしまいこらえ切れずにピットインしてレインタイヤに履き替えるライバル勢を後目に、LEXUS TEAM ZENT CERUMOは立川をコース上に踏ん張らせる。これによって、101周目に9番手、102周目に8番手とした#38 ZENT CERUMO SC430は、波乱のレースをそのままのポジションでフィニッシュ。期待されたような上位でのチェッカーこそ受けられなかったものの、貴重な3ポイントを追加して次戦のマレーシアラウンドに向かうこととなった。


2012年 SUPER GT 第2戦 FUJI <決勝>ドライバー/立川 祐路
「序盤に1コーナーでブレーキをロックさせてしまって。それでコースアウトしてかなりポジションを下げてしまったのが残念でした。その後はチームの作戦が上手く行ってかなりリカバリーさせてもらったんですが、全体としては思うように行かないレースになってしまいました。ウエイトを積んでいる割には、ペース的にまずまずだっただけに、きちんと上手く戦っていれば、充分表彰台も狙えていただけに悔しかったです。とにかく今日は難しいレースでした。最後はかなり路面が濡れて来ましたが、チームからピットに入らないで走り続けるよう指示が出ていたので踏ん張りましたが、それも上手く行って少し順位を上げられて良かったです。セパンでは今回獲るつもりだった大量得点を取り返せるよう頑張ります」

ドライバー/平手 晃平

「自分のスティントでは今週初めてスリックタイヤでロングランをすることになったわけですが、予想よりも早い段階で乗り難い状況になってしまって。それでも周囲と遜色のないペースでは走れていたのですが、前と間隔が開いていたこともあって目に見えない敵と戦っているような感じで、必要以上に焦りがあったのか、GT300がスピンしていることはチームから聞いていましたし、気をつけて周回遅れを抜いたつもりだったんですが、自分の感覚よりは前に出てしまっていたみたいでペナルティーを取られてしまいました。あれがなければもっと上位でフィニッシュ出来ていたと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいですが、最後に立川さんが頑張ってくれてポイントを獲ってくれたので、セパンでは去年苦しみながらも5位でゴール出来ているので、この富士のミスを挽回し表彰台フィニッシュを狙いたいと思います」

監督/高木虎之介
「今日は予想外の展開でした。スタートはとても良かったんですが、全体としてミスがいっぱいあったので……。飛び出したり、黄旗無視があったりしましたから、とにかくうまく行かなかったという印象ですね。それでも最初立川を引っ張って平手に繋いだところはうまく状況の変化に対応し、周囲と違う新しい作戦を立てて成功していたんですが、しょうがないと言うしかないです。ふたりのドライバーのペース自体はそれほど悪くなかったですが、とにかくコンディションが不安定で悪かった。そういう中でも本当ならばちゃんと生き残らなければならないわけで、今日に関しては流れが悪かったということだと思います。次のセパンでは絶対挽回したいと思います」