2020年 SUPER GT 第6戦 SUZUKA <決勝>
2020年10月25日(日) Final 決勝
ZENT GR SUPRA#38 立川祐路/石浦宏明
決勝結果 5位
< 決勝 > 天候:曇|コース状況:ドライ
2020年シーズンのチャンピオン争いに残るためにも、負けられない一戦と言えるSUPER GT第6戦鈴鹿。立川祐路の強い思いからわずかにコースアウトを喫してしまったものの、7番手という位置につけた公式予選を終え、TGR TEAM ZENT CERUMOは第6戦鈴鹿の決勝日を迎えた。青空のもと1万9000人というファンが詰めかけ、午後1時に迎えた決勝レースに向け、チームはウォームアップで前日に続く好フィーリングを確認。立川祐路にZENT GR Supraのスタートを委ねた。
やや隊列が整わないながらも迎えたスタートから、立川は前日のミスを取り戻すべく構成を仕掛けていく。まずはオープニングラップで#3 GT-Rをかわし6番手に浮上すると、前を行く#16 NSX-GTに狙いを定めていく。
3周目、日立オートモティブシステムズシケインで立川は#16 NSX-GTをオーバーテイク。これでZENT GR Supraは5番手に上がる。さらに僅差の戦いのなか、4番手を走る#19 GR Supraとの差を詰めると、7周目の1コーナーでこれをオーバーテイク。今季はなかなか見られなかった、切れ味鋭い序盤戦の立川の鬼神の追い上げが披露されていった。
立川はさらに、10周目には3番手を走る#12 GT-R、2番手の#64 NSX-GTとの差を詰めていき、三つ巴のバトルを展開する。12周目、#12 GT-Rが#64 NSX-GTをかわしていくが、GT300車両を交えた混戦のなかで立川は#64 NSX-GTと接近戦を展開。18周目、ふたたび日立オートモティブシステムズシケインで立川はオーバーテイクを披露し、これで3番手にポジションを上げてみせた。
いよいよチームが期待した表彰台圏内に順位を上げてきたZENT GR Supra。コクピットの立川のフィーリングも良い。ウエイトハンデが軽い首位の#8 NSX-GT、2番手の#12 GT-Rの攻略は容易ではないが、レースは長く何が起きるか分からない。21周を終え、チームは立川をピットに呼び戻すと、後半スティントを石浦に委ねることにした。
ここで素早くZENT GR Supraをコースに戻せば、さらなるポジションアップも可能なはず……。そんなわずかな思いが出てしまったか。ピットインしたZENT GR Supraに乗り込もうとする石浦の視界の片隅に、リヤタイヤを固定するためのナットが飛んでいくシーンが飛び込んできてしまう。ふだん迅速な作業を行うクルーの、らしからぬミスがこの大事なレースで出てしまった。
とはいえ、リヤタイヤの作業の遅れは数秒。まだ挽回は可能なはず。ところが、フロントでも同様に作業が遅れてしまう。なんとかタイヤ交換を行いピットアウトした石浦の前には、本来はるか後方にいるはずの#36 GR Supraが走っていた。直後にS字で発生したアクシデントのためセーフティカーが導入されることになるが、ここで順位が整理されると、ZENT GR Supraの順位は7番手。まさかの後退を喫してしまっていた。
ただ起きてしまったミスを嘆いていても始まらない。ここからいかに順位を取り戻すかが石浦の仕事だ。石浦はリスタート後の31周目、まずは#36 GR Supraをかわし6番手に戻すと、前を行く#64 NSX-GTに近づいていく。ただ、#64 NSX-GTは後半高いスピードを保っており、なかなか石浦にスキをみせなかった。
そんななか、GT300クラスとの攻防の間隙を縫って43周目に石浦は#64 NSX-GTをオーバーテイクしてみせる。これで順位は5番手。しかも前方では、2番手を#12 GT-R、#8 NSX-GT、#3 GT-Rが激しく争っていた。バトルが起きればそれだけペースは鈍る。石浦は3台の争いに近づくと、#3 GT-Rのすぐ背後まで近づいていった。
しかし、そんなバトルを勝ち抜くだけの周回数が残されていなかった。前の3台はいずれもウエイトハンデが軽く、つけいるスキはなかなか見られず、ZENT GR Supraはそのまま5位でチェッカーを受けることになってしまった。ランキング上位勢が大きなポイントを得られなかったことから、ZENT GR Supraはランキング首位との差を縮めることは成功したが、それでもTGR TEAM ZENT CERUMOが望んでいた結果とは言えなかった。
とはいえ、シーズンは残り2戦。しかも次戦の舞台は、優勝を争ったツインリンクもてぎ。TGR TEAM ZENT CERUMOは、残り2戦での必勝とチャンピオン争いの逆転を目指し、ふたたび気を引き締めていく。
ドライバー/立川 祐路
「ウォームアップでクルマのフィーリングは悪くないことは確認できていたので、予選の自分のミスを取り返そうと“全集中”でレースに臨みましたが、なんとか表彰台圏内まで順位を上げることができました。ただ、その後ピットで大きくミスがあり、ポジションを落としてしまったのは本当に残念ですし、後半は石浦選手が追い上げてくれたものの、大事なレースで望んでいた結果には結びつきませんでした。今回も勝つつもりでいたので、次戦もてぎこそ勝ちを狙っていきたいと思っています」
ドライバー/石浦 宏明
「予定したとおりのタイミングでピットインしましたが、レース後半に向けてタイヤも自信がありました。いいアウトラップを決めれば表彰台争いは確実だろうと思っていましたが、クルマに乗り込むタイミングでナットが飛ぶシーンが見え、さらにフロントでもミスがありました。コースインしたときには順位を落としており、せっかく立川選手が抜いてきたクルマよりもうしろになってしまっていましたね。とはいえ、気を取り直して自分が取り返すしかないと必死に走り、順位を上げることができました。ただ最後に2位争いに追いつくことができ、バトルをしかけることはできたものの、それ以上順位を上げることはできませんでした。本来表彰台に乗りたいレースでしたが、その流れをチーム全体で作ることができなかったのは大きな反省点だと思います。チーム全体がミスなくレースができるかを追求すべきだと思います。チャンピオン争いもまだ可能性はありますので、次戦もてぎに賭けたいと思います」
監督/村田 淳一
「今日のレースは、とにかくピット作業での遅れに集約されてしまうと思っています。セーフティカーのタイミングで上位に進出したマシンもいましたが、我々のレースとしては、ピットイン時にナットが飛んでしまったりと作業が遅れてしまったことで、順位を落としてしまいました。すぐ2週間後に第7戦がやってきますが、何かしらの解決策を見つけなければならないと思っています。ポイントは獲れたものの、落としたものが大きいです。とはいえランキング首位とは差は縮まったことをプラスにとらえ、次戦で優勝してさらに浮上できるように頑張っていきたいと思います。応援ありがとうございました」