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SUPER GT RACE REPORT

2015年 SUPER GT 第5戦 SUZUKA <決勝>

2015年8月30日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO RC F#38 立川祐路/石浦 宏明
決勝総合結果 2位
<決勝> 天候:雨〜曇り|コース状況:ウェット〜ドライ

2015年 SUPER GT 第5戦 SUZUKA <決勝> 1000kmという長丁場での戦いとなる第5戦。土曜に行われた公式予選では、今大会から科せられた燃料リストリクターというハンディキャップを跳ねのけ、見事予選2位、フロントロウを獲得した#38 ZENT CERUMO RC F。しかし、予想されていたとはいえ、決勝日朝の鈴鹿サーキットは前夜の雨が残りフルウェット状態と余談を許さないコンディションとなった。

 通常大会であれば午前にフリー走行が設けられ、そこで決勝に向けてのセットアップ確認などを行うが、今回は1000kmレースのためにフリー走行はなし。FIA-F4、ポルシェといったサポートレースの間に路面がどんどん好転するものの、時折パラつく雨の影響もあって決勝を前にした午前11時08分からの20分間のウォームアップは、各車ともにレインタイヤでの走行に。LEXUS TEAM ZENT CERUMOも、スタートドライバーを務める石浦がステアリングを握り、セットアップとレインタイヤの評価を慌ただしく終え、2分00秒482の3番手につけて決勝を迎えることとなった。

 華やかなスタート進行の後、午後零時30分に白バイとパトカー先導によるパレードラップがスタートすると、2番グリッドから石浦の駆る#38 ZENT CERUMO RC Fも隊列に加わる。相変わらず雨が断続的に降るトリッキーなコンディションの中、翌周にはフォーメーションラップが行われ、ついに午後零時39分に1000km、173周という長い戦いの火蓋が切って落とされた。

 鋭い加速を見せた石浦だったが、それを上回る加速で#64 Epson NSX CONCEPT-GTが2番手に浮上、石浦は無理せず3番手に後退も、デグナーで#64 Epson NSX CONCEPT-GTがトップの#1 MOTUL AUTECH GT-Rをも捕らえたことで、石浦も#1 MOTUL AUTECH GT-Rに並びかけるが、ここは一歩届かず3番手キープに。結局#38 ZENT CERUMO RC Fは、オープニングラップを3番手で終えることとなった。

 序盤、ペースの上がらない#1 MOTUL AUTECH GT-Rにプレッシャーをかけ続けた石浦だったが、7周目にはハイペースで追い上げて来た#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTの先行を許し4番手に、さらに8周目には周回遅れの登場に行き場を塞がれ、#12 カルソニック IMPUL GT-Rにもポジションを奪われるなど、序盤は苦戦した#38 ZENT CERUMO RC Fは、最初の10周で8番手まで後退する。

 しかし、そこから粘り強く周回を続けた石浦は、タイヤの消耗に苦しめられながらも13周目には7番手に浮上すると、最初のピットに入るマシンが出始めた30周目に6番手、31周目に5番手、32周目に4番手……、とポジションアップを果たすと、結局34周目に2番手まで浮上したところで最初のピットに飛び込むことに。

 このあたりではやや雨が強まる状況となっており、立川もレインタイヤでピットアウトし6番手付近でコースに復帰する。しかし、徐々に天候が回復し空が明るくなり始めると、いったん下げていたペースを取り戻した#38 ZENT CERUMO RC Fは#12 カルソニック IMPUL GT-R、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTらとの激しい4番手争いを展開する。

2015年 SUPER GT 第5戦 SUZUKA <決勝> ところが、この立川のスティント中に、最初のピットインの際に充分に給油されていなかったことが判明。LEXUS TEAM ZENT CERUMOは戦略の見直しなど難しい状況に追い込まれたかに見えたが、幸運にも雨が上がり急速に路面が乾き始めたことで、60周を前にスリックタイヤに履き替える陣営が現れる。

 ここでLEXUS TEAM ZENT CERUMOも62周目と少し早めに立川をピットに呼び戻し、3スティント目には石浦をスリックタイヤで送り出すこととなった。

 このピットインによって戦略的な苦境を脱したLEXUS TEAM ZENT CERUMOだったが、石浦がピットアウトした直後にGT300車両がクラッシュ、セーフティーカーが導入されることに。このSCランの間にゆっくりとタイヤを温めることが出来た石浦は、70周目のリスタート直後からベストラップを連発しつつ#36 PETRONAS TOM’S RC F、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTに次ぐ3番手を走行する。

 75周目にいったん#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTに先行された#38 ZENT CERUMO RC Fだったが、1コーナー付近でオイルが撒かれたために、再びセーフティーカーがコースに。80周目のリスタート以降、再びペースを上げた石浦は#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT、#12 カルソニック IMPUL GT-Rとの三つ巴の攻防を展開する。

 石浦は101周目に再び2番手まで浮上したところでピットへと向かい、立川にバトンタッチ。5番手で復帰した立川は、1分52秒463のベストラップを刻みながら、108周目に#46 S Road MOLA GT-Rをパスし4番手に。さらに112周目の1コーナーでは#12 カルソニック IMPUL GT-Rを捕らえ3番手とすると、113周目の130R立ち上がりで#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTを巧みなライン取りでオーバーテイク。瞬く間に2番手へと#38 ZENT CERUMO RC Fを押し上げる。ウエイトが軽くトップを独走する#36 PETRONAS TOM’S RC Fには及ばないものの、立川は133周目まで安定したラップで後続に大差をつけて2番手をキープすると、ラストスティントを再び石浦に託す。

 うす暗くなり始める中、コースに出た石浦は140周目に1分52秒213のベストラップを更新すると、終盤雨が降るなど再び難しいコンディションとなるとペースを落とし、無理せず2番手をキープ。路面コンディションが悪かったことから当初予定された173周ではなく、午後6時25分というレース時間規定が先に来たため、最終的に163周でチェッカーが提示され、#38 ZENT CERUMO RC Fは見事2位でフィニッシュすることに。

 こうして2戦連続での2位表彰台を得た#38 ZENT CERUMO RC Fは、18ポイントを追加してドライバーランキングで2位に浮上。戦前は苦戦が予想されたものの、この難しいレースでチャンピオンシップへの期待をさらに高めることとなった。

ドライバー/立川 祐路
 「ドライでのクルマの調子が良く、特にコーナーが速かったので、路面が乾いて来た状況ではうまく先行しているクルマをパスして2番手まで上がることが出来ました。そのあたりでは、周回遅れが絡んでくる状況もうまく利用出来たと思います。序盤混み合っているところでは燃料リストリクターの影響でキツいところもありましたが、後半ばらけてからはある程度自分たちのペースで走れたことで、うまくタイヤも労りながら自分のスティントをこなすことが出来ました。今回の2位でランキングも2位に浮上出来ましたが、燃料リストリクターの影響も次の菅生では鈴鹿よりも大きくないのではという読みもありますし、重くなっても頑張って、とにかくタイトルを手にするために残る3戦の内、なんとか1勝することを目指します」

ドライバー/石浦 宏明
「最初のスティントでは、コンディションの不安定な状況もあってレインタイヤの消耗が厳しかったですね。それでも5スティントという戦略が成り立つように、できるだけ引っ張ってピットインしましたが、そこでの作業の際、給油量が足りないことが立川さんのスティント中に判明し、かなりピンチとなりましたが、急激な路面コンディションの回復とセーフティーカーに助けられました。また、途中で水温が上がってしまい、最後のスティントまでコクピット内の警告灯が点いている状況での走行でしたが、マージンのお陰で最後はペースを落として2番手をキープ出来て良かったです」

監督/高木虎之介
「もしかしたら勝てるのでは、とまで思えるような展開だったのですが2位でしたね。燃料リストリクターが付いた状況で戦った結果として、2位表彰台は充分満足の行くものでしたが、反省点としては最初のピット作業で給油量が足りなかったことと、ピット作業が他のチームと比べて毎回遅かったこと。ピット作業は4回行っていますから、これだけで数十秒は失っていたと思います。そういった部分では、今回は頑張ってくれたドライバーふたりに負担を懸けてしまったなと。このあたりは、次の菅生に向けて改善しなければならないと思います。残り3戦となりますが、次の菅生はもっと重くなってしまうとはいえ、そこでなんとかしぶとくポイントを加算して、終盤軽くなった状況でタイトル争いが出来るように持ち込みたいと思います」