2025年9月21日(日) 決勝
KeePer CERUMO GR SUPRA#38 石浦宏明/大湯 都史樹
決勝結果 11位
ウエットからドライに転じ、スリックタイヤでの走行時間が短く難しいコンディションのなか行われた9月20日(土)の公式予選では7番手と、サクセスウエイトの状況を考えれば好位置につけることができたTGR TEAM KeePer CERUMO。ただ、ランキング首位である#1 GR Supraは4番手と前にいる。逆転、そして大きなポイントを得るべく、チームは9月21日(日)の決勝日に臨んだ。
前日こそ不安定な天候となっていた宮城県のスポーツランドSUGOだが、この日はやや風が強いものの、朝から爽やかな晴天に恵まれた。チームはピットウォークなどのイベントを経て、午後1時30分からの決勝レースに臨んだ。気温24度/路面温度32度というコンディションのもと始まった決勝で、KeePer CERUMO GR Supraのスタートドライバーを務めたのは石浦宏明だ。
GT500クラスのスタートでは大きな順位変動はなく、石浦は序盤グリッドどおりの7番手でレースを進めた。ただ、石浦には危惧があった。決勝前のウォームアップ走行ではタイヤにグレーニング(ささくれ)が出ており、明らかにペースが鈍ることが予想されていた。チームはスタート前のグリッドで大がかりなセットアップ変更を行っていたが、その変更した感触は確かめられないままレースに臨んでいた。
石浦の危惧どおり、KeePer CERUMO GR Supraは3周を過ぎるころにはペースが鈍ってきてしまう。6周目には7番手にドロップすると、8周目には一気にポジションを落とし12番手となってしまった。ただ、石浦の前後を走っている車両の中には同じ症状を抱えているライバルが複数いた。そこでチームは、当初ミニマムでピットインし、大湯都史樹に長いスティントを任せる作戦を組んでいたが、これを変更。石浦のラップタイムが落ち着いていたことからなるべく長く走行し、ミニマムで入ったライバルたちのタイヤが苦しくなったところで、大湯に追い上げてもらう作戦を組んだ。
石浦は難しいコンディションのもとレースを進め、ピットインの機をうかがっていった。タイトなSUGOではアクシデントも多発し、GT300クラスのアクシデントで序盤からフルコースイエロー(FCY)が発生する展開となっていたが、44周目、ピットロード出口でGT300車両がストップ。これを見たチームはFCY導入を察知し、石浦を呼び戻した。
GT500クラスの中でも最後のピットインとなり、タイヤはフレッシュ。FCYに合わせたピットインで、ロスも挽回することができた。大湯はさらなる追い上げを期すべくKeePer CERUMO GR Supraをドライブしていったが、48周目、GT500クラスの4番手を走っていた#64 CIVIC TYPE-R GTとGT300車両2台が絡むアクシデントがストレートで発生。レースは赤旗中断となってしまった。
ガードレール補修も必要となり、レースは1時間03分の中断を要することになったが、その間に陽は傾き、路面温度も下がっていった。このことがライバルたちのタイヤに味方したか、セーフティカーランでの再開後、大湯はプッシュを続けチャンピオン争いのライバルである#1 GR Supraをオーバーテイクするなど果敢に攻めたものの、ライバルたちのペースダウンは少なく、チームの期待どおりのポジションアップはなかなかならなかった。
赤旗中断もあり、午後4時30分までのタイムレースへと変更された決勝は終盤まで混戦となったが、大湯は荒れた展開をくぐり抜けたものの、接触によるタイムペナルティ5秒加算もあり11位でフィニッシュすることになった。この週末のミッションであったポイント獲得はならなかった。
この第6戦の結果、KeePer CERUMO GR Supraのランキングは5位まで下がることになった。ただ、まだトップとの点差は17.5ポイント。残り2戦で逆転は可能な数字だ。シーズン第7戦で、サクセスウエイトのハンデが半減となる次戦オートポリスで、TGR TEAM KeePer CERUMOは逆襲を目指す。
ドライバー/石浦 宏明
「決勝レース前のウォームアップでもタイヤにグレーニングが出て、ペースが落ちてしまうことが分かったので、グリッドではすべてのセットアップを変えるくらいのトライを行ったのですが、決勝はどんなバランスになっているのか手探りの状況でスタートしました。序盤はなんとかしのぎきっていたものの、3〜4周ほどで曲がり切れないくらいのグリップダウンがあり、そこからは防戦一方になってしまいました。同じ症状だったライバルもいたので、その中での駆け引きでしたが、ラップタイム自体は安定してきたので、まわりのペースが落ちたところで大湯選手が追い上げるという作戦に切り替えました。ストップ車両が出たタイミングでピットインすることに成功したので、作戦はうまくいったのですが、リスタート後はまわりのペースも上がり、狙いは思うように機能しませんでしたね。燃料流量リストリクターの調整の影響もあり、オーバーテイクもしづらかったと思います。うまくいかない週末になりましたが、次戦からはウエイトも半分になるので、優勝を狙っていきたいと思います」
ドライバー/大湯 都史樹
「僕のスティントでは最後尾からの追い上げとなりましたが、フレッシュなタイヤを履く作戦で、悪い戦略ではなかったと思っています。ファーストスティントで予想はできていましたが、やはり序盤タイヤが苦しく、順位を落とさざるを得ない状況になっていましたが、ちょうどよくストップ車両があったので、前との距離も縮まりチャンスだったとは思いますが、戦略を活かせる結果にはなりませんでした。ポイントも獲れなかったのでチャンピオン争いの面では苦しい状況になってしまった印象がありますが、クルマやタイヤ選択でも課題はあったと思います。また僕自身ももう少し何かできなかったかな、と感じています。路面温度が下がったせいか他車もペースが遅くなかったので、厳しいレースになってしまいました。僕自身もレースを振り返り、どうにか次のオートポリスで優勝できるように準備していきたいと思います」
監督/立川 祐路
「レース序盤から苦しい状況となり、ポジションも下がっていってしまったのですが、当初早めにピットに入る予定を遅らせ、後半フレッシュなタイヤで巻き返す戦略を採ることにしました。絶妙なタイミングでピットに入ることができましたし、赤旗中断後にフレッシュなタイヤで大きくジャンプアップするチャンスがあったものの、想定以上にペースを上げることができませんでした。今回ポイントを獲ることができなかったのは非常に残念ですが、残り2戦でしっかり巻き返せるように頑張りたいと思っています。応援ありがとうございました!」