2020年 SUPER GT 第5戦 FUJI <決勝>
2020年10月4日(日) Final 決勝
ZENT GR SUPRA#38 立川祐路/石浦宏明
決勝結果 9位
< 決勝 > 天候:曇|コース状況:ドライ
惜しくもQ2進出はならなかったものの、燃料流量リストリクターのハンデがありながら9番手と、シングルポジションにつけることに成功したTGR TEAM ZENT CERUMO。迎えた10月4日(日)の決勝日は、曇り空のもと前日よりも多くのファンが富士スピードウェイに詰めかけ、さまざまなイベントを経て、午後1時30分のスタートのときを迎えた。
ウォームアップでZENT GR Supraのフィーリングを確認したTGR TEAM ZENT CERUMOは、微調整を施し立川にステアリングを託した。1周のフォーメーションラップを経て立川はスタートを切ると、TGRコーナーに差しかかる。しかし立川の横を走っていた#3 GT-Rと立川の前にいた#16 NSX-GTがわずかに接触。#16 NSX-GTがスピン状態に陥ってしまった。
立川はこの#16 NSX-GTを避けようとするが、コース上に行き場はない。ランオフエリアに出てしまい、これで大きくポジションを落としてしまった。直後、#3 GT-Rのボンネットが2コーナーに飛散、さらに#3 GT-Rから出火したこともあり、すぐにレースはセーフティカーが導入され、この時点でZENT GR Supraは13番手につけることになった。
順位としては最後尾近くになってしまったが、セーフティカーが入ったことでまだ上位とはそこまで大きな差がついているわけではない。立川の追い上げに期待したいところだったが、5周目のリスタート後、なぜかZENT GR Supraのバランスが良くない。立川はコースに復帰した#16 NSX-GTにかわされてしまう。
混戦のなか、立川はランキング首位で重いハンデを負う#17 NSX-GTをかわし8周目には12番手に。さらにペースが落ちてきた#64 NSX-GT、ドライブスルーペナルティを受けた#12 GT-Rが後退すると17周目には11番手までポジションを上げた。ただ、やはりZENT GR Supraのパフォーマンスは思わしくなかった。
選択したタイヤが合っていないのか、それとも別に原因はあるのか……? そのまま厳しいペースのまま走り続けても順位を落としてしまうだけだ。TGR TEAM ZENT CERUMOは急遽作戦を変更し、23周を終え立川をピットに呼び戻すことに決めた。66周のレースではミニマムに近い。
ピットインしたZENT GR Supraには石浦宏明が乗り込むことになるが、立川のスティントでの不調も考え、石浦には前半とは異なるタイヤを選択することになった。ふたたびコースに戻った石浦は、タイヤ選択が当たったのか、好ペースで走りはじめた。
ライバルたちもその後続々とピットインするが、上位陣が作業を終えてみると、石浦の順位は10番手。ポイント圏内に浮上することができた。ただ、長いスティントをこなす石浦のペースは、予想以上に落ちてきてしまう。
そんななか、石浦は後方から迫った軽い#12 GT-Rにかわされひとつポジションを落としてしまうが、55周目にはバトルのなかで#36 GR Supraをかわしひとつポジションアップ。さらに終盤、63周目には#23 GT-Rがポジションを落とし、ZENT GR Supraの順位はひとつ上がり、9位でチェッカーを受けることになった。
なんとかポイントは獲得したものの、予選までもっていた自信が嘘のような苦しいレース展開になってしまったZENT GR Supra。レース後、チームはその原因について解析を続けたが、なんとスタート直後の接触の影響で右フロント部分の外観からは見えない部分にダメージを負っており、バランスが大きく崩れてしまっていたのだ。バランスが崩れれば苦しい走りになり、当然タイヤにも良くない。不調の原因は判明した。
不運なアクシデントにより、上位フィニッシュが叶わなかったZENT GR Supra。とはいえ、本来もつポテンシャルが低かったわけではない。次戦鈴鹿は、チャンピオン争いを考えても決して落とせないレース。TGR TEAM ZENT CERUMOは強い気持ちをもって次戦に挑むことになる。
ドライバー/立川 祐路
「スタート直後、前の2台が接触してそのうちの1台がスピン状態になってしまい、コース外に避けざるを得ませんでした。それでほぼ最後尾になってしまいましたが、そこは運がなかったですね。スタートで順位を上げたかったのですが、逆の結果になってしまったのは本当に残念です。その後追い上げたかったのですが、どうやらそのスタート直後に接触があったようで、クルマにダメージを負ってしまい、バランスが崩れ思ったような追い上げができませんでした。苦しいレースになってしまいましたね。次の鈴鹿ではなんとか大量得点を挙げて、チャンピオン争いに戻れるように頑張りたいと思います」
ドライバー/石浦 宏明
「前半スティントで、立川選手の行き場がなくなってしまったこと、そしてその後もペースが苦しそうで、フロントタイヤが厳しいという内容を無線で聞いていました。そのため急遽ミニマムスティントでピットインすることになりましたが、僕のスティントではタイヤが良いうちはいいペースで走れていたものの、接触の影響があったのか、タイヤのグリップが落ちてからはかなりペースが苦しくなってしまいました。粘ってポイントを獲ることはできましたが、接触があったとはいえ、第1戦、第2戦に続いて富士は苦しいレースとなってしまいました。いま、トップとは17点差がついていますが、チャンピオン争いを考えると、次戦はハンデがありながらも勝てるようなレースをしなければならないと思っています」
監督/村田 淳一
「結果としては残念なレースになってしまいました。スタート直後からアクシデントがあり、その後セーフティカーを挟んでのリスタートの後も、接触の影響があったようでアンダーステアの症状が出てしまいました。後半もタイヤがフレッシュなうちは良かったのですが、グリップが落ちてきてからは苦しい展開になってしまいました。次戦鈴鹿は我々もですが、ライバルのウエイトハンデも厳しくなってきます。そのなかでチャンスを活かせるような戦いをしていきたいと思います」