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SUPER GT RACE REPORT

2019年 SUPER GT 第6戦 AUTOPOLIS <決勝>

2019年9月8日(日) Final決勝レース
ZENT CERUMO LC500 #38 立川祐路/石浦 宏明
決勝結果 4位
<決勝> 天候:曇/雨|コース状況:ドライ/ウェット

2019年 SUPER GT 第6戦 AUTOPOLIS <決勝> 前日の公式予選では、予選Q2を担当した立川祐路が予想外のグリップ不足に悩み、8番手からスタートすることになったZENT CERUMO LC500。とはいえクルマ自体は悪いフィーリングではなく、決勝での追い上げを目指し午後0時55分からのウォームアップで確認を行い、14時30分からのレースに挑むことになった。

  ただ、正午過ぎから少しずつオートポリスは雲が増えはじめており、いつ雨が降り出すのかも気になるポイントだった。午後2時30分のスタート時点では、晴れ間も出る曇り。迎えたスタートでZENT CERUMO LC500のステアリングを握ったのは立川祐路だ。3周目にセーフティカーが導入されるが、序盤ZENT CERUMO LC500は8番手でレースを進めた。

  立川は前を走る#3 GT-R、そして#37 LC500を追っていくが、GT300クラスの集団が出はじめると混戦はさらに進む。しかし20周を過ぎる頃には、その争いに水を差すかのように、1コーナー周辺に強い雨が注ぎはじめた。コースアウトするマシンなども出るが、LEXUS TEAM ZENT CERUMOは「ウエットコンディションになるまで耐えて、レインタイヤに交換しよう」というストラテジーを立てていた。雨が降っているのは1コーナーのみで、まだピットインするには至らないと判断した立川は、スリッピーなコンディションのなか22周目に#3 GT-R、#37 LC500とバトルを展開。7番手にポジションを上げた。

 1コーナーに降っていた雨はすぐに止むことになるが、30周目を過ぎるころ、ふたたび雨が強くなってくる。今度はコース全域を濡らすような状況だ。特にセクター3はかなり強くなってきた。コクピットで雨の状況を冷静に読み続けていた立川は34周目、ピットに無線で「入るよ!」と告げると、ピットロードにZENT CERUMO LC500を滑り込ませた。立川からの指示は「レインタイヤ」だ。

 しかし、当然ながらライバルたちもほぼ同様のタイミングでのピットインとなったため、ピットレーンはまさに戦場の様相を呈していた。特にこのオートポリスはピット同士の間隔が狭く、前後のピットでも準備を行っていたことから、ZENT CERUMO LC500はピットボックスに対してななめにマシンを止める“ダイブ”の状況を強いられた。

 本来であればダイブはタイムロスもあることからあまり行われないが、この機を逃すわけにはいかない。LEXUS TEAM ZENT CERUMOのスタッフはあらゆる状況の準備をしていたことも奏功し、タイトなピットレーンで石浦宏明に交代して迅速に作業を終えると、プッシュバックしてピットレーンにZENT CERUMO LC500を向ける。やや前後の間隔が近く、隣のピットの#39 LC500と接触するなどタイムロスを喫したが、それでもダメージなくコースに戻すことに成功した。

2019年 SUPER GT 第6戦 AUTOPOLIS <決勝> レースはその後2回目のセーフティカー導入となるが、立川の読みどおり雨脚は強く、コース上はフルウエットとなった。他チームはピットインしていないマシンもいれば、ピット作業を終えながらもスリックタイヤでステイしたチームもあった。41周目、リスタートを迎えると、石浦はウエットタイヤを履くZENT CERUMO LC500で圧倒的なプッシュをみせる。これで一気に順位は2番手に浮上した。

 ただ42周目、GT300車両のコースアウトにより、このレース3回目のセーフティカーが導入されたが、ここでZENT CERUMO LC500にとってアンラッキーな出来事が起きてしまう。トップにつけていた#39 LC500の背後に、ラップダウンだった#16 NSX-GTが入ってしまったままSCとなってしまったのだ。しかも#16 NSX-GTはスリックタイヤを履いている。

 50周目にリスタートとなったタイミングで、ウエットタイヤを履いていた#39 LC500は猛然とスパートをかけていくものの、濡れた路面のなかで#16 NSX-GTはスリックではトラクションをかけられず、#39 LC500との間に大きな差が開いてしまう。ZENT CERUMO LC500はスタートラインまで追い抜くことができなかったため、これでトップの#39 LC500と大きなギャップができてしまった。

2019年 SUPER GT 第6戦 AUTOPOLIS <決勝> とはいえ2番手をキープできれば、チャンピオン争いにとっては大きなポイントとなる。しかし終盤、猛烈な勢いで迫った#17 NSX-GTが急速に接近。石浦はソフト寄りのウエットタイヤを履いていたことから、抵抗虚しく2番手を失ってしまう。さらにファイナルラップに向けて路面が乾きはじめると、今度はスリックタイヤで粘りの走りをみせていた#37 LC500が石浦の背後から迫った。

 急速にドライに転じていた路面で、石浦はファイナルラップで#37 LC500にポジションを譲ることになってしまったが、それでもしっかりとZENT CERUMO LC500をコースに留めると、4位でフィニッシュした。前日の8番手からは順位を上げたこと、しっかりポイントを獲得したのは大きいが、できれば表彰台は取りたかった。

 シーズンも残すところ2戦。次戦の舞台は例年荒れたレースとなるスポーツランドSUGOだ。LEXUS TEAM ZENT CERUMOはタイトルに向け、総力を結集して挑むことになる。

ドライバー/立川 祐路
 「自分のスティントの序盤も雨が舞ったりする難しいコンディションでしたが、天気予報でも雨が降ると言われていたので、ウエットになるまでステイするという作戦を採っていました。そのなかで急に強い雨が降ったので、自分の判断でピットインしたかたちですね。タイミングとしては良かったと思っています。リスタートで大きな差が開いたりしてしまったこともありましたが、それさえなければ表彰台に行けた気もしますね。とはいえ、4位という結果を獲れたので、残り2戦とも勝つつもりで挑みたいと思っています」

ドライバー/石浦 宏明
「序盤は苦しそうな展開だったので、雨で展開が変わればと思っていましたが、混乱するピット作業もなんとかこなし、展開を変えられたと思います。ただ、セーフティカーの際に前に1台入ってしまったことが痛かったですね。ルールなので仕方ありませんが、結果に繋がってしまったのは悔しいです。レース終盤はタイヤの内圧も上がってしまい、コースに留まるのもやっとな状況となってしまいました。混戦のなかでしっかりフィニッシュし、4位でポイントを獲れたのは良かったですが、タイトル争いのライバルたちも得点しているので、なんとか残り2戦で上に行けるように頑張りたいと思います」

総監督/立川祐路
「戦略としてはいい戦いをできたとは思っていますが、ピットでは同時に他のマシンもピットインしたためなかなか出られず、混乱のなかで危ないシーンもありました。仕方ないとは思いますが、結果的には大事に至らず良かったです。レースで表彰台に乗ることができなかったのは残念ではありますが、次戦スポーツランドSUGOで勝てるよう、チーム一丸となって挑みたいと思います」

監督/村田淳一
「8番手から上位を狙ってレースを進めましたが、ドライではそこまでポテンシャルも飛び抜けているわけでもなく、苦しい戦いになりました。ただ、雨のなかで立川選手が順位を上げてくれましたし、雨も強くなるなかで、ドライバーがいい判断をしてくれたと思っています。レース終盤は表彰台を見据える戦いができていましたが、リスタートで離されてしまったのが痛かったです。良い部分もありましたが、流れを掴めていない部分もあったと思っています。ここでまた気を引き締めて、次戦また勝ちにいけるよう頑張りたいです」