2023年 SUPER GT 第8戦 MOTEGI <決勝>
2023年11月5日(日) final 決勝
ZENT GR SUPRA#38 立川祐路/石浦宏明
決勝結果 11位
< 決勝 > 天候:晴・雨|コース状況:ドライ・ウェット
11月5日(日)、いよいよTGR TEAM ZENT CERUMO、そしてSUPER GTにとっても歴史に残る一日がやってきた。長年トップドライバーとして活躍、三度のチャンピオンをチームにもたらした立川祐路にとっての、SUPER GTの現役ラストレースの決勝日を迎えた。
3万人という非常に多くのファンが朝からモビリティリゾートもてぎに詰めかけるなか、立川と石浦は予選日に続き非常に多忙なスケジュールを送りながら決勝日を過ごしてきたが、午前11時30分に始まったウォームアップ走行からはZENT CERUMO GR Supraのセットアップに集中。午後1時からの決勝レースに向けて準備を進めた。
やや雲が多くなるなか、迎えた決勝レースは気温23度/路面温度28度というコンディションのもと迎えた。今回ZENT CERUMO GR Supraは、立川にラストレースのチェッカーを受けてもらうべく、石浦宏明をスタートドライバーに据えた。ZENT CERUMO GR Supraは通常、立川がスタートで石浦が後半というパターンがほとんど。石浦にとってはチーム加入後1年目以来という、ひさびさのスタート担当となった。
石浦はオープニングラップ、まずはグリッドどおりの12番手で終えると、前を走る#8 NSX-GTを追っていく。序盤GT500クラスは膠着状態だったが、6周を過ぎるあたりからGT500クラスの上位の前方にはGT300クラスの集団が迫り始める。そしてさらに、サーキットには天気予報にはなかった雨が舞いはじめた。
雨はただちに路面を濡らすほどではなかったが、9周目にはコンディションの変化か7番手スタートの#64 NSX-GTが大きくポジションダウン。さらに翌周には#24 Z GT500が大きく順位を落とし、石浦がドライブするZENT CERUMO GR Supraは、10番手までポジションを上げる。さらに11周目、6番手を争っていた#14 GR Supraと#100 NSX-GTが接触。#14 NSX-GTがスピンを喫し、石浦は9番手まで浮上した。
ただ、石浦の後方からは#37 GR Supra、#39 GR Supraという2台が接近。この頃にはややペースが苦しくなっており、防戦を強いられてしまう。石浦は18周目、ペースに優る#39 GR Supraへの先行を許してしまったものの、後方から迫った#37 GR Supraに対してはコース半周にも渡る激しいバトルを展開。後半スティントの立川に良いかたちでバトンを渡そうと白熱の戦いを展開していった。
そして22周を終えて、石浦はZENT CERUMO GR Supraをピットレーンに向ける。待ち受けるのは、ラストレースのスペシャルヘルメットを被った立川だ。TGR TEAM ZENT CERUMOのメカニックたちは、立川への感謝を伝えるかのように迅速な作業をこなすと、39秒という作業時間で送り出した。残すは41周。立川はラストランをスタートさせていった。
立川は実質的に10番手付近のポジションを走り、今回立川をオマージュしたヘルメットを被る阪口晴南選手がドライブする#19 GR Supraを従えつつラップを重ねていく。ちょうどレース後半に入ろうかという頃にはふたたびモビリティリゾートもてぎには雨が舞いはじめたが、立川は落ち着いてレースを進めていった。
レースは残り10周を切ってふたたび1コーナー付近に雨が降りはじめたが、そんななか立川は次第に9番手を走る#16 NSX-GTとのギャップを縮め始めていった。55周目、1コーナーでインをうかがうと、3コーナーで豪快にオーバーテイクをみせる。
その後も雨は強さを増していき、コース上はスリッピーとなっていくが、立川はその後ペースに苦しみポジションを下げていったものの、ZENT CERUMO GR Supraをしっかりとコースに留め、63周を走り切り最後のチェッカーフラッグを受けた。
ZENT CERUMO GR Supraの順位は11位。ポイント獲得には届かなかった。しかし立川はやり切った表情を浮かべ、スタンドに詰めかけた多くの声援を浴びながらチェッカー後もてぎを1周すると、握手を求めに来た後輩ドライバーたちと言葉をかわし、レース後、チーム全員に感謝を伝えた。
立川祐路という偉大なドライバーのキャリアはここで区切りを迎えた。しかし、TGR TEAM ZENT CERUMOの挑戦は2024年も続く。今季思うような成績が残せなかった悔しさをぶつけるべく、チームは今日から新たなチャレンジへ向け体制を構築していく。
ドライバー/立川 祐路
「ラストレースはなかなか苦しい戦いになってしまいましたね。これもレース。これも人生です。前半スティントの石浦選手の状況から苦しいレースになりそうなことは感じていましたが、何にしても最後のレースなので、全力で頑張ろうと長いスティントに臨んでいきました。終盤はダンプコンディションになり、非常にリスキーな状況でしたけど、とにかくチェッカーを受けて終わりたいという気持ちで、最後までしっかりと走り切ろうと全力で戦いました。長い間一緒に戦ってくれた仲間に感謝していますし、応援してくれた皆さんに感謝したいです。チェッカーを受けてから、パルクフェルメまで戻ってくるまでの1周の間、コースサイドからすごくたくさんの声援をいただきましたし、こみ上げてくるものがありました。正直、とにかく少しでも長く乗っていたい、戻ったら終わってしまうんだという寂しさがありました。今は皆さんにありがとうという気持ちでいっぱいです。明日から普通の人に戻りたいと思います(笑)」
ドライバー/石浦 宏明
「ひさびさにスタートドライバーを担当しましたが、序盤の数周はグリップも高く、ペースも悪くない印象で余裕もあったのですが、事前にウォームアップからペースもあまり良くなく、セットアップも変更していたものの、周囲が安定したペースになったところで、少し厳しい状況になってしまいました。追い上げられる地力のペースが苦しく、ピットにもそれを伝えていきました。後半、立川選手に違う種類のタイヤを履いてもらうことで状況を打開できたらと思っていました。立川選手と組んでから、僕がスタートを担当するのはもう記憶にないくらい前だったので緊張しましたが、最後のレースでもう少し良いペースで走ることができたらという悔しさはあるものの、最後のレースで立川選手の走りを皆さんに観てもらえたのは良かったことだと思います。今回ペースが上がらなかったことは来季のもてぎに向けても参考になるところはたくさんあると思いますので、来季に繋げていきたいと思っています」
監督/村田 淳一
「立川選手のラストレースを無事にフィニッシュすることができましたが、良い状態で走らせられることができなかったのは悔いが残るところです。もちろんこれまで一緒にやってきて悔いが残ることはたくさんありましたし、ああすれば良かったな、ということも蘇りますが、最後はもっと良い成績で終わることができれば良かったですね。レースは難しいです。序盤から石浦選手がかなりアグレッシブに順位も上げてくれ、立川選手に繋いでくれましたが、タイヤも含めてあまり良いペースで走ることができませんでした。立川選手のレースはこれで終わりとなりますが、もちろんTGR TEAM ZENT CERUMOはレースを戦っていくので、今回のレースをしっかり糧にしていきたいと思いますし、来シーズンにしっかりと繋げていきたいと思います。立川選手も来季、違ったかたちでチームに参加してくれると思いますので、より一層強化したチーム体制で、来季に向けて準備をしてきたいと思います。スポンサー各位はじめ、関係者の皆さん、ファンの皆さんには不甲斐ないレースを一年戦ってしまい申し訳なく思っていますが、来季は強いTGR TEAM ZENT CERUMOとしてチャンピオン争いに加わるよう、今日からもう来季に向けて準備を進めていきたいと思っています。一年間、ご声援ありがとうございました」