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SUPER GT RACE REPORT

2009年 SUPER GT 第8戦 AUTOPOLIS <予選>

2009年10月17日(土) Qualify 予選
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/リチャード・ライアン
公式予選総合結果:1位 (1分41秒609)
<公式予選> 天候:曇り コース状況:ドライ

 予選、決勝と思うに任せぬ戦いを強いられた前戦富士の#38 ZENT CERUMO SC430。富士で僅か1ポイントの獲得に留まったため、チャンピオン争いという大きな目標のためには、今回のオートポリスでは是が非でも勝ちに行かねばならない状況となり、このオートポリス、そして最終戦のもてぎの残り2戦は、まさに背水の陣が続くこととなった。しかし、今大会からSC430勢はニューエンジンを搭載することとなった上、空力などにも新たなデバイスを投入するなど、全車一丸となって最終戦までチャンピオン争いに加わるべく、いっそう戦う姿勢を前面に押し出してのサーキット入りとなった。

2009年 SUPER GT 第8戦 AUTOPOLIS <予選> 早朝は晴れ間も見えた土曜のオートポリスだったが、標高の高い山間にあるサーキットとあってかドライバーズブリーフィングが終わり、立川とライアンがピットに戻ったころには細かい雨がパラつくなど不安定な天候。ファンと朝の挨拶を交わし笑顔を見せるライアンもフリースを着込むなど、午前9時05分からの公式練習は気温17℃、路面温度19℃と肌寒く小雨が時折落ちてくる中、WET宣言が出されてのスタートに。

 最初に#38 ZENT CERUMO SC430のステアリングを握ってコースインした立川は、1分44秒961で序盤2番手あたりにつけると、セットアップとタイヤ選択を進めるべく、細かくピットイン&アウトを繰り返す。荒れた路面、低い路面温度という難しいコンディションの中、思うようなバランスやグリップ感がなかなか得られず跳ねるマシンに手を焼くものの、立川は1分43秒823、1分43秒482と着実にタイムアップ。LEXUS TEAM ZENT CERUMOは、3~4番手につけ、午前10時を回ったところで立川からライアンにバトンタッチ。こちらもセットアップを中心にセッション終盤まで走り込むが、1分44秒429をマークするなどまずまずのフィーリングを得る。そしてセッションラストの10分には再び立川がコースイン。ライアン同様1分44 秒台のラップタイムをマークした立川が、そのままチェッカーを受けることとなり、#38 ZENT CERUMO SC430はこの公式練習を5番手というポジションで終える。

 雨も上がり、曇り空ながらも完全なドライコンディションで迎えた公式予選1回目は、午後零時40分からスタート。まずは、30分間の混走セッションとなるが、ここではセッション開始と同時に立川が#38 ZENT CERUMO SC430を駆ってコースインするが、8分ほど走行してマシンのフィーリングをチェックすると、立川は既にヘルメットを被り、走行準備を整えたライアンの待つピットへ。メカニックたちが慌ただしくセットアップを変更する中、コクピットにはライアンが座り、午後零時55分にピットアウト。この時点では GT500の最後尾、14番手に甘んじていた#38 ZENT CERUMO SC430だが、すぐさまライアンが1分46秒485をマークして基準タイムをクリア、13番手とすると、ステアリングは再び立川に委ねられることに。混走時間帯、残り5分の段階でピットを離れた立川は、ピットアウト後の計測2周目、このセッショントータルでの10周目に1分43秒979をたたき出し、一気に6番手に#38 ZENT CERUMO SC430を押し上げてピットイン。混走時間帯を良い流れで終えることとなる。

 その後、GT300の占有時間帯に赤旗中断があり、スーパーラップ進出権を賭けた公式予選1回目ラスト10分間のGT500占有時間帯が始まったのは、午後1時29分。僅か10分のセッションながら、一番良いコンディションを待って、竹内監督、加藤エンジニア以下、チームは#38 ZENT CERUMO SC430のコクピットでピットアウトに臨む立川をしばらく待機させ、結局ピットアウトしたのは残り7分となった時点。立川はタイヤを温めつつ、まずは1 分47秒663をマークするが、この時点での#38 ZENT CERUMO SC430は7番手。スーパーラップ進出を確固たるものとするためには、さらなるタイムアップが期待される中、翌周立川は1分42秒156をたたき出すことに成功、1分41秒727をマークした暫定PPの#6 ENEOS SC430にこそ及ばなかったが、堂々の2番手でのスーパーラップ進出を決めることとなった。

2009年 SUPER GT 第8戦 AUTOPOLIS <予選> やや日が陰った午後3時10分から始まったスーパーラップ。予選1回目に2番手となったことで、7番目のアタッカーとなった#38 ZENT CERUMO SC430。ドライバーを務める立川はアタックに向け集中を高めていく傍らで、メカニックたちが一心不乱に走行準備を整えて行く。1分41秒台後半のタイムを並べ、接戦を演じるライバルたちの走りをモニターでチェックしつつ、立川がピットを離れると、竹内監督、加藤エンジニアはサインガードへ向かい、ピット内に残ったスタッフ達同様、モニターを見つめる。

 ヘッドライトを点灯し、計測に入った立川は渾身のアタックを見せ、セクター1ではライバル勢に僅かに先んじるものの、セクター2では逆に僅かに後れを取る一進一退の展開。しかもダウンヒルストレート直後の右コーナーでは、やや攻め過ぎたか、「危ないっ!」と立川も息を呑むほど、コースアウトぎりぎりの緊迫したアタックとなったが、このセクター3で一気にタイムを詰めた立川は1分41秒609と、僅か1000分の37秒そこまでトップに立っていた#12 IMPUL カルソニック GT-Rを上回り、見事トップに躍り出る。

 この段階では笑顔を見せなかった竹内監督だったが、最終アタッカーの#6 ENEOS SC430のタイムが1分41秒817となり、#38 ZENT CERUMO SC430のポールポジションが確定すると、さすがに相好を崩しカメラに向かってサムアップ。ピット内でもメカニックたちが安堵の表情で喜びを分かち合うこととなった。

 「明日の決勝は勝たなければ、もうタイトル争いから脱落してしまうという気持ちで戦う」と、マシンを降りテレビのインタビューに応える立川のコメントに代弁されるように、明日は負けられない一戦。タイトル争いへの生き残りを賭け、#38 ZENT CERUMO SC430は最高のポジションから臨むこととなった。

ドライバー/立川 祐路
 「開幕以来、久々のポールポジションが獲得できました。このところ、やや調子を落としていたのですが、その原因が分かって対策できていたのですが、朝の公式練習では路面のせいもあってクルマが跳ねてしまい、今ひとつでした。しかし、予選に向けてチームがしっかりとマシンを仕上げてくれたおかげで、今日はポールが獲れたんだと思います。09年型SC430での走行データのないサーキットですから、決勝でのタイヤの消耗具合など未知数の部分もありますが、勝てなければタイトル争いから脱落するという戦いなので、明日は気合を入れて頑張ります!」

2009年 SUPER GT 第8戦 AUTOPOLIS <予選>ドライバー/リチャード・ライアン
「午前の走行で立川が走った段階では、まだクルマは難しい状況のようだったけれど、立川と加藤エンジニアが頑張って良いセットアップにしてくれたね。スーパーラップでは、しっかり走ればポールポジション争いができるとは思っていたものの、僕が(記者会見用に)レーシングスーツに着替えると、逆に運が逃げるかもと思って私服で立川の走りを見守っていたんだ。明日の決勝に向けてはポールは大きなアドバンテージになるけれど、僕達はチャンピオン争いのためには 2、3位ではダメ。1位しかないのだから、明日は絶対に勝つつもりで行くよ!」

監督/竹内 浩典
「久々のポールポジションで、スタッフも喜び方を忘れていたかもしれませんね(笑)。しかし、久々とは言え、このチャンスを絶対に逃すわけには行きません。明日はなにがなんでも、確実に勝ちを狙って戦いますし、もう勝つしかない状況にあるのは確かですが、チーム全員まったくあきらめてはいません。明日負ければもう後がありませんが、ポールポジションは最高のお膳立てですし、これを無駄にすることなく明日に賭けてみたいと思います」