2010年 SUPER GT 第1戦 SUZUKA <決勝>
2010年3月21日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/リチャード・ライアン
決勝総合結果 9位
<決勝> 天候:雨時々曇|コース状況:セミウェット~ドライ
予選から一夜明けて日曜の鈴鹿は曇り空。既に夜半から朝方に掛けて降った雨は上がっていたものの、路面は黒く湿っている。決勝に向けた最後の調整時間となる日曜朝のフリー走行は、セミウエット路面で午前8時半からのスタート。このためセッション開始直後、#38 ZENT CERUMO SC430を駆ってコースインするライアンも浅溝のレインタイヤを履くこととなった。
コースイン直後から決勝を見据えてピットイン&アウト、ドライバー交代をしながら路面状況の好転に対応してドライタイヤに履き替えた#38 ZENT CERUMO SC430は、午前9時を過ぎたあたりからペースアップ。立川のドライブで1分56秒985、1分56秒045と順調にタイムを上げてこの時点での4番手に。
その後再びライアンに交代して走行を続けた#38 ZENT CERUMO SC430は、45分間のこのセッションを結局6番手で終える。さらに続けて行われたサーキットサファリの時間帯も使ってセットアップを進めたLEXUS TEAM ZENT CERUMOは、いよいよ今季開幕戦の決勝を迎えることとなった。
昼前あたりから、黄砂混じりの“白い雨”が降るなど、どんよりとした曇り空の下で、午後零時50分から決勝を前にしたスタート進行が始まった。#38 ZENT CERUMO SC430のスタートドライバーを務めるライアンがステアリングを握り、まずは8分間のウォームアップ走行に向かう。しかしコースインの頃から雨脚が強まり、ライアンはワイパーを使いながらの走行。だが、そのセッション終盤、場内のモニターにボンネット左側が浮き上がった状態でスロー走行する#38 ZENT CERUMO SC430の姿が突如映し出される。緊張感に包まれたピットだったが、幸い大きなダメージには至らず、無事に午後1時10分過ぎ、ライアンの乗った#38 ZENT CERUMO SC430がフロントロウ・アウト側の2番グリッドについた。
そしていよいよ午後2時、気温16℃、路面温度19℃というコンディションでローリングがスタート。ポールポジションの#18 ウイダーHSV-010に続き、2番グリッドからライアンも動き出す。1周の後、シグナルがグリーンに変わり、ついに今季初戦が始まった。上空からは大粒の雨が西コースを中心に落ちているトリッキーな状況だ。
スタート直後、上安定な路面コンディションの中リスクを避けたライアンは、手堅く2番手をキープ。前を行く#18 ウイダー HSV-010を追って130Rに進入した#38 ZENT CERUMO SC430だったが、なんとここで#18 ウイダー HSV-010がコースアウト。労せずしてライアンはトップに浮上を果たす。だが喜びもつかのま、2周目の1コーナーで#35 MJ KRAFT SC430の逆転を許してしまう。「タイヤの内圧が低かったのか……!?《と序盤に上安定なフィーリングを感じたライアンは、ここで無理をせず、後続を巧みに抑えつつ2番手をキープする戦いを見せる。
しかし、こうした上位争いの後方で、11周目の1コーナー手前で3台のマシンが接触し、クラッシュ。このためコース上にはセーフティーカーが導入されることに。
SCランは15周終了時点でリスタートとなったが、この直後から#38 ZENT CERUMO SC430は#1 PETRONAS TOM'S SC430の猛攻を受けることに。17周目のシケイン進入では、#1 PETRONAS TOM'S SC430にインを奪われたかに見えたライアンだったが、#1 PETRONAS TOM'S SC430が止まりきれずにオーバーランしたため、クロスラインでポジション奪還に成功。ライアンは2番手を死守したまま周回を重ねていく。
この状況のまま周回は進み、ライアンがルーティンのピットインを行ったのは上位陣ではトップとなる23周終了時。ここで立川にドライバーを交代し、給油とタイヤ交換を終えた#38 ZENT CERUMO SC430は、立川のドライブでコースに復帰。翌周にピットインしたレースリーダーの#35 MJ KRAFT SC430がアウトラップでペースが伸び悩むのを逃さず、立川はデグナーカーブの立ち上がりでこれをパス。まだ多くの陣営がピットインを引っ張っている状況ながら、#38 ZENT CERUMO SC430がタイヤ交換を行ったマシンの中では最上位に浮上を果たす。
ところが、30周目あたりから続いた上位陣のピットインでタイヤを2輪のみ交換、あるいは無交換という作戦でピットタイムを短縮する陣営が現れたこともあり、立川は#100 RAYBRIG HSV-010に次ぐ4番手に留まることに。逆に終盤タイヤが辛くなり、ペースが上げられなくなってしまった#38 ZENT CERUMO SC430は、苦しいレース展開に。背後から詰め寄る#17 KEIHIN HSV-010の猛攻をしのいでいた立川だったが、50周目のシケイン内で並び掛けられ接触。このためコース外にはじき出されてしまい、加えて左フロントのホイールにダメージを受けた#38 ZENT CERUMO SC430は、1コーナーでコースアウトを喫するなど、大きくポジションを下げてしまう。
なんとかスロー走行でピットを目指す立川の奮闘もむなしく、トップは52周を走り切ってチェッカー。ピットに戻った#38 ZENT CERUMO SC430は、その場でレースを終えることとなってしまう。表彰台目前の粘り強い戦いが、予期せぬアクシデントによって、9番手での完走扱いという無念の結果となってしまった。
ドライバー/立川 祐路
「思いのほか厳しい展開のレースになってしまいました。自分のスティントにはリチャードと同じタイヤを選んで行ったのですが、序盤は35号車をパスするなど好調だったものの、5~6周を過ぎたあたりから徐々にバランスが悪くなり、トラクションを失ってしまって。それでもなんとか4位ではフィニッシュしたかったのですが、17号車にシケインで接触されてホイールが割れ、大きくポジションを下げてしまいました。残念ですが、タイヤに問題がなければ、良い感じで走れていたと思うので、気持ちを切り替えて次戦で好成績を狙います」
ドライバー/リチャード・ライアン
「スタート直後は雨が降るなど、とても難しいコンディションだった。いきなりトップに立ったのは良かったけれど、タイヤの内圧が低かったのかグリップ感が序盤足りずにペースが上げられなかったね。ただ、それでも2番手をキープして立川につなぐことができたので、その点では良い仕事ができたと思う。ただ、その後立川が思わぬ苦戦を強いられてしまって……。結果としては開幕戦は残念なものになってしまったけれど、次戦の岡山では失ったポイントを取り戻すべく頑張るよ」
監督/高木虎之介
「週末全体を見れば、予選はまずまずだったものの決勝は今ひとつでしたね。セーフティーカーが入って、雨が降って、という難しいコンディションの中、序盤は無難に2番手をキープ出来ていたんですが、結果的にピットのタイミングが少し早かった。立川が後半のスティントで苦しんだ状況を考えれば、出来ればもう 5~6ラップはリチャードを引っ張りたいところでした。作戦的なミスだったかもしれませんが、いずれにせよトップにタイヤ無交換なんていう作戦をやられてしまうと、残念ながら勝つことは難しかったと思います。岡山でのテストはトップタイムでしたし、あとは気温などの上昇を見越してクルマをどんな形で持ち込むか。岡山の最初の公式練習を良い形で乗り切れれば、週末を通じて良い戦いが出来ると思います。