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SUPER GT RACE REPORT

2021年 SUPER GT 第6戦 AUTOPOLIS <決勝>

2021年10月24日(日) final 決勝
ZENT GR SUPRA#38 立川祐路/石浦宏明
決勝結果 2位
< 決勝 > 天候:晴|コース状況:ドライ

 

2021年 SUPER GT 第6戦 AUTOPOLIS サクセスウエイトの状況、そして決勝レースでのペナルティストップが決まっている状況に加え、10番手と苦しい予選となった10月23日(土)から一夜明け、SUPER GT第6戦オートポリスは10月24日(日)の決勝日を迎えた。予選日の状況を踏まえZENT CERUMO GR Supraにさらなるセットアップを施したTGR TEAM ZENT CERUMOは、決勝レースでの状況打開を目指した。

 薄曇りのもと、午後1時30分からスタートした決勝レースのスタートドライバーは立川祐路。今回、チームがセレクトしていたタイヤは決勝を見すえてのものだったが、直前のウォームアップで、そのタイヤとセットアップ改良に好フィーリングを得ており、オープニングラップでまずは#17 NSX-GT、#24 GT-Rをかわし2ポジション上げると、混戦のなかバトルを展開。#37 GR Supraを先頭としたバトルのなかで、一度は#17 NSX-GTにかわされるも、ふたたび7周目に前へ。バトルのなかで接触するシーンもあったが、ダメージはなく戦いを続けていく。

 そんななか、8周目に事前からの想定どおり、レースコントロールからエンジン交換によるペナルティストップ5秒の通知が飛ぶ。ZENT CERUMO GR Supraのフィーリングは良く、立川は「入りたくないくらい」と思うほどひさびさにバトルを満喫していたが、9周を終えてピットイン。ペナルティを消化する。ただこの際、先にペナルティを消化していた#37 GR Supraの前で戻ることに成功した。

2021年 SUPER GT 第6戦 AUTOPOLIS この時点でトップ集団との差は大きく開いていたが、TGR TEAM ZENT CERUMOに幸運が訪れる。9周目、第2ヘアピンでGT300クラスの車両がクラッシュし、フルコースイエローが導入され、さらにそれがセーフティカーに切り替えられた。ペナルティストップをこなした他の2台のGR Supraとともに上位との差を詰められたのだ。

 レースは16周目にリスタートを迎える。この時点でZENT CERUMO GR Supraは14番手だったが、リスタート後、トップを走っていた#16 NSX-GTのタイヤが外れるアクシデントが。さらに18周目にはターン5でGT300マシンのクラッシュが発生し、ふたたびセーフティカーランとなった。

 このセーフティカーランは23周目まで行われることになるが、この時点で65周のレースの3分の1を消化しており、リスタート後ピットインが可能なタイミングとなっていた。タイムロスを避けるためには、すぐにピットに入った方が良いか、それともクリアなスペースを走ってタイムを稼いだ方が良いか……? チームはピットインのタイミングをうかがった。

 上位陣が続々とピットに入っていくなか、チームは28周を終え立川をピットに呼び戻す。石浦宏明に交代したZENT CERUMO GR Supraを送り出すが、ややタイミングが良くなかったか、各車がピットインを終えてみると、ZENT CERUMO GR Supraの順位は14番手。走っている車両の最後尾だ。しかし、ここからドラマチックなほどの石浦の快進撃がスタートする。

 

2021年 SUPER GT 第6戦 AUTOPOLIS ZENT CERUMO GR Supraは決勝を見すえたタイヤ選択を行っていたが、ライバルたちは冷え込みのなかでタイヤのピックアップやデグラデーション等に苦しんでおり、ペースを上げられないでいた。そんななか、まず石浦は34周目に#37 GR Supraをかわすと、37周目には#19 GR Supra、38周目には直線で加速が鈍った#3 GT-Rをパス。さらに41周目には#17 NSX-GT、#14 GR Supraとのバトルを勝ち抜き、9番手に浮上。今度は#36 GR Supraに狙いを定め、44周目にこれをパス。8番手に浮上する。

 

 いよいよ上位争いが見えはじめてきた石浦は、さらにZENT CERUMO GR Supraにムチを入れていく。45周目には#24 GT-R、47周目には#12 GT-Rをオーバーテイク。水を得た魚のように順位を上げた石浦の前方には、急速にペースが鈍り始めた#64 NSX-GTを先頭にした4台のバトルが近づいてきた。52周目、集団とのギャップを急速に縮めると、53周目には一気にポジションダウンした#64 NSX-GTをパス。さらに54周目には、ランキング首位の#1 NSX-GTをストレートでかわし、続いて#23 GT-Rもパス。これでいよいよ表彰台圏内の3番手に浮上した。

 

 サクセスウエイトが軽いとはいえ、決勝を見すえたセットで我慢の土曜を送ってきたZENT CERUMO GR Supraは、これまでのうっぷんを晴らすかのように快走を続けていく。勢いをそのままに、石浦は前を走っていた#39 GR Supraに狙いを定めると、55周目の1コーナーで別次元のスピードをみせオーバーテイク。これで2番手まで上がった。

 

2021年 SUPER GT 第6戦 AUTOPOLIS ただこの時点で、トップを走っていた#8 NSX-GTは30秒以上前を走っており、進撃はここまで。それでも華麗な追い上げをみせたZENT CERUMO GR Supraは、2位でチェッカー。今季初表彰台を獲得した。

 

 長いトンネルを抜ける表彰台にチームは喜びをみせたが、まだ反省する点も多い。そして、表彰台にはまだ1段高い場所がある。この喜びをさらなる浮上のきっかけにするべく、TGR TEAM ZENT CERUMOはシーズンの残り2戦に挑む。


 

2021年 SUPER GT 第6戦 Autopolisドライバー/立川 祐路
「スタート直後からクルマもタイヤもフィーリングが良く、いける感触がありました。ペナルティストップを受けるまでに順位を上げることもできましたが、感触が良すぎただけに、ペナルティを受けたくなかったくらいでしたね(笑)。序盤からライバルたちはタイヤが苦しそうなのは分かりましたが、僕たちは安定して走ることができました。オートポリスではこの要素が重要ですし、前日からそれを見越したタイヤ選択をしていました。ペナルティを見越した選択でもありましたし、それがうまくいきましたね。ペナルティストップのロスをセーフティカーで無くすことができたのも大きかったです。やっと自分たちに流れが来たと思います。このところクルマの調子は良かったのに結果に結びつけることができなかったので、すごく嬉しいです。もちろんまだひとつ上の順位があるので、残り2戦は頂点を目指して頑張っていきたいと思います」


2021年 SUPER GT 第6戦 AUTOPOLISドライバー/石浦 宏明
「前日から決勝で安定して走れるタイヤを選んでいましたが、そのフィーリングが良いことはレース前半の立川選手から伝えられていましたし、順位を上げていくのを見て、良い状態にあることは確認できたと思います。ただ交代してからコースインしてみると、最後尾だったので、開き直って1台1台抜いていくしかないと思いました。今回、ストレートスピードが伸びたので、1台に引っかかる時間を少なく2位まで上げることができましたが、その直線の伸びにも助けられたと思います。今シーズン、なかなかうまくいかないレースが続いていましたが、クルマのパフォーマンスが上がっているのは感じていましたし、あとは流れさえ来れば結果が残るだろうと自分たちのなかでは感じていました。優勝ではありませんが、こうして結果に残ったのは良かったですし、今週末自分たちが考えうる最高の結果を残すことができました。この流れで残り2戦、しっかり優勝を目指して頑張りたいと思います」

監督/村田 淳一
「2位表彰台を獲得できたことをまずは喜びたいと思います。今季表彰台にも上がれていなかった状況で、ずっと支えて下さっている善都さま、TCDさま、ブリヂストンさまにはご心配をおかけしましたが、ひとまず結果が出ましたし、これを良いきっかけにしたいと思います。レースは荒れた展開となりましたが、セーフティカーのタイミングでペナルティストップのロスをリセットして14番手からレースを再開することができたのはラッキーでした。結果的には2位という結果で、荒れたレースをドライバーの頑張りやセットアップ、タイヤに助けられましたが、ピットストップのタイミングが悪く、順位を落としてしまったのは反省点です。きちんと検証して、次に引きずらないようにしなければいけません。この流れを活かして終盤2戦でも良い結果を残したいと思いますし、まだサクセスウエイトが軽い状態です。エンジニア、ドライバー、そしてチームと一丸となって、速い、強いクルマを作りたいと思いますし、さらにランキングを上げて、TOYOTA GAZOO Racingのチームの一員として、チャンピオンをもたらすよう貢献できればと思っています」