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SUPER GT RACE REPORT

2023年 SUPER GT 第4戦 FUJI <決勝>

2023年8月6日(日) final 決勝
ZENT GR SUPRA#38 立川祐路/石浦宏明
決勝結果5位
< 決勝 > 天候:雨|コース状況:ウェット

 

2023年 SUPER GT 第4戦 fuji 長年チームを支え続けて来た立川祐路の今シーズン限りでの引退発表後、初めてのレースとなった第4戦富士の予選では、7番手と今季最高位グリッドを獲得したTGR TEAM ZENT CERUMO。迎えた8月6日(日)の決勝日は、午前こそ晴れ間が見えていたものの、ピットウォーク時には強い雨が降り出し、決勝レース直前には一時雨が止んで路面が乾いたものの、ファンに向けた立川のセレモニーが行われたグリッドウォークではふたたび雨が降った。

 午後1時45分に迎えたスタート時、路面は濡れてはいるものの雨は止んでいるダンプコンディション。ZENT CERUMO GR Supraのスタートドライバーは、最後の富士での決勝となる立川が務めた。不安があるのは、決勝前のウォームアップでブレーキにトラブルが見つかったことから、思うように走れなかったことだ。チームはウエット方向にセットアップを行い、立川を送り出した。

 スタート時、路面がかなり濡れていたことからレースはセーフティカースタートとなったが、3周目にグリーンフラッグが振られると、急速に路面が乾いていくなかで立川は中団のなかバトルを展開していった。ただ、ウエット方向に振っていたマシンはアンダーステア気味で、いつものスタート直後のような切れ味鋭い立川のオーバーテイクはなかなか見られなかった。

 そんななかまだ路面が濡れていた6周目、立川は#64 NSX-GTに先行を許すが、12周を終えてピットインしスリックタイヤに交換する。ここでチームは、多めの燃料を補給。このレースで課せられていたピットイン義務回数をまず1回こなす。コースに復帰した立川は15周目には#64 NSX-GTをオーバーテイクし返すと、#37 GR Supra、#100 NSX-GTとの三つ巴のバトルを展開。25周目には#8 NSX-GTと8番手を争うなど、少しずつ立川らしい激しいバトルを展開していった。

2023年 SUPER GT 第4戦 fuji 序盤のうちにすっかりコースコンディションが回復し、ドライのなかでレースが展開されていたものの、35周目にGT300クラスの車両が火災に見舞われてしまう。そのためレースは二度目のセーフティカーランに。41周目にリスタートを迎えると、立川はふたたび8番手を走りながら前を追っていった。

 一時は晴れ間も見えた富士スピードウェイだが、近隣では雨雲の発生も報告されており、レースの周回数と燃費を計算しながらピットインのタイミングをうかがうことになった。TGR TEAM ZENT CERUMOは55周目、立川をピットに呼び戻し石浦宏明に交代する。

 ただここで、メカニックがリヤウイングの角度調整をしている途中でピットアウトしてしまうというミスも発生してしまう。工具がリヤウイングステーについたままになってしまったが、幸いZENT CERUMO GR Supraの走行に支障はなく、石浦はややポジションを落としたものの、ポイント圏内を争う戦いを展開する。とはいえ、このスリックの状態ではやはりややパフォーマンスは苦しく、石浦にとっては守りのレースとなった。

 

 このままレースはドライのまま進むかと思われたこの第4戦だったが、終盤波乱が起きた。GT300クラスの別車両から火災が発生し、66周目に三度目のセーフティカーランが導入される。さらに火災に見舞われた車両からタイヤバリアに引火してしまったことから、レースは67周完了時点で赤旗中断となってしまった。

 当初レースは午後4時10分に再開となる予定だったが、この間に今度は雷をともなう滝のような雨が降り出した。コースコンディションはフルウエットとなったことから、レースコントロールは赤旗で停止している車両のタイヤ交換を認めた。幸い雨はすぐに小康所帯となり、波乱の第4戦は午後4時30分にセーフティカーランでリスタートを迎えた。

 

2023年 SUPER GT 第4戦 fuji コースは完全にウエットコンディションとなっていたが、この状態でZENT CERUMO GR Supraは息を吹き返したかのようにパフォーマンスが良くなっていった。石浦は前を走っていた#17 NSX-GTとともにポジションアップ。83周目には5番手に順位を上げていった。

 

 ただ、レースが残りわずかというところで路面がふたたび乾いてきた。スリックに再度変更するチームもいるなか、石浦はウエットタイヤのままコース上にステイする。ただ、ウエットタイヤで乾いた路面を走ると、タイヤは柔らかすぎ、オーバーステアが出てしまう。石浦は苦闘しながらも、4番手争いのなかで激しいバトルをみせた。

 

 路面の変化によって速いクルマが変わっていく中、石浦は終盤の混戦を経て、最後は6位でフィニッシュすることになった。ただレース後、ピットイン時の作業違反により、2位、3位でフィニッシュした車両にペナルティが出たことから、ZENT CERUMO GR Supraの第4戦は5位という結果になった。

 

 表彰台に届かなかったことは悔しいところだが、確実にパフォーマンスの向上を証明することができた。開幕3戦とは明らかに風向きが変わっている。立川祐路の引退まであと4レース。TGR TEAM ZENT CERUMOはさらなる上位進出を目指し、3週間のインターバルで迎える第5戦鈴鹿に臨む。

 

2023年 SUPER GT 第4戦 fujiドライバー/立川 祐路
「思ったより序盤雨が降らなかったですね。僕たちはもう少し雨が降るような予想をしていて、その方向にセットアップをしていたのですが、それが若干裏目に出て、早い段階からドライコンディションのレースが続いてしまったので、少し苦しかったです。アンダーステアもけっこうありました。そんななかでも、後半ウエットになれば展開が変わりチャンスがあると思っていたので、中盤ドライのときに、少しでも前についていこうと頑張っていき、最後の富士スピードウェイでのレースを走り切ることができました。今週のポテンシャルを考えると、5位というのは順当な順位だったようにも感じます。もちろん展開次第ではもう少し前も見えましたが、石浦選手も頑張ってくれましたし、チームのタイヤ選択も良かったと思います。クルマのフィーリングも良いものになってきているので、残り4レース、次の鈴鹿ではもっと前でレースができるように頑張りたいです」

ドライバー/石浦 宏明
「ウォームアップでブレーキにトラブルが見つかったことで、バランスのチェックができないままレースを戦うことになりましたが、立川選手がスタートした後はアンダーステアが強いというコメントがありました。ただレース後半は天候が荒れることは分かっていたので、しぶとくレースをするしかないと思いました。予定どおり55周目にピットインし、自分は45周を走るスティントでしたが、スリックタイヤで出てから思いのほかペースが上がらず、ピットイン後順位が下がっていたのですが、雨が降ってきてウエットタイヤに替えた後はパフォーマンスを感じることができました。良いペースでポジションを上げていましたが、乾きだしてからはオーバーステアでタイヤも厳しくなってしまいましたね。今回のレースは自分たちのベストを尽くすことができましたし、自分たちの実力を出せたと思います。セットアップを大きく変えた緒戦でデータも採れましたし、次戦もチャンスがあると思っています」

監督/村田 淳一
「路面状況が次々と変わっていくレースでしたが、ストラテジーとしてはうまくやれたのではないでしょうか。そこはエンジニア陣に感謝ですね。燃費も問題ありませんでしたからね。とは言え、ウォームアップで走行できなかったり、チームとして全体のコントロールがうまくできなかったところもあります。決勝ペースにも響いたようにも感じますし、ピットでのミスなどもありました。そういったトラブルがあるうちは表彰台に立てませんし、結果は5位でしたが、反省点が多いレースでした。ドライバーはすごく頑張ってくれましたし、エンジニアもしっかり考えてくれましたが、監督として至らない点もありました。シーズン後半戦に向けてその点を引き締め、もう一度しっかりと結果を残すために何ができるかを考えていきたいと思います」