2019年 SUPER GT 第4戦 THAILAND <決勝>
2019年6月30日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO LC500 #38 立川祐路/石浦 宏明
決勝結果 7位
<決勝> 天候:晴れ|コース状況:ドライ
前日の6月30日(土)、公式練習での思わぬトラブルから不調の波に襲われ、午後の公式予選では立川祐路の必死のアタックにもかかわらず、15番手とGT500クラスの予選最後尾に沈んでしまったZENT CERUMO LC500。とはいえ、苦しい中でもポイント獲得を果たさなければチャンピオンなどほど遠い。LEXUS TEAM ZENT CERUMOは予選日の夜にしっかりとZENT CERUMO LC500にセットアップを施し、6月30日(日)の決勝日を迎えた。
この日はレースの前にサーキットサファリ、そしてウォームアップとかなり長めの走行時間が用意されていたこともあり、チームはその時間帯を有意義に使ってセットアップを進めると、前日に比べてもいいセットが見いだせた。ライバルたちと戦える手ごたえを得ることに成功したのだ。
現地時間15時に迎えた決勝レースのスタートドライバーを務めたのは立川。中団が混戦となったオープニングラップでは、まずは立川はそのテクニックで2台をかわし13番手につける。さらに、4周目に#8 NSX-GTがスピンを喫したこともあり、これで12番手に。立川はGT300クラスのマシンが前方に登場すると、前を走っていた#16 NSX-GTをうまくオーバーテイクした。
勢いに乗る立川は、10周目に今度は#17 NSX-GTをかわし、これでポイント圏内となる10番手に浮上した。ただ、燃料流量リストリクターのハンデによるストレートスピードの不利もあり、今度は13周目に#17 NSX-GTが立川をオーバーテイク。目標であるポイント圏内をめぐり、一進一退の攻防を繰り広げていった。
前を走る#17 NSX-GTとの戦いで優位に動けなかったZENT CERUMO LC500は、膠着した状況を打開し、空いた状況で石浦を走らせアンダーカットを狙うべく、立川を早めにピットに呼びタイヤ交換と給油を行った。ただ、ここでほんのわずかなタイムロスがあり、一度立川が抜いたライバルたちのうしろに入ってしまった。
交代した石浦は、ふたたびNo.17 KEIHIN NSX-GTなど前をいくライバルを追う展開となっていったが、37周目、石浦の後方につけていたライバルたちのクラッシュがあり、レースはセーフティカー導入となった。これで前とのギャップが詰まり、石浦にとっては大きなチャンスがやってきた。
42周目にレースはリスタートとなるが、「集中しすぎて少し脱水症状になるくらいでした」というほどコンセントレーションを高めた石浦は、まず50周目に#12 GT-Rをかわし念願のポイント圏内へと浮上すると、さらに翌周には序盤苦しめられた#17 NSX-GTをパス。これでまたひとつポジションを上げる。さらにペースを上げた石浦は、リスタート時にダメージを負った#36 LC500をかわし、なんと終盤だけで一気に3ポジションアップを果たした。
石浦はさらに、前を行く#3 GT-Rとのギャップを詰めていくが、ストレートが苦しい状況もあり、なかなか差を縮めるには至らない。逆に、一度は抜いたライバルたちがストレートの利を活かし迫ってくる。ZENT CERUMO LC500のレースはふたたび膠着した状況となっていった。
しかし一度手にした順位を落とすことなく石浦は66周を走りきりチェッカーを受けた。結果は7位。もちろん表彰台には遠い結果ではあるが、それでも貴重な4ポイントを獲得することができた。激戦が展開されるSUPER GTでは、どんなに苦しいときでもポイントを取りつづけることがチャンピオンへの王道だ。今回の結果によりランキングは3位となったが、LEXUS TEAM ZENT CERUMOは苦境のなかで、勝利に等しい戦いを演じ帰国の途についた。
ドライバー/立川 祐路
「前日と変わらずストレートは厳しい状況でしたが、そればかりはハンデを受けているので仕方がない。そのなかでできることをやるべく、予選までに詰め切れなかったセットアップを煮詰めていきました。それが決勝序盤の追い上げにも繋がったと思いますし、スタート直後の混戦のなかでうまく順位を上げることができました。今週の走り出しの状況を考えると、自分たちにできることは最大限できたと思いますし、シリーズを考えると、苦しいなりにもいい結果になったのではないでしょうか」
ドライバー/石浦 宏明
「レース前からタイヤのライフに自信があったので、戦略としては僕のスティントを長くすることがセオリーだと思っていました。それを狙って早めのピットインを行いましたが、少しピットでロスがあり、アンダーカットを狙ったにもかかわらず、一度立川選手が抜いたクルマをまた抜く必要がありました。ただ、このままではポイントが獲れないとセーフティカー明けになるべくオーバーテイクできるよう、いつも以上にアグレッシブに攻めていきました。その結果ポジションを上げられましたが、抜いたクルマに対し防戦一方になったので、難しいレースでしたね。ただ今週の自分たちの力を考えると、あれ以上は難しかったと思うくらい、自分たちのベストを出すことができたと思います。今季、そのレースでやらなければいけないことはクリアできているので、一時的にランキングが3位にはなりましたが、チャンピオン争いのなかで強いレースができていると思います。そこに自信をもってシリーズ後半戦に臨みたいですね」
総監督/立川祐路
「上出来なレースになったのではないでしょうか。今週末はハンデで苦しい戦いになっていましたが、7位という順位まで上げられてポイントを稼ぐことができたのは大きなことだと思います。SUPER GTはどうしてもポイントリーダーになった後はハンデが苦しくなるので、そういうレースが今後も続くと思いますが、今シーズンはそういうときにもチームとしてきっちりと戦ってポイントを最大限持って帰ることができています。そのあたりはすごくチームを頼もしく思っています。とはいえ、チャンピオンを獲るためにはまた今季後半戦でもう1勝くらいはしたいです。次の得意の富士では上位でレースができるようにしたいですね」
監督/村田淳一
「前日はトラブルもあり予選はぶっつけ本番になってしまいましたが、前夜からレース前までにアジャストすることができ、良い方向に進めることができました。ドライバーとエンジニアがすごくクルマを良くしてくれたことが結果に繋がったと思います。それにレースでは、ドライバーふたりの巧さが光りました。ふたりが大きくポジションを上げてくれたので誇らしく思っています。ピットでの遅れという反省点はありますが、次戦では展開次第では上位を狙える位置にいると思っています。次の富士は獲得ポイントも大きいですし、狙っていきたいですね。とにもかくにも、今日はドライバーの頑張りに尽きると思います」