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SUPER GT RACE REPORT

2012年 SUPER GT 特別戦 FUJI <決勝>

2012年11月17日(土) 決勝レース1 / 11月18日(日) 決勝レース2
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/平手晃平
第2レース決勝結果:立川 祐路 1位
<第2レース決勝> 天候:晴れ|コース状況:ドライ

2012年 SUPER GT 特別戦 FUJI <決勝> 大会最終日は前日の雨も上がり晴天となった。天候の回復もありこの日だけで4万1,300人のファンが詰め掛けた。サーキット周囲の紅葉・黄葉も彩りを取り戻しすっかり晩秋の景色となった。朝早くからピットウォーク、パレード走行、オープニングセレモニー、さらにはオールグリッドウォークといったさまざまなイベントが行われ、サーキットはお祭りのような雰囲気に。お昼からはFニッポンのレースを行い、さらに往年の名ドライバーが20名参加して行われたワンメイクレースであるレジェンドカップも実施され、GT300の第2レースが終わると、いよいよ本日最後のレースとなるGT500の第2レースを迎えることとなった。

 進行の都合で予定より5分遅れの15時35分に決勝レースのフォーメイションがスタート。そして15時38分、レッドシグナルがブラックアウトして22周のスプリントレースがスタートした。ここで絶妙なロケットスタートを決めたのは、#38 ZENT CERUMO SC430を駆る4番グリッドの立川で、1コーナーまでにトップに躍り出た。スタートダッシュで2周目までに後続に1.7秒のリードを築きこのまま独走態勢に入るのかと思わせるほどだった。

 しかし4周目からリヤタイヤのムービングが起きてペースが鈍り、ポールシッターの#36 PETRONAS TOM’S SC430の中嶋一貴の追撃を受けることとなった。5周目のプリウスコーナーで中嶋が前に出るも、立川も最終コーナーで抜き返し2台は並んでホームストレートを駆け抜けた。1コーナーで前を奪ったのは中嶋で、立川も2コーナーからコカ・コーラコーナーでも並びかけようとし、さらにダンロップコーナーでも並びかけるも抜き返すことはできない。

 2台の差は徐々に広がり10周目には1.132秒の差まで広がってしまった。しかし立川はあきらめることなく再びペースを上げて中嶋を追いかけていく。中盤の12周目には0.5秒差を切る0.455秒まで詰め寄るが、中嶋も再びリードを広げる。しかし立川もダンロップコーナーの進入で接近。14周目には2台の差は0.326秒にまで縮まった。16周目の100Rで立川は勝負を仕掛けて、ヘアピンでついに並び2台は何度も軽く接触しながらダンロップコーナーへ。しかしここは中嶋がトップを守った。

2012年 SUPER GT 特別戦 FUJI <決勝> そして勝負が決したのは18周目だった。17周目のダンロップコーナーで再び中嶋の真後ろまで迫った立川は、最終コーナーで中嶋が外側へ膨らんだところを見逃さずにインに飛び込みついにトップを奪回。中嶋もホームストレートで並び18周目の1コーナーで再逆転かと思われたが、ブレーキを我慢しすぎたかオーバーラン。これで立川は余裕のリードを築くこととなり最終的には2.6秒の差をつけて優勝。チェッカーを受けた後はプラットフォーム側にマシンを振り右手を振りながらウィニングランへ入った。

 なおこの優勝で2レース合計のポイントでトップに立った#38 ZENT CERUMO SC430は総合優勝に。高木虎之介監督には国土交通大臣賞が授与されることとなった。

 今季はシリーズで2勝を挙げながらチャンピオンを獲得できなかった#38 ZENT CERUMO SC430。最終戦の強さと今回の第2レースの速さは、来年の活躍を十分に期待させる内容となった。


2012年 SUPER GT 特別戦 FUJI <決勝>ドライバー/立川 祐路
「スタートはタイミングがドンピシャで、あまり良すぎたのでジャンプスタートのペナルティが取られてしまうのではないかとドキドキしました。トップに立ってから後続を引き離せるかなと思っていたのですが、リヤタイヤがムービングしだしたこともあってペースを落とさざるを得ませんでした。(中嶋)一貴には先行されてしまいましたが、しばらく我慢して走っていたらバランスも戻ってきたので追いつくことができました。相手の挙動は後ろから見えていたしフロントタイヤがきつそうだなと思っていました。しかしお互いギリギリのバトルでしたね。最初からこのレースは楽しもうと思っていたのですが、ここまで楽しくなるとは思いませんでした。チャンピオンは逃しましたが、チームは完璧でしたしクルマも速かったんだということを証明できたいいレースでした」

監督/高木虎之介
「レースは勝てるとは思っていましたが、あのまま2位で終わってしまうのかなとも考えました。しかし周囲のみんながタイヤがたれてきて苦しいなかでも、立川はタイヤの持たせ方を知っています。さすがベテランですね。まだまだ若いのには任せられないぞという気持ちでドライブしていたんでしょう。誰もがうまいなと思った会心のレースになりましたね。今回は立川の活躍もあり総合優勝となったわけですが、本当はやはりシリーズのチャンピオンを取りたかったですね。クルマとドライバーのポテンシャルが高かったのでシリーズで2勝もできました。2005年以来チャンピオンを獲得できていませんが、僕が監督に就任して3年でチャンピオン争いできるチームとしてレベルが上がってきたかなと思います。来年こそぜひチャンピオンを獲得できるよう頑張りたいので応援をよろしくお願いします。一年間の応援ありがとうございました」

第1レース決勝結果:平手 晃平 13位
<第1レース決勝> 天候:雨|コース状況:ウェット

2012年 SUPER GT 特別戦 FUJI <決勝> 大会2日目は朝早くから冷たい雨が落ちてきて一日中降り続くこととなった。朝のオープニングセレモニー、Fニッポンの予選時は気温も10度を切るほどの寒さで、ピットウォークを終了しGT300クラスの第1レースが始まるころにも気温は10度という状況になった。しかしこのような天気にもかかわらず、1万9,000人のファンがグランドスタンドを中心に富士スピードウェイに詰め掛けた。

 サポートレースのヴィッツレース中から雨脚は強まり、午後3時のGT500第1レースコースインのころにはコースはヘビーウェットコンディションとなっていた。気温は12度、路面温度は11度と冷えたままで、さらに視界はあるものの雲が低く立ち込めサーキット全体が暗くなってしまった。決勝レースがスタートできるのか判断が難しいまま午後3時15分にフォーメーションラップが始まり、各車ウェービングをしながらタイヤを温めてコースをゆっくりと1周していった。

 午後3時18分、レッドシグナルがブラックアウトして22周の決勝レースがスタート。しかし#38 ZENT CERUMO SC430を駆る平手はエンジンをストールさせてしまった。エンジンをかけなおし隊列に加わるも1周目に13位と大きくポジションを落とす結果となった。2周目の1コーナーで先行を許した#32 EPSON HSV-010をかわして12位となりいよいよ追い上げ開始かと思われたが、3周目のダンロップコーナーで1速から2速へのギヤが入らず2回スピンを喫し14位にドロップ。そこから平手は追い上げ前を行く#19 WedsSport ADVAN SC430に迫るも、視界を遮る水煙のために思うようにラップタイムを上げることができない。5周目には10位走行中の#39 DENSO KOBELCO SC430が2コーナー先でスピン&コースアウトを喫し、平手は13位へポジションを上げた。しかし6周目のダンロップコーナーでまたもやギヤが入らずスピンを喫し14位と忙しい内容のレース展開になった。ペースが上がらず順位を落としていた#36 PETRONAS TOM’S SC430が7周目にピットインしたこともあり、平手は13位へ順位を回復。

 そして隊列が9周目に入ったタイミングで、天候不順のためにセーフティカーが導入されることになった。直後にトップを走行する車両がスピンを喫するなど、コースコンディションはさらに悪化。しばらくセーフティカーの先導で天候の回復を待ったが、12周目を走行中に赤旗が掲示されてレースは中断。全車ホームストレート上に車両を止め、レースはそのまま打ち切り。決勝レースはあいにくの天候のために予定された22周の半分にも満たない10周終了の時点で成立となった。

 18日の第2レースは午後3時30分に立川が担当して行われる予定。天候も回復しドライコンディションでのレースが予想されるが、今日の平手のフラストレーションを払拭させるような活躍を期待したい。

2012年 SUPER GT 特別戦 FUJI <決勝>ドライバー/平手 晃平

「フォーメーションスタートの際にスタート練習をした時にはうまくスタートが決まったので、いいフィーリングだなと思い欲をかいてしまいました。よりトラクションがかかるようにエンジンの回転数を落としてスタートをしたのですが、エンジンストールを喫してしまいました。視界は悪いしコース上には水も結構たまっていましたから、とにかく無事にゴールさせないといけないと思いながら走っていましたが、すごいハイドロ(プレーニング現象)で全然アクセルが踏めないようなレースでした。ですから結果が良かったとしても面白くないレースでしたね。ヘアピンからダンロップコーナーまで姿勢を乱しながら走っているのを見たファンもがっかりしたことでしょう。スタート前の天候は非常に危険な状態だったと思います。早く判断を下すとか、翌日に延期できるようなタイムスケジュールを考えなど、来年以降は運営も考えてもらえるとうれしいです。最終戦で勝っていい気分だったのが、フラストレーションのたまるレースになってしまいすごくがっかりしています」

監督/高木虎之介
「スタートでエンジンストールしたのがすべてでしたね。あの土砂降りのコンディションでは危険すぎてレースは無理じゃなかったでしょうか。1台もクラッシュすることなく終わってよかったと思いました。こんなコンディションでは後ろにいると水煙で前が全然見えませんから予選が大事ということですね。一番前を走っていれば視界もある程度確保できるわけだし、後ろにいるとラップタイムは何秒も遅くなりますから。平手もストールがなければ表彰台に行けたかもしれませんが仕方がない。明日はドライコンディションになるでしょうから、お客さんには第2レースを楽しんでもらいたいですね」