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SUPER GT RACE REPORT

2013年 SUPER GT 第4戦 SUGO <決勝>

2013年7月28日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/平手晃平
決勝総合結果 11位
<決勝> 天候:曇/雨|コース状況:ドライ/ウェット

 不安定な天候の中、行われた土曜の公式予選ではQ2に進出を果たすも5番手というポジションに甘んじた#38 ZENT CERUMO SC430。ポールポジション、さらにはフロントロウ獲得こそならなかったが、#38 ZENT CERUMO SC430のフィーリングは決して悪くなく、チームスタッフはもちろん、Q2を担当した立川本人にさえ無念の表情はなく、「決勝で巻き返せる……!」という思いは、多くを語らずともチームに共通していた。

 しかしながら、土曜が不安定なコンディションとなったことから、#38 ZENT CERUMO SC430とて決勝に向けたセットアップなどの準備は決して万全とはいえない。そうした状況の中、フリー走行は、日曜の午前9時から始まった。

 相変わらず雲の多い日曜の菅生ながら、前日のような霧はなく、早朝にはじっとりと濡れていた路面もサポートレースの間にラインが乾き始めるなど、徐々にコンディションが良くなりつつある中でのフリー走行。30分間このセッションは、前日充分にドライでの走り込みが出来なかったLEXUS TEAM ZENT CERUMOにとって非常に重要な意味を持つセッションとなった。

 まずはこのセッションで#38 ZENT CERUMO SC430のステアリングを握ったのは平手。時折雲の切れ間から明るい日差しが降り注ぐ中、平手は1分26秒790から計測をスタートさせると、1分22秒046、1分20秒132、さらには1分18秒027と順調にタイムを上げて行くと、午前9時07分の段階で#38 ZENT CERUMO SC430を2番手に押し上げる。

 しかし、この直後にGT300マシン同士の接触があり、セッションは赤旗に。ここでLEXUS TEAM ZENT CERUMOはドライバーを立川にスイッチ。前日あまりドライで走り込めなかった立川に残りのセッションを任せることとなったが、なんと午前9時15分にセッションは再開も、その5分後にはまたも赤旗中断。コースインしたばかりの立川も、タイヤを温める間もなくピットへの帰還を余儀なくされる。

 仕切り直しのフリー走行は、残り11分で午前9時24分に再開。再びコースに戻った立川は、1分21秒768、1分22秒893、1分18秒300とGT300マシンをかき分けながら周回を重ねて行く。そのままチェッカーまで走り切った立川と#38 ZENT CERUMO SC430は、このフリー走行を12番手で終了。ポジション的には今ひとつながら、決勝に向け貴重なデータを得ることとなった。

 その後、お昼にかけてさらに天候は回復。強い日差しが照りつけ、暑さの増す中で行われたウォームアップでスタートドライバーを務める平手がフィーリングを確かめた#38 ZENT CERUMO SC430は、午後1時08分、イン側の5番グリッドに整列。ウォームアップ走行での平手のコメントから、チームスタッフはグリッド上でさらにセットアップに修正を加えることとなった。

 そして迎えた午後2時、ついにフォーメイションラップがスタート。1周の後、ついに81周の決勝レースが始まった。

 まずまずの加速を見せた平手だったが、1コーナーでのポジションアップは許されず、オープニングラップは5番手のまま。前を行く#17 KEIHIN HSV-010にプレッシャーを懸けて行く平手だったが、なんと1分18秒053のベストラップを刻んだ翌5周目、#17 KEIHIN HSV-010はトラブルのためスローダウン。労せずして4番手に浮上した#38 ZENT CERUMO SC430は、今度は#18 ウイダー モデューロ HSV-010に迫って行く。

 周回遅れが出始める中、#18 ウイダー モデューロ HSV-010とコンマ数秒差でのテール・トゥ・ノーズの攻防を見せる平手は、なかなか攻略の糸口をつかめない状況の中で数少ないチャンスを逃さず、15周目の最終コーナーで周回遅れに詰まった#18 ウイダー モデューロ HSV-010のスリップから抜け出ると、右側のタイヤをグリーンに落としながらもコンクリートウォールぎりぎりを駆け抜け、#18 ウイダー モデューロ HSV-010を豪快にオーバーテイク。サインガードの高木監督も思わずガッツポーズを見せたほどの奮闘で、平手は3番手に浮上する。

 序盤こそややバランスに苦しんだ平手ながら、グリッド上でのセットアップ修正が奏功し、周回が進んでも1分18秒台前半のハイペースで飛ばした平手は、トップ2台がピットインした41周目にはついにトップに。そしてLEXUS TEAM ZENT CERUMOは43周目に平手をピットに呼び寄せる。

 ここでメカニックたちの素晴らしいピットワークで送り出された立川は、狙い通り2番手の#1 REITO MOLA GT-Rの前でレースに復帰。3周前にピットインを済ませ、タイヤの温まっている#1 REITO MOLA GT-Rは立川を抜こうと攻め立てるが、立川は2番手を死守。しかし、48周目の2コーナーでサイドbyサイドとなった2台は接触。アウト側の立川はインに切れ込めず、その間に背後の#18 ウイダー モデューロ HSV-010に2番手を奪われてしまう。

 それでも3番手から体勢を立て直した立川は、じりじりと#18 ウイダー モデューロ HSV-010に迫って行くが、なんと55周目あたりからコース上に雨が降り始める。徐々に濡れて行く難コンディションの中、立川は周囲を上回るペースを刻み続け、ついに64周目にはトップ3台がコンマ数秒差の三つ巴に。これに#100 RAYBRIG HSV-010も加わり、4台での攻防となるが、67周目に1コーナーで#18 ウイダー モデューロ HSV-010をオーバーテイクした立川は、68周目の2コーナーでついに#39 DENSO KOBELCO SC430のインを突き、トップ浮上を果たす。

 #39 DENSO KOBELCO SC430も諦めず、最終コーナーで立川に肉薄、コントロールタワーでは僅かに#39 DENSO KOBELCO SC430が先行するが、立川は1〜2コーナーでクロスラインを採り、再びトップを奪い返す。

 このまま逃げ切り優勝かと思われた#38 ZENT CERUMO SC430だが、予想外の展開が待っていた。70周目のレインボーコーナーで周回遅れに詰まった立川は、アウトのラインを選択。一方の#39 DENSO KOBELCO SC430はイン側を選ぶも、周回遅れを間にはさみ3ワイドの状況の中、#39 DENSO KOBELCO SC430が周回遅れに接触。そのマシンがアウト側の#38 ZENT CERUMO SC430のリヤに接触したため、立川はたまらずスピンアウト。すぐさまレース復帰を願った立川だったが、雨に湿ったグラベルに捕まり、#38 ZENT CERUMO SC430はスタックしてしまう。

 オフィシャルに牽引され、ようやくレースに復帰したのは残り数周というところ。なんとかチェッカーを受けた立川だったが、#38 ZENT CERUMO SC430はトップから8周遅れの11位フィニッシュとなり、LEXUS TEAM ZENT CERUMOは優勝に手をかけながらもアクシデントに巻き込まれ、まさかの2戦連続ノーポイントとなってしまった。


ドライバー/立川 祐路
「前半平手が頑張ってくれて、さらにチームの戦略とピット作業の頑張りで1号車の前に出してもらって。タイヤが温まるまでなんとか耐えて、その後バトルの中で行き場を失って接触などもありましたが、それでも雨が降って来た中で前のペースが落ちたので、うまく巻き返してトップに立ったのですが……。勝てるチャンスも十二分にあったと思いますし、トップに立ったと言ってもちゃんとチェッカーまでクルマを持って行くのが仕事なので、それが出来なかったのが残念で申し訳なく思います。次の1000kmでは絶対に勝ちます」

ドライバー/平手 晃平
「スタートしてから序盤は少しバランス的に苦しい部分もあったのですが、チームがうまくセットアップ修正してくれたお陰で周回を重ねて行くとバランスが良くなって行き、終盤まで良いペースで走り、良いポジションで立川さんにバトンを渡せて良かったです。18号車を抜いたシーンではコンクリートウォールにぶつかるんじゃないかと一瞬思いましたが、もうあそこまで仕掛けたら行くしかないとアクセルは踏みっぱなしでした。今日は自分も良い仕事が出来たと思いますし、立川さんも凄く良い走りをしていたのに結果が残せず悔しいですが、この菅生では純粋な速さが結果に直結しないと思い知りました。次の鈴鹿ではしっかりと勝ちたいと思います」

監督/高木虎之介
「チームにとって非常に良い展開になったんですが……。雨が降ったり、周回遅れを抜いて行かなければならなかったり、いろいろ難しい状況の中で、ああいう混戦を抜け出せないと。イン側から押し出され、アクシデントに巻き込まれたような状況ですが、最終的にはチェッカーまでクルマを運ばなければならないわけですから。これで2戦連続ノーポイントになった訳ですが、しょうがないでは終われない。今回はピットストップのタイミングもピットワークも良かったですからね。もう本当に残りのレースは全部勝つつもりで戦わなければチャンピオン争いは出来ないという姿勢で臨む必要があるでしょうね」