2013年 SUPER GT 第6戦 FUJI <決勝>
2013年9月8日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/平手晃平
決勝総合結果 1位
<決勝> 天候:雨のち曇り|コース状況:ウェット〜ドライ
土曜に行われた公式予選ではQ1を平手、Q2を立川がアタックし、ともにトップタイムを奪う完璧な形でのポールポジションを獲得した#38 ZENT CERUMO SC430。最多ポールポジション記録を18回に更新した立川はもちろん、平手も絶好調で今季初ポールポジションを獲得しただけに、LEXUS TEAM ZENT CERUMOとしてはなんとしても優勝を手に入れたいところ。しかし、第6戦富士の決勝日の富士は雨もよう。午前9時からの30分間のフリー走行は、WET宣言が出される中での走行となった。
セッション開始とともにピットを離れた#38 ZENT CERUMO SC430のコクピットには平手が乗り込み、ウエットタイヤでのコースイン。水しぶきを上げながら、平手は計測1周目を1分51秒922としてその時点での4番手につけるが、ピットロードへの進入路にGT300車両がストップ、さらには1コーナーで#19 WedsSport ADVAN SC430がグラベルにストップしたため、セッションは開始早々、午前9時06分に赤旗が提示されてしまう。
午前9時12分、セッションは再開され平手は仕切り直しのコースインとなったが、1分46秒640、1分46秒335と順調にタイムアップしていく#38 ZENT CERUMO SC430。最終的に1分45秒704にまでタイムを上げ3番手につけた平手は、午前9時20分にピットイン。チームは決勝中のピットインさながらの素早い作業でタイヤと給油を行うと、立川に交代した#38 ZENT CERUMO SC430を再びピットアウトさせる。
徐々に雨量が減って行く中、立川は午前9時30分のチェッカーまで周回。結局このフリー走行での#38 ZENT CERUMO SC430は最終的に9番手に留まったが、ウエットコンディションでのメニューもしっかりこなし、いよいよLEXUS TEAM ZENT CERUMOは万全の体勢で午後の決勝を迎えた。
午後零時50分からのウォームアップ走行を終えると、午後1時05分にはダミーグリッドへのコースイン開始となったが、ポールシッターである#38 ZENT CERUMO SC430はコースインせずピットロード出口付近に待機。両クラスのポールシッターの特権として、全車がグリッドに着いた後、イン側とアウト側に分かれて停車した車列の真ん中に出来た花道を通って最前列に向かうのだ。
スタートドライバーを務める平手のドライブで、誇らしいこのセレモニーを終えた#38 ZENT CERUMO SC430が午後1時12分、ポールポジションにマシンを止めた。
朝方の雨が嘘のように、まぶしい日差しが差し込む中、スタート進行が続く。そして気温29℃、路面温度35℃となった午後2時、ついに66周で争われる決勝のローリングが始まった。
1周の後、迎えたスタート。平手は鋭く加速すると、無事トップのまま1コーナーをクリア。後方でも大きなアクシデントはなく、#38 ZENT CERUMO SC430は労せずオープニングラップを制する。
早くも1周目に1秒3のギャップを築いた平手は、2周目には1分34秒633のファステストラップをマークするなど、予定通りじりじりと2番手の#37 KeePer TOM’S SC430以下を引き離して行くが、6〜7周目あたりから周回遅れが出始めると、時折平手は行く手を阻まれ、2番手とのギャップはこう着状態となる。
徐々に日が陰り、気温と路面温度が下がって行く中、平手は安定したラップで力走を続け、徐々にギャップは拡大していく。「このまま、大量リードを築いて立川さんへ……」との平手の思いとは裏腹に、なんと19周目にホームストレート上で#32 Epson HSV-010がタイヤバーストからクラッシュ。破片が散乱したためセーフティーカーが導入されることとなり、20周終了時点で平手が稼いでいた5秒ものマージンは一気に失われてしまう。
一瞬前戦鈴鹿でのセーフティーカーにからんだ悪夢がチーム全員の脳裏を掠める。セーフティーカーが隊列を整え、ピットに入れることになる22周終了時は、ちょうどひとりのドライバーがドライブ出来る最低周回数にあたり、ピットインすることは出来るが、本来よりも早い周回数でのピットインは、後半を受け持つ立川が燃費で苦しむこととなってしまう。しかし、高木虎之介監督以下、LEXUS TEAM ZENT CERUMOはここでピットに入らなければ勝負権を失ってしまうことが明白な以上、他に選択肢はないと決断。大多数のライバル陣営と同様、22周目に平手をピットへ呼び寄せる。
大量のマシンがピットに押し寄せる中、チームスタッフは迅速な作業で立川を送り出すが、混雑するピットロードで思うような加速はままならず、#38 ZENT CERUMO SC430は#1 REITO MOLA GT-Rの先行を許してしまう。
ステイアウトした#24 D’station ADVAN GT-Rを先頭に、再びレースは24周目にリスタート。しかし、序盤どうしても燃費を抑えなければならない立川はペースを思うように上げることが出来ず、#17 KEIHIN HSV-010、#37 KeePer TOM’S SC430に先行されてしまい、#38 ZENT CERUMO SC430は5番手にまで後退。
しかし、降り出した雨の中ハイペースで周回を続けた立川は34周目の最終コーナーで#37 KeePer TOM’S SC430と激しい攻防の末、4番手を奪い返す。さらに36周目に#1 REITO MOLA GT-Rにドライブスルーペナルティーが科せられると3番手に浮上すると、ペースの落ちた#24 D’station ADVAN GT-Rと、2番手の#17 KEIHIN HSV-010に肉薄していく。
そして42周目の最終コーナーで#17 KEIHIN HSV-010が#24 D’station ADVAN GT-Rをかわそうとして交錯、失速したところを逃さず、立川は#17 KEIHIN HSV-010にならびかけると、そのまま1コーナーで見事オーバーテイク。#38 ZENT CERUMO SC430は、ついにトップを奪い返すことに成功する。
首位に立った#38 ZENT CERUMO SC430は、再び雨が降り出す中、燃費の懸念が消えるとペースアップ。じりじりと#17 KEIHIN HSV-010を突き放し、そのままトップでチェッカーを受け、見事待望の今季初優勝を飾る。ウォールによじ上りガッツポーズで立川を迎えた平手は、立川がウイニングラップの余韻を楽しむ中、高木監督、村田エンジニアらと喜びを分かち合うことに。
3戦連続ノーポイントと苦しい戦いを続けて来たLEXUS TEAM ZENT CERUMOだが、この富士を制したことで20ポイントを加算。43ポイントとして一気に3ポイント差のランキング4位に浮上、残る2戦にタイトル奪還の期待をつなぐこととなった。
ドライバー/立川 祐路
「この3戦連続でノーポイントに終わり、チームとしてこれまで経験したことがないくらいの苦しい状況だったのですが、クルマは毎戦調子良かったですし、こういう結果を手に出来て、そういった状況にめげずにきちっと仕事をしてくれたチームやレクサス陣営の方々に感謝しています。序盤の平手の走りを見ていて、この調子なら今日はいけると感じていたのですが、またセーフティーカーが入って。やはり簡単にはいかないな、と思いましたが勝てて本当に良かった。チャンピオンシップにも生き残れましたし、残りの2戦も勝つつもりで全力で戦います」
ドライバー/平手 晃平
「フラストレーションのたまるレースが続いていたのですが、ビデオを見直したりして自分たちのどこが悪かったのか、反省すべき点を見直して。今回は失うものはない、やるしかないという気持ちで予選から臨んでいました。今日もスタートからリードを築いて、このままいければと思っていましたが、やはりまたセーフティーカーが出て。過去3戦のことがあったので、最後までヒヤヒヤした部分はありましたが、最後はキチッと立川さんが締めてくれました。ここから全部勝つつもりでチャンピオンを狙いたいと思います」
監督/高木虎之介
「良いところに行けそうな位置を走っていながら、このところの3戦でまったく運がなく結果が残せなかったのですが、今日は勝てて本当に良かったですね。平手がうまく逃げてくれたのですが、セーフティーカーでマージンを失ってしまいましたし、また鈴鹿同様微妙なタイミングでセーフティーカーが入ったので、またか……と。しかも今回は予定より早めに入ることになり、燃費など立川は苦しかったと思いますが、よく頑張ってくれたと思います。ドライバーふたりが一番ホッとしていると思いますが、今日勝てたことでタイトル争いに踏みとどまれましたし、あとはオートポリスともてぎでも頑張りたいですね」