2022年 SUPER GT 第4戦 FUJI <決勝>
2022年8月7日(日) final 決勝
ZENT GR SUPRA#38 立川祐路/石浦宏明
決勝結果 リタイア
< 決勝 > 天候:晴|コース状況:ドライ
事前にレースでのペナルティストップは決まっているものの、好感触を得て予選4番手という好位置につけることができたTGR TEAM ZENT CERUMO。迎えた8月7日(日)の決勝レースは、100周という長丁場。ペナルティを跳ね返す走りをみせるべく、チームは決勝日に臨んだ。
レース直前のウォームアップ走行こそ曇り空のもとドライコンディションで行われたが、その直後から富士スピードウェイはコース上の一部に雨が舞った。メインストレート上に車両が並んだ後も雨が舞いコースが濡れたが、幸いにして雨は上がり、午後2時からのスタート時の気温は26度、路面温度は31度というコンディションのもと、ひさびさに復活した1周のパレードラップ、そして路面が一度濡れたことから、フォーメーションラップが2周に増やされ、いよいよ決勝レースの火ぶたが切られた。
ZENT CERUMO GR Supraのスタートドライバーを務めたのは、スタート前に201戦を祝った立川祐路だ。まずはスタート直後4番手につけると、ポールポジションスタートから少しずつ順位を落としていた#19 GR Supraに迫り、5周目にはテール・トゥ・ノーズのバトルに持ち込んでいく。しかしその直後、立川はZENT CERUMO GR Supraをピットレーンに向けた。3基目のエンジン使用、モノコック交換にともなう10秒のペナルティストップをこなすためだ。
当然、これでZENT CERUMO GR Supraはライバルたちから1分近いギャップを作られてしまうことになるが、ここから立川は怒涛の追い上げをスタートさせる。ライバルたちが集団のなかで走るなか、ZENT CERUMO GR SupraはGT300車両もいないクリアなスペースで戻ることができ、トップグループ同様1分30〜31秒台のラップで周回を重ねていった。
立川の好走はその後も続き、GT500の下位集団を視界に捉えるところまで追い上げると、34周を終えピットインし石浦宏明に交代する。ZENT CERUMO GR Supraのフィーリングは良好で、石浦はピットアウト後14番手へ。さらにその視界に13番手を走る#64 NSX-GTを捉えた。
43周目、石浦のZENT CERUMO GR Supraは#64 NSX-GTのテールにつくと、オーバーテイクを仕掛けていく。ZENT CERUMO GR Supraの方が圧倒的にペースが良く、最終コーナーを立ち上がったところで#64 NSX-GTはバトルをあきらめ、進路を譲るようなポジションをとった。しかしその直後、石浦が踏み込んだスロットルペダルがバツンと反応を示さなくなってしまった。
力を失ったZENT CERUMO GR Supraだが、メインストレート上でピットロード入口はもう過ぎようとするタイミングだった。しかし同じ富士スピードウェイで行われた第2戦では、ストレートでトラブルに見舞われた車両が大きなクラッシュの引き金にもなっていた。瞬時にそれを思い出した石浦は、ホワイトラインを敢えてカットしピットロードへ。石浦はコントロールタワー下でZENT CERUMO GR Supraを停止させた。
石浦のもとにはTGR TEAM ZENT CERUMOのクルーが駆けつけ、急いでピットに戻しトラブルの究明と修復が行われた。結果は電気制御系のトラブル。一度修復し、チェックのためにコースインしたものの、ZENT CERUMO GR Supraは再度ピットに戻され、リタイア届けが出されることになってしまった。
電気系のトラブルは予測や対策もしづらいが、TGR TEAM ZENT CERUMOにとっては非常に悔しいレースとなってしまった。しかし、この週末にみせたスピード、そしてペナルティというハンデに立ち向かった“過程”は、これまでの苦戦にわずかな光明を与えるものとなった。第5戦鈴鹿はもうすぐ月末にやってくる。今度こそ結果を手に入れるべく、チームは前を向いた。
ドライバー/石浦 宏明
「序盤の立川選手のスティントでは、トップグループと同じペースで走ってくれていましたし、最後尾に追いつける状況だったので、自分も良いペースで抜いていきたいと思っていました。アウトラップからすぐに前に追いつけましたし、ライバルたちよりも速いペースをみせることができました。前を行く#64 NSX-GTに追いつくことができたのですが、その瞬間にスロットルがバチンと閉じる感触があって。他チームの迷惑になってもいけないのですぐに避け、その後チェックのためにコースに戻りましたが、レースを終えることになってしまいました。あのまま走っていればポイントを獲れた感触はありましたし、ファンの皆さんからも追い上げを期待する声がありました。残念ながらまたもトラブルに見舞われてしまい、自分たちの悔しさもありますが、言い訳できないくらいレースを落としてしまっています。応援してくださっている皆さんやスポンサーの皆さんに申し訳ない気持ちです。クルマの速さはあるので、次戦取り戻したいです」
監督/田中 耕太郎
「レース前半から良いスピードをみせられ、その点については非常にポジティブでした。ペナルティストップがあったのですが、ちょうどGT300の集団の前に入ることができると分かったのですぐに呼び戻し、その後はトップグループと同じペースで走ることができました。最初のピットストップの後も、石浦選手がガンガン攻めてくれましたが、結果的に電気制御系のトラブルに見舞われてしまいました。非常に残念な結果となりましたが、レースの内容としてはかなり良いものでした。もちろんやることはたくさんありますが、速さも獲得できつつあります。レースストラテジーも途中まで良い判断ができていました。結果は残念でしたが、次戦以降に繋がる週末になったと思っています」