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SUPER GT RACE REPORT

2012年 SUPER GT 第5戦 SUZUKA <決勝>

2012年8月19日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/平手晃平
決勝総合結果 9位
<決勝> 天候:晴れ|コース状況:ドライ

2012年 SUPER GT 第5戦 SUZUKA <決勝> 前日のノックアウト予選では惜しくもQ3への進出を逃した#38 ZENT CERUMO SC430。88kgというトップハンデを踏まえ、酷暑の長丁場での戦いのために敢えて硬めのタイヤを選んだために致し方のない状況ながら、それでも1000kmレースだということを考えれば、8番手スタートも大きな問題とはならないはず。堂々のポイントリーダーであるLEXUS TEAM ZENT CERUMOにとっては、シリーズタイトル争いを有利に進めるためにも決勝での挽回が欠かせないが、そのためには決勝日朝のフリー走行でのセットアップ確認が非常に重要になってくる。

 ところが、夜半に雨が降ったことで、午前8時からの日曜朝のフリー走行のコンディションはセミウエット。ウエット宣言も出され、仕方なくLEXUS TEAM ZENT CERUMOは序盤平手がステアリングを握り、雨用タイヤの皮むきなどに終始することとなった。

 気温26℃、路面温度31℃というコンディションの中、コースインした平手はピットイン&アウトを行いつつ皮むき作業に徹し、ラップタイムも周囲が2分05秒台で周回する中を、2分12秒台に留まる。それでもセッション中盤の午前8時15分には2分08秒685、さらに午前8時18分には2分08秒307と、コンディションの好転もあり、ポジション的には15番手ながら徐々にペースを上げて行く#38 ZENT CERUMO SC430。

 午前8時22分には平手から立川にバトンタッチし、まだ濡れている部分はあるものの今度はスリックタイヤの皮むきを行った#38 ZENT CERUMO SC430は、そのままチェッカー。このセッションでは決勝に向けたセットアップを進めることも事実上不可能であったことを考えれば、15番手という結果にもチームには悲壮感は全くない。

 例年よりも早く、午後零時半にスタートする決勝のため、8分間のウォームアップは午前11時25分といつもより早めのスタート。ここではスタートドライバーである平手がステアリングを握ったが、コースコンディションは完全なドライに転じており、限られた時間ながら決勝に向けた最終チェックをせんと、#38 ZENT CERUMO SC430は精力的に周回。ここで1分56秒323にまでタイムを上げた#38 ZENT CERUMO SC430は、モニターのトップにつけてチェッカー。決勝に向けてまずまずの手応えを得てダミーグリッドに向かうこととなった。

 距離が再び1000kmとなったことで、午後零時半にフォーメイションがスタートした決勝は173周の長丁場。アウト側4列目の8番グリッドからスタートした平手は、まずはポジションキープのまま1周目を終えると、前に#36 PETRONAS TOM’S SC430、後ろに#35 KeePer Kraft SC430という状況でレース序盤を戦う。

 3周目に1分57秒638のベストタイムをマークした平手だったが、気温32℃、路面温度50℃という暑さとなったためか、予想以上にタイヤのグリップ感が薄く、早々にリヤの不安定さを感じながらのドライブを強いられることに。密集の中ではこうした状況は厳しかったか、なんと6周目のスプーンでバランスを崩した#38 ZENT CERUMO SC430は単独でスピン。コースオフした平手はリヤタイヤがグラベルにスタックしてしまう。

 祈るような表情でこのシーンをモニターで見つめるコンクリートウォールの高木監督だが、#38 ZENT CERUMO SC430はオフィシャルの助けを借りてレースに復帰を果たすも、なんといきなり周回遅れとなってしまう。

 そこから再び周回を続けた平手だったが、リヤの不安定感は強まるばかりで、止むなくチームは18周目に平手をピットに呼び寄せ、タイヤを交換し立川に挽回を託す。

2012年 SUPER GT 第5戦 SUZUKA <決勝> ステアリングを引き継いだ立川は、9周目に#36 PETRONAS TOM’S SC430がリタイアとなったことで14番手とすると、じりじりとペースアップ。トップが26周目に到達したあたりで1分57秒018のベストラップをたたき出すが、徐々に上昇して行く気温の中、やはり立川もマシンバランスとタイヤの消耗に苦しむこととなり、34周目には#32 EPSON HSV-010のリタイアの間に13番手に浮上も、予定より早めの39周目にピットインする。

 ここで再びピットアウトした平手は、それまでとは違うやや硬めのタイヤを装着。これが奏功し、平手は43周目にその時点での全体のファステストラップとなる、1分55秒832をたたき出すものの、既にラップダウンとなっているがゆえに、自力での順位挽回は難しく#38 ZENT CERUMO SC430とLEXUS TEAM ZENT CERUMOは我慢のレースを強いられる。

 タイヤバーストやクラッシュ、2度のセーフティーカー導入など大荒れとなった決勝だが、脱落して行くライバルを後目に着実に周回を続ける#38 ZENT CERUMO SC430は、99周目についにトップ10まで浮上。序盤のスピンから、ようやくポイント圏内に漕ぎ着ける。

 119周目、再び立川からステアリングを委ねられた平手だが、既にフィーリングの良い硬めのタイヤは使い切っていたために履けず、異なるタイヤでのコースインも、やはりバランスが悪く苦戦。このためLEXUS TEAM ZENT CERUMOはタイヤテストの意味合いも含めて、敢えて平手を140周目にピットインさせ、より柔らかいタイヤを試すことに。このタイヤでも序盤はあまりフィーリングの良くなかった平手だが、徐々にバランスが改善し151周目には1分56秒740と、上位陣と遜色の無いラップタイムを刻んでみせる。

 155周目、130R立ち上がりで目前で起こった#17 KEIHIN HSV-010の大クラッシュに、辛くも巻き込まれること無くすり抜けた平手はそのままピットイン。LEXUS TEAM ZENT CERUMOは最後のスティントを立川の手に委ねる。

2012年 SUPER GT 第5戦 SUZUKA <決勝> この#17 KEIHIN HSV-010のクラッシュ処理のため、セーフティーカーが入った間に9番手とひとつポジションを上げた#38 ZENT CERUMO SC430は、そのままのポジションでチェッカー。最終的にトップからは3周遅れとなったものの、序盤のアクシデントからしぶとく挽回しての9位入賞となった#38 ZENT CERUMO SC430。ポイントを争っていたライバル勢がことごとくノーポイントに終わるという状況にも恵まれ、ポイントリーダーの座を保ったまま次戦富士に臨むこととなったが、シリーズは残り3戦。タイトル争いに向けて、次戦富士では上位入賞が期待される。


2012年 SUPER GT 第5戦 SUZUKA <決勝>ドライバー/立川 祐路
「残念ながら序盤で周回遅れとなってしまったために、長丁場とはいえ思うようにペースを上げて前を抜いて行ってポジションを上げるという戦いかたができず、とにかく淡々と周回を重ねて行くしか無かったのですが、それで結果的に9位ということで最低限ポイントも獲れましたし、奇跡的にポイントリーダーのままで富士に行けるということで悔しい中にも良かった点はあったなと思います。走行中はタイヤに不安を感じながらの走行でしたし、最悪のケースだけは避けたかったので、思いっきり走るというのではなく、最低限コースに留まってチェッカーを受けようという格好になりました。ただ、次の富士はテストでも良かったですし、今回の挽回を狙いたいですね」


2012年 SUPER GT 第5戦 SUZUKA <決勝>ドライバー/平手 晃平

「昨日から感じていたリヤの不安定なフィーリングが解消し切れていなかったようで、レースがスタートして3周ほどで症状が出始めたのですが、そんな中でスプーンに入ったところでリヤが出てしまって。スピンアウトは自分のミスです。序盤に自分のミスから周回遅れになってしまって、チームの皆さんに迷惑をかけてしまいとても反省しています。その後自分のスティントでは硬めのタイヤではフィーリングも良かったのですが、終盤柔らか目のタイヤを履いたときにはまた思わしくない部分を感じるなど、これほどタイヤのコンパウンドの違いで大きなフィーリングの変化を感じたのは初めてのように思いますが、運良く他の上位勢がノーポイントで終わっているので、なんとか富士で今日の分を取り返したいと思います」

監督/高木虎之介
「絶対にミスをしない、というのが今季のチーム内でのテーマだったのですが、序盤にいきなりミスが出てしまって。ちょっと残念と言うしか無いですし、それによって周回遅れとなったことで思うように戦えなくなってしまいましたし、タイヤの消耗のこともあり結果的に作戦面でも選択肢がなくなり、じっと我慢のレースをするしかありませんでした。それでもなんとか終盤に周囲が脱落したこともあり、10位、そして9位に浮上して少ないなりにポイントを獲得出来たことは良かったと思います。ただ、残念ながら今回はミスによって望んでいた結果が得られなかったわけで、そこだけは絶対に改善しなければならないポイントだと思いますし、次の富士では1ポイントでも多く稼がなければなりませんね」