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SUPER GT RACE REPORT

2025年 SUPER GT 第8戦 MOTEGI <決勝>

2025年11月2日(日) 決勝
KeePer CERUMO GR SUPRA#38 石浦宏明/大湯 都史樹
決勝結果 7位

 

2025年 SUPER GT 第8戦 motegi 2025年11月2日。いよいよTGR TEAM KeePer CERUMOと石浦宏明がともに戦うラストレースの決勝日がやってきた。前日の公式予選では、石浦と大湯都史樹のアタックにより、見事ポールポジションを獲得。これ以上ない舞台から、悲願のシリーズチャンピオンを目指し臨んだ。

 この日のモビリティリゾートもてぎは薄曇りで、朝から非常に多くのファンがサーキットに訪れた。石浦自身も、GT500ラストレースを噛みしめるように多忙なスケジュールをこなしながら、いよいよ午後1時からの決勝レースを迎えた。気温は20度。路面温度は22度というコンディションのなか、スタートドライバーを務めることになった石浦はKeePer CERUMO GR Supraのラストドライブに向けコクピットに乗り込み、1周のパレードラップに続きスタートを切った。

 石浦はポールポジションからまずは1〜2コーナーを制しトップを守ったものの、今回石浦が履いていたのは、わずかに気温が高めのコンディションを想定していたもの。ウォームアップにやや苦しみ、4コーナーに向けた攻防の中でわずかにホイールスピン。2番手スタートの#1 GR Supra、さらに3番手スタートの#12 Z NISMO GT500に先行を許してしまう。ただ、ペースは悪くない。その後はきっちりと3番手を守りながら、GT300クラスのラップダウンが現れはじめると、逆に#12 Z NISMO GT500とのギャップを縮めていった。

 ただ、このもてぎは非常にオーバーテイクが難しいサーキット。石浦に自力のペースがあっても、なかなか前を抜くまでには至らなかった。石浦は燃費走行に切り替え、ピットでの逆転を目指すことに変更。チームもピットインタイミングを臨機応変に変更するなど、柔軟に対応していった。序盤はジリジリとした展開が続くことになったが、21周を終えると、石浦はその大役を終えピットに愛機KeePer CERUMO GR Supraを戻した。

2025年 SUPER GT 第8戦 motegi ここで2番手を走っていた#12 Z NISMO GT500も同時にピットに入ることになったが、石浦の燃費走行も奏功し、さらにTGR TEAM KeePer CERUMOのクルーは抜群の仕事ぶりをみせ、#12 Z NISMO GT500を上回ることに成功する。大湯は気合十分で猛然とピットアウトしていった。目指したのは、トップを走っていた#1 GR Supraを上回ること。これが実現しなければチャンピオンもあり得ない。大湯はコールドタイヤでわずかに1コーナーをオーバーランしたものの、ポジションをキープしてアウトラップに入っていった。

 しかし大湯の熱い思いがあふれてしまったのか、そのアウトラップの90度コーナーで大湯はタイヤをロックアップさせてしまい、コースアウトを喫してしまった。これによりふたつポジションを落としてしまう。さらにこのロックアップの影響でタイヤにフラットスポットができてしまい、車両へのダメージもあり大湯は防戦一方のレースを強いられることになってしまった。

 GT500クラスの全車がピットストップを終えると、大湯が駆るKeePer CERUMO GR Supraは5番手につけることになったが、37周目には後方から迫った#39 GR Supraの先行を許してしまう。その後、大湯の後方からは7台のGT500クラスのライバルたちが迫り、集団を従えて走る我慢のレースを強いられることになった。

 

2025年 SUPER GT 第8戦 motegi 大湯は集団を従えながら懸命の走りを続けていたが、51周目、ついに#37 GR Supraの先行を許してしまうと、翌周には#8 CIVIC TYPE-R GTにオーバーテイクを喫してしまう。ただ、その後はチェッカーまでなんとか耐え続け、大湯は8位でチェッカーを受けることになった。レース後、2位だった#12 Z NISMO GT500が失格となったため、KeePer CERUMO GR Supraの最終順位は7位となった。

 

 目標としていたチャンピオンには届かなかった。しかし、それに懸命に手を伸ばし続けたチャレンジゆえの結果だ。大湯の頑張りのおかげもあり、ランキング3位も守った。このレースがTGR TEAM KeePer CERUMOでのラストレースとなった石浦は、チームの成長を実感し、やり切った充実感とともに笑顔をみせた。

2025年 SUPER GT 第8戦 motegiドライバー/石浦 宏明
「ポールポジションからたくさんの注目を浴びながらスタートを担当させていただきましたが、GT500ラストレースでなんてありがたい環境からレースをさせてもらえているのかと、噛みしめながらスタートを担当しました。僕たちが選んだタイヤが、もう少し暖かいコンディションに向けたタイヤだったのでウォームアップに苦労してしまい、1周目からポジションを下げてしまいましたが、まだまだチャンスはあるだろうと、燃料をセーブして戦っていきました。ピットで逆転できる可能性を狙い、12号車についてピットロードに入りましたが、給油時間も短く、ピットで前に出ることができました。そこからは大湯選手と1号車のバトルになるかな、と思っていたのですが、今週の大湯選手は僕のラストレースということでずっと気合を入れてくれていて、そのフルプッシュがコースアウトに繋がってしまったかもしれませんが、チャンピオンを獲りにいった結果だと思っています。チームみんながやれるだけのことをやった結果ですので、本当に悔いのないレースができたと思います。1号車は改めて強いと思いましたし、3年連続チャンピオンにはなかなか勝てないと思いましたけど、予選ではノーウエイトで前に出ることができました。いま、TGR TEAM KeePer CERUMOにチーム力がついていることは間違いないですし、自分のレース人生でいちばんチャンピオンに近づいた瞬間でした。TGR TEAM KeePer CERUMOは改めてチャンピオン争いができるチームになりましたし、大湯選手がチームを引っ張る立場に成長してくれました。僕はチームを離れることになりますが、今後も楽しみです。応援しながら自分のレース活動を続けていきたいと思います。ありがとうございました!」

 

2025年 SUPER GT 第8戦 motegiドライバー/大湯 都史樹
「ファーストスティントでは、石浦選手が序盤の攻防で3番手になり、タイヤの温まりが足りていない印象がありました。3番手になり、12号車にフタをされてしまったので、それがなければ1号車と争えるかもと思っていました。僕たちは1号車との差をひっくり返すことしか考えていませんでしたし、戦略としてはあのタイミングのピットではなかったのですが、給油時間も短くしようとあのタイミングでピットインしました。僕としては1号車しか見ていませんでしたし、前に出られたら同じタイヤということもあり、抜けないと思っていました。だからこそアウトラップに賭けていました。ただ、その攻めの走りがいきすぎてしまいましたね。それがすべてになってしまったと思います。ロックしてフラットスポットを作ってしまったこともあり、あの順位で帰ってこられたことも奇跡というくらいでした。今シーズンはランキング3位となりましたが、1号車は常に上位で戦う強さをみせていました。彼らは速さもあるし、ミスもありません。僕たちは波があった一年だったと思います。その領域には近づいてはいるけれど、同じ領域にはいないイメージですね。それは今シーズンずっと感じていまいた。ただ、最終戦でノーウエイトのなかポールポジションを獲ることができました。そういうパフォーマンスをみせられたのは近づいている証拠だと思います。決勝も2番手で留まることができていたら、1号車とは大きな差はできなかったかもしれません。今年はまだ課題があると思いましたし、来年に向けてさらに飛躍できる準備をしていけたらいいな、と思っています」

2025年 SUPER GT 第8戦 motegi監督/立川 祐路
「今日は良い展開にもっていくことができませんでしたね。1周目にかわされて3番手になってしまいましたが、その後は悪くないペースで前についていくことができましたし、アンダーカットを狙いミニマムでピットインし、大湯選手に交代しましたが、チャンピオンを目指すために、上を目指すためにアウトラップを攻めてくれたので、コースアウトばかりは仕方ないと思います。守りにいく状況ではなかったので仕方がないです。その後はフラットスポットもできてしまいましたが、その中でよく耐えてくれたと思いますし、あれ以上抜かれてしまったらランキング3位にもなれませんでした。その頑張りは良かったと思います。今シーズン、石浦選手、大湯選手、チーム全員がすごく頑張ってくれて、ひさびさにチャンピオンを争うところまで来られたので、その点はすごくポジティブです。来年またチャレンジしたいですね。そして今回は石浦選手のラストレースでしたが、長い時間をともにした仲間のラストレースでした。自分がいちばん気楽に話せる相手でもありましたし、いなくなるのは寂しいところもありますが、違う場所でまた頑張ってくれると思いますので、応援したいと思います。そしてファンの皆さん、一年間応援ありがとうございました。最後は良いところをみせることはできませんでしたが、来年必ずリベンジしたいと思うので、引き続き応援よろしくお願いします」