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SUPER GT RACE REPORT

2013年 SUPER GT 第8戦 MOTEGI <決勝>

2013年11月3日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO SC430 #38 立川祐路/平手晃平
決勝総合結果 3位
<決勝> 天候:雨のち曇り|コース状況:ウェット〜ドライ

2013年 SUPER GT 第8戦 MOTEGI <決勝> 悲願のタイトルまで残るはこの1戦のみとなった、今季最終戦もてぎ。前日の公式予選では、惜しくもポールポジション獲得はならず、2列目4番手からの決勝スタートとなった#38 ZENT CERUMO SC430だが、立川、平手のドライバーコンビはもちろん、LEXUS TEAM ZENT CERUMOのスタッフ全員が、逆に追いかける立場での戦いを前に不要なプレッシャーもなく決勝の朝を迎えることとなった。

 前日よりもやや気温が上昇したこの日のもてぎだが、早朝には濃い霧がサーキット周辺に立ちこめる。しかし、午前8時からのサポートレースも無事に開催され、GTのフリー走行も大きなディレイもなく午前8時50分にスタート。#38 ZENT CERUMO SC430は、決勝への最後の調整メニューをこなすべく、セッション開始と同時にピットを離れることとなった。

 このフリー走行で、最初に#38 ZENT CERUMO SC430のステアリングを握ったのは平手。コースインした平手は、早々に連続周回に入ると、1分46秒009、1分44秒268と順調にペースアップ。モニターのトップ3の位置をキープしながら、霧の中をスローカーをかき分けながら決勝に向けたフィーリングチェックを続ける。

 セッション中盤を過ぎても周回を続ける#38 ZENT CERUMO SC430は、ポジションこそ4〜5番手となるも、平手晃平のドライブで1分45秒前後のラップを刻んで行くと、午前9時09分にピットへ。ここでLEXUS TEAM ZENT CERUMOは決勝さながらにタイヤ交換と給油を行い、平手から立川へとドライバー交代した#38 ZENT CERUMO SC430を再びコースへ送り出す。万全のピット作業とはいかないシーンもあったが、決勝前の予行演習を終えた#38 ZENT CERUMO SC430は、立川のドライブでさらに周回を重ねると、セッション残り4分となった午前9時16分に1分44秒023とベストタイムを更新し4番手に。

 そのまま4番手というポジションでこのフリー走行を終えた#38 ZENT CERUMO SC430は、この後のサーキットサファリでも立川が走行。さらにはピットウォークを終えた午後零時20分からのウォームアップで平手が最終確認をするなど、午後1時半スタートの決勝、そしてタイトル奪取に向け最後の調整を終えたのだった。

 やや日差しが戻り、気温が20℃を越えるほどに暖かさの増した午後1時半。ついに53周の決勝レースのフォーメイションがスタートした。アウト側4番グリッドから最後の戦いに臨む#38 ZENT CERUMO SC430は、スタートドライバーを務める平手の手によって隊列に参加していく。そして1周の後、いよいよ決勝がスタートすることとなった。

 グリーンシグナルが点灯、4番手から鋭く加速した平手は、1〜2コーナーで前を行く#23 MOTUL AUTECH GT-Rにプレッシャーを懸け、僅かに開いたインに#38 ZENT CERUMO SC430のノーズをねじ込むと、3番手で2コーナーを立ち上がることに成功。さらに序盤のペースの良さを活かして、2番手の#17 KEIHIN HSV-010に肉薄する。

 6ポイント差のランキング3位で、直接的なタイトル争いのライバルである#17 KEIHIN HSV-010に対し、平手は追撃の手を緩めず猛プッシュ。すると、インフィールドのコース上に出た砂利で#17 KEIHIN HSV-010がバランスを崩したところを逃さず、4周目のS字進入でこれをオーバーテイク。序盤にして#6 ENEOS SUSTINA SC430に次ぐ2位にまで躍進を果たす。

2013年 SUPER GT 第8戦 MOTEGI <決勝> このままの状況でチェッカーを受ければ、もちろんタイトルを手中にする#38 ZENT CERUMO SC430だったが、好事魔多し。10周目あたりまで順調に#17 KEIHIN HSV-010とのギャップを5秒ほどにまで拡大していたものの、周回遅れが絡み始めたこともあって、平手のマージンは2〜3秒程度にまで短縮。さらにタイヤの消耗も進んで来た上、ライバルの#17 KEIHIN HSV-010が19周終了時にピットインしたことから、翌20周に高木監督以下、LEXUS TEAM ZENT CERUMOは平手をピットインさせることに。

 素早いチームスタッフのピット作業でピットアウトした立川だったが、その背後には、1周先に入りタイヤに熱が入り始めた#17 KEIHIN HSV-010が迫る。瞬く間にテール・トゥ・ノーズとなり、アウトラップの立川のポジションダウンは必至とも思われたものの、立川はここで踏ん張り、#17 KEIHIN HSV-010の先行を許さない。

 全車がピットインを終えた25周目、#6 ENEOS SUSTINA SC430が相変わらず独走する中、#38 ZENT CERUMO SC430のポジションは2番手。このまま#17 KEIHIN HSV-010を従えてチェッカーを受けたいところだが、#17 KEIHIN HSV-010の猛攻は止まらず、一時は#39 DENSO KOBELCO SC430が間に入ったものの、ひと息ついたのもつかの間、35周目には再び#17 KEIHIN HSV-010が#39 DENSO KOBELCO SC430を抜き返し、立川に迫ってくる。思うようにペースが上げられない立川は、ついに38周目の1〜2コーナーで僅かに開けたインを突かれ、#17 KEIHIN HSV-010の逆転を許してしまう。

 3番手となった#38 ZENT CERUMO SC430だが、#17 KEIHIN HSV-010が2位であれば、自身が3位でチェッカーを受ければタイトルを獲得することが出来る。トップの#6 ENEOS SUSTINA SC430は20秒以上リードしており、#17 KEIHIN HSV-010の背後を追走していれば無理する必要はない。このため、立川はレース後半は着実に周回を重ねて53周を走り切り、3位でチェッカー!

 この瞬間、ウォールで歓喜を爆発させた高木監督以下、LEXUS TEAM ZENT CERUMOに、待ち望んでいたチャンピオンタイトルがもたらされることに。3位ながら、ゆっくりとウイニングランのように最後の1周を噛み締めた立川。優勝でのタイトル獲得という派手さこそなかったものの、一時はランキング下位に沈み、タイトル争いから脱落したかとさえ囁かれたLEXUS TEAM ZENT CERUMOだが、見事ラスト3戦で盛り返し、2005年以来となる8年ぶりのGT500チャンピオンを手にシーズンを終えることとなった。

ドライバー/立川 祐路
「とにかく嬉しいのひと言です。今年クルマの調子は1年を通じてずっと良かったのですが、シーズン中盤にそれを結果につなげられず3戦連続ノーポイントという状況に、一時は厳しい状況を覚悟しましたが、結果的に最後まで諦めなかったことがこの結果につながったのだと思います。今日のレースでは、平手の最初のスティントでやや後半ペースが伸びなかったので、僕は周回も長かったこともあり、平手とは違うタイヤで臨みました。これまで履いたことの無いタイヤで、どのぐらいいけるのか不安な部分もありましたが、結果的に良かったと思います。前回も子供が生まれた年にチャンピオンを獲ったのですが、今年も二人目が出来た年にチャンピオン。何か縁のようなものを感じますが、来年はクルマも新しくなりますし、そのための準備も既に進んでいます。その新しいクルマでゼッケン1で戦い、連覇出来るよう頑張りたいと思います」

ドライバー/平手 晃平
「スタートを担当したのですが、ウチのクルマはタイヤが冷えたときでも早いので、序盤のうちにポジションを上げて行きたいと思っていましたが、思った通りにスタート直後に#23 MOTUL AUTECH GT-Rを、さらに砂利のラインに乗った#17 KEIHIN HSV-010をパスして2番手に浮上することができ、良い形で立川さんにつなげることが出来ました。ただ、その後はモニターを見つめて待っているだけで……。最後まで何があるか分からずハラハラしましたが、僕自身4輪に上がってから初めてのタイトル、しかもGT500ということで、とても嬉しく思います。まだあまり実感は湧きませんが、SC430の最後の年ということで迎えたこのシーズンで、チャンピオンを獲れたことでチームやTRDのみなさんに喜んでいただけるのではないかと、その点でも良かったと思いますね」

監督/高木虎之介
「後半は本当に苦しいレース展開でしたね。しかし、その中でなんとかタイトルが獲れて本当に良かったと思います。これほど苦しむとは正直思っていませんでしたが、状況的に最後はそれほど無理をしなくても良いという展開になったので、その点では助かりました。本当は勝ってチャンピオンを獲りたかったですし、17号車よりも前でゴールしたいという思いもありましたが、抜かれてしまって。まぁ、それは仕方なかったと思います。何事もそう簡単にはうまく行かないものです。なかなか獲れないチャンピオンを獲ることが出来たので、今日は良しとしなければ。今日はびっくりするような速さと言う点では足りなかったので、そのあたりはまた来年への課題でしょうか。個人的には監督になって4年目ですが、このGT500でドライバーとしても、監督としてもチャンピオンを獲ることが出来たということが嬉しいですね」