2023年 SUPER GT 第5戦 SUZUKA <決勝>
2023年8月27日(日) final 決勝
ZENT GR SUPRA#38 立川祐路/石浦宏明
決勝結果6位
< 決勝 > 天候:晴|コース状況:ドライ
8月26日(土)に行われた公式予選では予選5番手と今季最上位グリッドを獲得し、決勝レースに向けて好位置につけたTGR TEAM ZENT CERUMOは、8月27日(日)の決勝日を迎えた。この日は朝方こそやや涼しさがあったものの、決勝レース前のウォームアップでは気温31度まで上昇。午後2時45分にパレードラップが始まった決勝は、気温33度/路面温度50度という酷暑のなか熱戦の火ぶたが切って落とされた。
ZENT CERUMO GR Supraのスタートドライバーを務めたのは、これが最後の鈴鹿でのレースとなる立川祐路。オープニングラップをグリッドどおりの5番手で終えるが、後方からはかつてのチームメイトである平手晃平選手駆る#24 Z GT500が接近。序盤は2台のバトルとなり、さらにその前方を走る#64 NSX-GTを交え、僅差での4番手争いを展開していった。
今回の第5戦も450kmというレース距離で、2回の給油をともなうピットインが求められるが、この第5戦ではGT500クラスでも早めのピットインを行っていくチームが現れる。そんななか、立川は自らの最低義務周回数をこなすべく、コース上でバトルを展開しながら周回。11周目にGT300クラスのアクシデントで導入されたフルコースイエロー(FCY)の解除後には、15周目の1コーナーで#64 NSX-GTをオーバーテイク。その時点で序盤トップだった車両がピットインしていたことから、立川は3番手に浮上。さらに前を行く#17 NSX-GTとの差を縮めていった。
今季SUPER GTでは荒れた展開が多いが、今回は序盤のGT300車両1台のストップをのぞくと大きなアクシデントはなく推移していった。立川はその後も酷暑のなか、最後の鈴鹿でのレースを噛みしめるかのようにスティントを進め、27周を終えてピットイン。石浦宏明に残り50周のステアリングを託した。
石浦がピットアウトすると、序盤早めにピットインしていたライバルたちが、短めのピットストップ、さらに空いたスペースを使いラップタイムを稼ぎ出すアンダーカットを成功させており、ZENT CERUMO GR Supraはポジションを下げて10番手。ただ、コクピットの石浦は好フィーリングを感じており、早々にピットインしていた#3 Z GT500をかわすと、さらに前方を走る5番手争いの4台の集団に追いついていった。
ファンの注目を集めるバトルとなりそうな雰囲気もあったが、そのバトルに引っかかってしまうと、タイムロスも大きい。そのため石浦はロスを避けるため、41周でライバルたちよりも早めにピットインを行うことを決定。給油とタイヤ交換を実施した。
残り35周という長丁場の最終スティントに臨んだ石浦だったが、早めのピットインが功を奏しポジションアップ。各車が2回目のピットインを終えると、#39 GR Supra、#17 NSX-GT、石浦、#14 GR Supraという4台の3番手争いに身を投じていくことになった。この時点で5番手で、これを勝ち抜けば3位表彰台も見えてくる。
ただ、タイヤセット本数の関係から、このスティントで石浦が履いていたタイヤは、序盤履いていたタイヤとは異なるものだった。少しずつペースが苦しくなりはじめた57周目、日立Astemoシケインで石浦は#14 GR Supraの先行を許してしまう。翌周、#17 NSX-GTがバトルのなかでGT300車両と接触しポジションを落とすシーンもあったが、石浦はこれはかわせず。ジワジワと前方とのギャップは広がっていき、さらに後方から接近した#1 Z GT500との戦いに巻き込まれていくことになった。
苦しい終盤戦となった石浦は、69周目に#1 Z GT500にポジションを譲ることになってしまったが、その後はしっかりと耐え抜き、最後は7位でフィニッシュした。さらにレース後には2位だった#23 Z GT500が失格となり、ZENT CERUMO GR Supraはひとつ繰り上がり、6位で夏の鈴鹿を終えることになった。
5番手スタートからの6位という結果はやや悔しさが残るが、それでも上位争いをしっかり戦い抜いてのもの。次戦の舞台は、立川にとって数多くの勝利の思い出が残っている宮城県のスポーツランドSUGO。残り3戦、TGR TEAM ZENT CERUMOは全力で勝利を掴みにいく。
ドライバー/立川 祐路
「クルマのフィーリングも良かったですし、選んだタイヤもコンディションに合っていました。序盤から良い戦いができる感触がありましたし、序盤#64 NSX-GTを追い抜くのに手こずったものの、その後は#17 NSX-GTとのギャップを縮めることができたと思います。やれるだけのことはやれたスティントでした。自分としても最後の鈴鹿でのレースでしたし、苦しいときに『最後の鈴鹿なんだ』と思うと、力が湧いてきて最後まで頑張ろうという気持ちになることができました。良い序盤のレースが戦えたと思います。結果としては後半少し苦しくなり6位という結果となりましたが、一時は表彰台が狙える可能性があっただけに残念ですね。でも戦えるポテンシャルは感じられましたし、次のSUGOも期待はできると思います。東北の皆さん、行きますよ!」
ドライバー/石浦 宏明
「立川選手の義務周回を終えてからピットインし僕に交代しましたが、戦略や給油量の違いで前にたくさんクルマが入っていた状態でした。こちらのペースが良かったのでその集団に詰まってしまったことから、早めのピットインを行うことにしましたが、第2スティントでフィーリングが良かったタイヤが最終スティントで使えず、うまくいかなかったところがありました。また少しアグレッシブにいきすぎてしまったのか、最後はペースを維持できなかったので、少し悔しさが残るところです。巡り合わせがうまくいかなかったですね。また途中からペースが落ちてしまったところを改善しなければいけません。後続をうまく抑えきれなかったところも悔しいですね。とはいえ戦える感触が出てきているので、次戦SUGOでも表彰台を狙い、予選からもっと前にいけるように頑張っていきたいと思います」
監督/村田 淳一
「結果的には6位ということで、好位置からスタートしたことを考えると、少し悔しい結果となりました。作戦としてはちょっと守りに入ったところがあったような感じもありましたし、周囲のターゲットとする車両を見つつ、最低周回数を考えながらのセオリーどおりのレースだったと思います。ペースとしては立川選手も石浦選手も悪くはなかったと思いますが、予想以上にショートスティントのアンダーカット組のペースが良く、我々はそこに捕まってしまったところがありました。我々の燃費に問題があるのかは分かりませんが、その点は今後の課題だと思います。もちろん来年も鈴鹿でのレースはありますし、今季もまだ450kmレースがあります。まだ改善すべきところもありますし、GR Supra勢のなかでのデータ共有もできているので、今後に活かしたいですね。終盤タイヤが厳しくなりましたが、それも原因をしっかり探りたいと思います。とはいえ、戦えたレースだったと思います。次戦SUGOは、サクセスウエイトを考えても勝つしかないと思っています」