2022年 SUPER GT 第5戦 SUZUKA <決勝>
2022年8月28日(日) final 決勝
ZENT GR SUPRA#38 立川祐路/石浦宏明
決勝結果 15位
< 決勝 > 天候:晴|コース状況:ドライ
好調なZENT CERUMO GR Supraのパフォーマンスとともに予選5番手と、決勝に向け好位置に付けることに成功したTGR TEAM ZENT CERUMO。迎えた8月28日(日)の決勝日の鈴鹿サーキットは薄曇りで、午後1時10分、決勝に向けたウォームアップ走行がスタートした。
ただここで、ZENT CERUMO GR Supraに思わぬトラブルが降りかかる。立川祐路がステアリングを握りコースインしようとしたところで、ブレーキに関するセンサーのトラブルが出てしまう。結果的にこのウォームアップでは1周も走ることができず、なんとかグリッドに着くことはできたものの、決勝に向けたセットアップの確認を行うことができないままとなってしまった。
なんとかグリッドへの試走までに修復が完了し、ピットアウトからグリッドまでの走行で得られた立川からのフィードバックをグリッドで施した後、いよいよ午後2時30分からの決勝を迎えた。気温28度、路面温度39度という暑さのなか、立川はまずはオープニングラップを予選順位どおりの5番手につけると、4番手を走る#19 GR Supraの背後にピタリとつける。
なかなか#19 GR Supraを攻略できなかった立川だったが、15周目に1〜2コーナーの攻防でついに#19 GR Supraをオーバーテイクし、これで4番手に浮上する。さらに18周目、後方の#24 Zやトップを走っていた#23 Zがピットインするなど、レースは早々に動きはじめた。これで立川は3番手と、いよいよ表彰台圏内に浮上した。ラップタイムも好調で、上位フィニッシュを照準に収め始める。20周が過ぎる頃になると、2番手を走る#16 NSX-GTとのギャップを急速に詰めはじめた。
立川は好調なペースのまま、#16 NSX-GTの背後につけたまま26周目にピットイン。石浦宏明にステアリングを託した。スタート前にドライブできていなかった石浦だったが、ここから快調に上位を追っていった。33周目、早めにピットに入っていた#8 NSX-GTをスプーンカーブで豪快にオーバーテイクすると、36周目には序盤からトップを走っていた#23 Zを追いつめていく。37周目、激しい抵抗を受けるもダンロップカーブでこれをかわし、2番手に浮上した。
38周目、石浦はさらにセクター1で自己ベストタイムをマークするなど速さをみせていき、トップに復帰していた#16 NSX-GTとのギャップを急速に縮めていった。43周目、石浦はピタリと#16 NSX-GTのテールにつくが、相手もストレートが速く、なかなかオーバーテイクに至らない。
そんな膠着した争いに、今度は#17 NSX-GTが石浦の背後に近づき、3台によるトップ争いが展開されていった。石浦は何度も#16 NSX-GTに仕掛けていったが、なかなかオーバーテイクができない。この展開に業を煮やしたか#17 NSX-GTは48周目に先にピットに入り、2回目の作業を行っていった。
石浦は50周目、引き続き#16 NSX-GTのテールを追っていたが、ここでまさかの事態が起きた。それまでセーフティカーランやフルコースイエローなどは一度もないままレースが続いていたが、130RでGT300車両がクラッシュしてしまったのだ。これでレースはセーフティカー導入になるが、セーフティカー前にピット作業を終わらせておかなければ、セーフティカーラン中にピットインができない現在のSUPER GTのレギュレーション上致命的となってしまう。石浦はピットと急いで交信したが、クラッシュ発生時の石浦はストレートにおり、ピットロード出口までまるまる1周あったことから、不運にもピットインには間に合わなかった。
これで実質勝負権を失うかたちとなってしまったが、チームは55周目のリスタートとともにZENT CERUMO GR Supraをピットに呼び戻し、石浦がダブルスティントを敢行。順位は10番手近くまで落ちてしまったが、ふたたび追い上げを行っていく。しかし、GT300車両をかわそうとした際に130Rでコースを外れ、戻ろうとした際エアクリーナーに草が詰まってしまった。
チームは緊急ピットインを行い、エアクリーナーを清掃したが、残念ながら復調はならず、石浦はふたたびピットにZENT CERUMO GR Supraを戻すことになってしまった。3戦連続でチェッカーまで届かない、悪夢のような結果となってしまった。
トップ争いをできるパフォーマンスは示せた。しかし、レース展開を読み切れず、またもフィニッシュまで走ることができなかった。TGR TEAM ZENT CERUMOにとって、悔しいでは片付けられない結果となった。チームは次戦スポーツランドSUGOのレースに、必勝の思いで臨んでいく。
ドライバー/立川 祐路
「正直、言葉がないです。ウォームアップでもトラブルが出ていましたしね。決勝レースでは、それでもクルマがきちんと走ってくれて、速さはあり手ごたえも感じられました。タイヤもうまく機能して追い上げることができていました。最初のスティントを担当しましたが、そこで手ごたえもあり、後半にいくほどフィーリングも良くなっていたんです。第2スティントでも石浦選手が良いレースをみせてくれていました。今日は勝てるレースだったと思っています。それがセーフティカーで台無しになってしまいました。運だけで片付けるわけにはいかないですね。直前にピットに入っていたライバルもいるわけで、戦略も必要だと思います。それができていなかった部分が正直あると思っています。繰り返してしまいますが、正直、言葉がないですね」
ドライバー/石浦 宏明
「立川選手から序盤アンダーステアだと聞いていたのですが、ピットイン前にまわりよりもペースが良さそうだったので、同じタイヤでコースインしました。ピットアウトしてすぐにフィーリングも良く、トップ争いできる感触があったと思います。僕のスティント序盤でもどんどん抜いていけましたし、16号車とのバトルでは引っかかっている状況でしたが、実質17号車との戦いになると思っていました。17号車がアンダーカットした時点で僕たちも動くべきで、そういうやり取りも無線で行っていたのですが、そこでセーフティカーが出て優勝の権利を失ってしまいました。そこは反省点が大いにあります。また自分がGT300を抜くときに130Rで下を打ってしまい、コースアウトして戻るときに芝を吸ってしまったようで、エアクリーナーに詰まってしまいました。自分のミスなので反省しなければいけませんが、結果的に完走できませんでした。応援してくれている皆さんに申し訳なく思っています。唯一の救いとしては良いレースができていたことなので、次戦、しっかり最後まで戦いたいと思います」
監督/田中 耕太郎
「レース終盤までは良いレースができていました。終盤には三つ巴のバトルとなり、表彰台を射程圏内に入れていましたが、結果的に残念なレースとなってしまいました。セーフティカーが入ったときにも、その前にピットインをチーム内で相談はしていたのですが、タイミングを逃してしまったのもチームとして反省しなければなりません。今回も結果に結びつけられず、チーム全体としてしっかりと原因を見直し、次戦に繋げていきたいと思っています」