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SUPER GT RACE REPORT

2009年 SUPER GT 第8戦 AUTOPOLIS <決勝>

2009年10月18日(日) Final 決勝
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/リチャード・ライアン
決勝総合結果:11位
<決勝> 天候:晴れ コース状況:ドライ

 予報では晴天が伝えられていた日曜のオートポリス。しかし、午前8時30分から行われた朝のフリー走行はどんよりとした曇り空の下、気温11℃、路面温度13℃という肌寒いコンディションでのスタートとなった。前日の予選でポールポジションを獲得した#38 ZENT CERUMO SC430だが、事前テストが禁じられた今季、09年型SC430では充分なデータのないオートポリスということもあり、このセッションでのLEXUS TEAM ZENT CERUMOは決勝に向けたデータ収集に集中することに。

 まずセッション開始と同時にライアンが#38 ZENT CERUMO SC430を駆りコースイン。すぐさま1分44秒775、そして1分44秒625と序盤のうちに好タイムをマーク、2~3番手の好位置につけると、9周をこなしてセッション半ばにピットイン。後半は立川が#38 ZENT CERUMO SC430のステアリングを引継ぎ、6周をこなしてフィーリングを確かめることに。結局このセッション、#38 ZENT CERUMO SC430は#12 IMPUL カルソニック GT-R、MOTUL AUTECH GT-Rのニッサン勢の先行こそ許すも、SC430勢では最上位となる3番手となり、午後の決勝に向けての期待がさらに高まることとなった。

 ピットウォークのころから天候がグッと回復、眩しい日差しが照りつけ気温17℃、路面温度26℃と暑くなる中、午後1時05分、ウォームアップが始まった。スタートドライバーを務めるライアンがコースインし、フィーリングを確認後いったんピットイン。そしていよいよ午後1時27分、既にグリッドに並んだライバルマシンたちが作った列の中央を進み、誇らしげにポールポジションに向かう#38 ZENT CERUMO SC430。スタート進行の続くグリッド上では、竹内監督、立川らもスタッフたちと談笑するなど、背水の陣に向かうとはいえ不要な緊張感はない。その傍ら、ライアンがいったん脱いでいたヘルメットを再び装着、コクピットに乗り込む。

2009年 SUPER GT 第8戦 AUTOPOLIS <決勝> そして、午後2時ちょうど、ライアンの#38 ZENT CERUMO SC430を先頭としたローリングが始まると、その1周後、午後2時03分にいよいよ65周の決勝レースが始まった。

 シグナルが変わり、勢い良くスタートダッシュを決めたライアンは、労せずしてトップのまま1コーナーをクリア。2番手にはアンドレ・ロッテラーの#36 PETRONAS TOM’S SC430が浮上することとなったが、レース序盤にギャップを築こうとするライアンに対し、#36 PETRONAS TOM’S SC430も食らい付くという展開に。3番手の#12 IMPUL カルソニック GT-Rを引き離しながら競り合う2台は、徐々にマッチレースの様相となるが、周回遅れが出始めたところでリズムを崩されたか、#38 ZENT CERUMO SC430と#36 PETRONAS TOM'S SC430のギャップが急接近。15周目の1コーナーではスリップを利用した#36 PETRONAS TOM’S SC430が、ブレーキングを遅らせて#38 ZENT CERUMO SC430のインを突いてトップに立ったかに見えたが、冷静にクロスラインを採ったライアンが立ち上がりでアウトにはらんだ#36 PETRONAS TOM'S SC430を再逆転、トップを死守しスタンドを沸かせる。

 一進一退の接近戦を繰り広げながら、首位を争うライアンは、29周終了時にピットイン。しかし、背後につけた#36 PETRONAS TOM’S SC430も同じタイミングでピットロードへ。首位攻防はピット作業での勝負となったが、ここで僅かにタイヤ交換に遅れが生じたためか、エアジャッキが降りる直前にコクピットの立川がエンジンを始動させてしまう。即座にエンジンを切り、ジャッキダウン後に再始動したものの、このために#38 ZENT CERUMO SC430は#36 PETRONAS TOM’S SC430の先行を許すことに。

 こうしてポジションを5~6番手としてコースに復帰した#38 ZENT CERUMO SC430だったが、戦前の言葉通り立川は諦めることなく前を行く#1 MOTUL AUTECH GT-Rに迫っていく。32周目、うまくGT-Rのスリップを奪った立川は、1コーナーでのブレーキングで並びかけるも、イン側で粘る#1 MOTUL AUTECH GT-Rに敢えて並びかけず、クロスラインを使って1コーナー立ち上がりでポジションを入れ替えることに成功、4番手に。

2009年 SUPER GT 第8戦 AUTOPOLIS <決勝> レースは後半に突入、一時は3秒以上あった前の#36 PETRONAS TOM’S SC430とのギャップを縮めた#38 ZENT CERUMO SC430。39周目に再び首位争いとなった2台のSC430の戦いは、いつしかテール・トゥ・ノーズの接近戦に。ところが、なんと3位の#1 MOTUL AUTECH GT-Rを引き離して続いていたマッチレースの最中、レースが残り15周を切ったあたりで恐れていた情報がピットに届く。ピット作業時、ジャッキアップ中のエンジン始動によって、ピット作業違反の審議中というのだ。結局、コンマ5秒差で立川が#36 PETRONAS TOM'S SC430を追っていた56周目、レース結果に30秒を加算する旨のペナルティーが下されることとなってしまった。

 その時点の位置関係のままレースをフィニッシュすれば、それでも3位に踏みとどまれたはずの#38 ZENT CERUMO SC430だったが、なんと59周目の最終セクションで目前の#36 PETRONAS TOM'S SC430がGT300に行く手を阻まれ急制動したため、追突をさけるべくイン側のラインへ切れ込んだ立川。しかし、#36 PETRONAS TOM'S SC430もターンインするべくイン側へ動いたことから2台は軽く接触し、立川はたまらずスピン。ガードレールにリヤをヒットさせてしまう。

 なんとかマシンを立て直した立川は、そのままメカニックたちの待つピットに戻るが、必死に修復を試みるもダメージが大きく万事休す。「言葉が見つからない……」と短い言葉を残した立川。ライアンも唇をかみしめるが、そのまま#38 ZENT CERUMO SC430はコース復帰はならず、完走扱いとなったものの、11位とノーポイントに終わり、残念ながらタイトルへの望みが絶たれることとなった。

監督/竹内 浩典
「前半のライアンのスティントで、思いのほかタイヤが辛かったこともあり、立川には最初からセーブさせるしかなかったのですが、それでも頑張って追い上げてくれましたし、勝ち負けを争うレースができたという点で週末全体を見れば、チームとして良い戦いを全員がしてくれたと思います。ただ、ペナルティーもあったし、クラッシュもしてしまったので……。いつもはジャッキが降りてから、きちんとエンジンを掛けている立川ですが、フロントに少し手間取っていたこともあるし、同じタイミングで目の前の36号車が入っていたこともあって、ちょっと息が合わなかったのかもしれません。今回の結果でタイトルの可能性はなくなりましたが、最終戦のもてぎでは気持ち良く勝ってシーズンを締めくくりたいですね」