2013年 SUPER GT 第1戦 OKAYAMA <決勝>
2013年4月7日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/平手晃平
決勝総合結果 4位
<決勝> 天候:小雨〜晴れ|コース状況:ウェット〜ドライ
爆弾低気圧とも言われる時折激しさを増す雨の中、土曜に行われたノックダウン方式の公式予選では予想外の苦戦を強いられたLEXUS TEAM ZENT CERUMO。あまりの悪天候に、Q2がキャンセルされるほどの状況下で、平手の懸命なアタックも実らず#38 ZENT CERUMO SC430は予選12番手に沈む結果となってしまった。
しかしながら、「(ポール・トゥ・ウインを飾った)昨年のような良い形での開幕戦なんて、そうそう無いこと。例え最初が悪くても、右肩上がりのシーズンを戦えれば良い」と、予選後に立川が前向きなコメントを残したように、チーム内の雰囲気は決して悪いものではなかった。翌日には天候が回復、決勝はドライコンディションとなることが想定されていたからだ。限られた時間ながら、ドライタイヤで走った公式練習で#38 ZENT CERUMO SC430はトップタイムをマークしていただけに、チーム全員に「ドライに転じれば……」との共通した思いがあった。
そんなLEXUS TEAM ZENT CERUMOのスタッフたちの思いが通じたか、日曜の岡山国際サーキットは午前9時ごろには細かい霧雨も上がり、眩しい日差しが覗くことに。路面はまだまだウエットながら、気持ちの上ではドライの決勝を想定したフリー走行が午前9時15分にスタートした。
僅か30分のセッションとあって、開始と同時にコースインした#38 ZENT CERUMO SC430。コクピットには平手。しかし、早々にピットインしてレースでのピットストップシミュレーションを行うと、そこからは立川がステアリングを握ることとなった。
コースインした立川は、1分51秒台で計測1周目を終えると、翌周には1分36秒862で8番手に。さらに6周目には1分33秒973で2番手と、徐々にライン上が乾いて行くコンディションの中、ペースを上げて行く。
ピットイン&アウトを行うも、レインタイヤでの走行を続けた#38 ZENT CERUMO SC430は、午前9時32分には1分31秒558でモニターのトップに躍り出るなど、好調なペースで周回を続けて行くと、その直後にはようやくドライタイヤに履き替えることに。
ライバル勢同様、ここからさらにタイムアップしていった#38 ZENT CERUMO SC430は、ラスト1分に1分26秒234とし、その時点での3番手に。最終的には6番手となったものの、終盤にはラインがほぼ乾いている状況となる中で、改めてLEXUS TEAM ZENT CERUMOはドライコンディションでのマシンの仕上がりを確認。怒濤の追い上げに向けて良い形でフリー走行を終えることとなった。
この後、時折雨が降ったものの、午後零時50分からの8分間のウォームアップは完全なドライコンディション。#38 ZENT CERUMO SC430は、スタートドライバーを務める平手によってフィーリングをチェックしながら走行。ここでも3番手と、まずまずの手応えを得て決勝のグリッドに並んだ。
迎えた決勝のスタートは午後2時。平手はアウト側の6列目、12番グリッドからフォーメイションに出て行くが、前方でコースオフした車両があったこともあり、セーフティーカーはもう1周。結局、決勝は1周減じられて81周の戦いとなった。
オープニングラップに#19 WedsSport ADVAN SC430、#8 ARTA HSV-010、#6 ENEOS SUSTINA SC430の3台を一気にパスして9番手に躍進、好スタートを切った平手は、序盤にタイヤのウォームアップに苦しむライバルたちを後目に順調に周回。4周目には#24 D’station ADVAN GT-Rをオーバーテイクし8番手とする。
しかし、6周目のダブルヘアピンでインを急襲して来た#36 PETRONAS TOM’S SC430と接触、危うくスピンは免れたが、再び9番手に後退することに。だが、この接触によるダメージによって#36 PETRONAS TOM’S SC430が8周目にピットインし、労せずして平手はポジションを回復すると、そこから前を行く#37 KeePer TOM’S SC430を追って行く。
16周目、#37 KeePer TOM’S SC430を捕え6番手に浮上した#38 ZENT CERUMO SC430だったが、その時点で前の#12 カルソニック IMPUL GT-Rとのギャップは12秒と拡大している状況。しかし平手は粘り強くじりじりとギャップを削り取って行く。
39周目に#100 RAYBRIG HSV-010が、さらに40周目には#12 カルソニック IMPUL GT-Rがピットインすると、自動的に5番手、4番手とポジションが上がった#38 ZENT CERUMO SC430だが、平手はタイヤの消耗をうまくコントロールしながらハイペースで周回を続けることに成功。レースリーダーである#23 MOTUL AUTECH GT-Rがピットインした43周目には、ついにトップに躍り出る。
そして満を持して45周目にLEXUS TEAM ZENT CERUMOは平手をピットインさせ、ステアリングを立川に託す。チームスタッフたちも迅速なピット作業で#38 ZENT CERUMO SC430をロスなくピットアウトさせることに成功し、立川は5番手という絶好のポジションでレースに復帰を果たす。
ここから更なる追い上げが期待された立川だったが、走行中に時折シフトダウンがうまくいかないトラブルに見舞われてしまう。そのため、やや安全を見たペースでの走行に切り替えることとなった。このため、前を行く4番手の#17 KEIHIN HSV-010とのギャップは、最大9秒以上と開くこととなった。
ところが、68周目に2番手を走行していた#18 ウイダー モデューロ HSV-010がスピンを喫して後退、立川の目前、4番手に後退してくる。突如訪れたチャンスに立川は奮い立ち、じりじりと#18 ウイダー モデューロ HSV-010を追いつめて行く。
コンマ数秒差の攻防が続くものの、なかなかチャンスが訪れないまま、レースはファイナルラップに突入。しかし、諦めない立川はラストチャンスとばかりにアトウッドカーブで一気に間合いを詰めると、その立ち上がりで#18 ウイダー モデューロ HSV-010に並びかけ、これをオーバーテイク!
最後の最後で4番手に浮上した#38 ZENT CERUMO SC430と立川は、そのままフィニッシュ。惜しくも表彰台には届かなかったものの、12番手という逆境をはね除け、見事開幕戦を4位というまずまずのリザルトで終えることとなった。次戦はレクサス勢にとってホームコースであり、得意の富士となるだけに、次戦こそ#38 ZENT CERUMO SC430と立川、平手のふたりには表彰台の頂点を望みたいところだ。
ドライバー/立川 祐路
「予選順位を考えると、この4番手という位置まで来れたことは良かったなと思います。時折雨がパラついて路面が湿ったり、難しいコンディションもありましたが、ドライに対してはクルマも悪くないことは分かっていましたし、なんとか挽回することが出来ました。まぁ、上出来と言えるのではないでしょうか。前半平手がかなり追い上げてくれたし、良いペースで最後まで走ってくれて、チームも作戦的に引っ張ることが出来たので。そのあたりが大きかったと思います。僕のスティント中盤にミッションが少しおかしくなって、シフトが落ちない症状が出たりしたのでペースを抑えていたのですが、最後は目の前に“獲物”が来たので、ちょっと頑張ろうかなと(笑)。レクサス勢は富士で速いと思いますし、僕たちはテストからずっと安定して良い状態なので、もちろん次戦は優勝を狙って行きますよ!」
ドライバー/平手 晃平
「スタートから良い感じで前のマシンを抜いて行くことが出来ましたね。7台くらい抜いたと思いますが、タイヤの温まりがキツそうなクルマを早めに処理して行けました。やはりクルマのバランスが良かったこともありますが、他のレクサス勢と比べても、僕たちはオフの段階からずっとロングランでは安定して良いラップタイムを刻めていましたし、僕自身かなりそういったテストをやらせてもらっていたので、自信を持って周回を重ねて行きました。その結果、タイヤは最後まで良い状況でコントロール出来ました。スティントを引っ張ることも出来たので、そういった部分での自分の成長を確認出来ましたし、良い仕事ができたんじゃないかと感じています。12位から4位ということで、上々の滑り出しが出来たと思いますね」
監督/高木虎之介
「ドライに関しては多少自信があったのですが、5〜6番手まで行ければ良いなと考えていましたので、4位でゴール出来て目標よりも良かったわけで、この結果でも良しとしなければいけないのでしょう。しかし、レースを振り返った時、#100 RAYBRIG HSV-010や#17 KEIHIN HSV-010のように、今日のレースで勝てるような力があったか、と言えばそこまでのスピードは残念ながら無かったように思います。若干ミッションに不具合もあったようですから、そこを差し引いてもやはり前のマシンには引き離されてしまいましたから。少しポテンシャルが足りなかったんじゃないかと。そのあたり、今後温かくなって行く中で、差を詰めて行きたいですね。しかし、今日はチームの作戦もピット作業も、ドライバーの頑張りも、すべて上手く行ったレースだったと思いますし、富士では優勝したライバル達との差をもっと詰めたいですね」