2025年10月19日(日) 決勝
KeePer CERUMO GR SUPRA#38 石浦宏明/大湯 都史樹
決勝結果 4位
10月18日(土)の予選日は晴れから曇り、さらに公式予選では雨が強まるなど、不安定な天候となったSUPER GT第7戦オートポリス。そんななか、公式予選Q2では大湯都史樹が4番手につけ、2列目グリッドを獲得したTGR TEAM KeePer CERUMOは、10月19日(日)の決勝日に臨んだ。
不安定な天候は前日から続いており、この日も早朝のオートポリスには霧がかかり、曇り空が続いていた。午後1時10分から始まった3時間の決勝レースは気温22度/路面温度25度とドライコンディションの下で迎えたが、いつ雨が降り出してもおかしくない天候となっていた。
予選4番手という好位置を活かすべく臨んだKeePer CERUMO GR Supraのスタートドライバーを務めたのは大湯。スタート直後、やや加速が鈍った2番手スタートの#23 Z NISMO GT500にアウト側から並びかけていったが、1コーナーで5番手スタートの#12 Z NISMO GT500にヒットされるかたちでスピンを喫してしまった。
大湯はなんとかKeePer CERUMO GR Supraの体勢を立て直しコースに復帰したが、幸いGT300クラスの集団の前でコースに戻ることに。ややギャップは開いてしまったが、大湯はあきらめることなく前を追っていき、チームと無線で交信しながら、この逆境を活かす作戦を検討していった。ここでTGR TEAM KeePer CERUMOと大湯が導き出したのは、2回のピットインが義務づけられているなかで1回目のピットインを大幅に早め、アンダーカットを狙う作戦だ。
さらにTGR TEAM KeePer CERUMOにとって幸運だったのは、早い段階でセーフティカーが導入されたことだ。12周目、7番手を争っていた#64 CIVIC TYPE-R GTと#24 Z NISMO GT500が接触し、24 Z NISMO GT500がクラッシュ。この車両回収のため1回目のフルコースイエローからセーフティカーに切り替えられた。これで大湯は14番手ながら、上位とのギャップを縮めることに成功した。とはいえ僅差でもある。ペースとしては大きくジャンプアップが望めるわけではない。大湯は燃費とタイヤを護りながら、作戦遂行に備えた。
レースは17周目にリスタートを迎え、大湯と接触した#12 Z NISMO GT500がドライブスルーペナルティを消化したことでさらにひとつ順位を上げ13番手に。さらに#64 CIVIC TYPE-R GTのペナルティ消化にともない12番手に浮上すると、大湯は21周を終えてGT500クラスのなかで真っ先にピットに向かっていった。
TGR TEAM KeePer CERUMOは作戦を活かすべく迅速な作業を済ませ大湯を送り出すと、ライバルたちがピットに向かった後、作戦が功を奏しレース中盤を前にトップに立つことに成功した。ただ、ピットアウト後ずっと#19 GR Supraがテールにつけており、開始から1時間20分が近づく頃になると、ライバルたちが続々と後方から迫ってくることに。43周目から大湯を先頭とした熾烈な争いが展開されていくことになった。
大湯はたくみにレースペースをコントロールし、レースの半分を過ぎてもトップを守ったまま走り続けていった。この粘りの走りが奏功し、58周目、メインストレートでGT300車両がトラブルに見舞われているのを確認すると、チームはトップを守ったままの大湯をピットに呼び戻した。
ライバルも多くがピットインを行ったが、ピットアウト後、大湯からKeePer CERUMO GR Supraのステアリングを引き継いだ石浦は、#16 CIVIC TYPE-R GTの先行を許すことに。ただ、そんな中でも激しいポジション争いのなかでタイトル争いのライバルである#37 GR Supraをかわすと、#16 CIVIC TYPE-R GTを追った。ただ、ピットアウト後ハイペースで追い上げてきた#64 CIVIC TYPE-R GTには先行を許してしまうことに。KeePer CERUMO GR Supraはレース終盤、4番手でレースを戦っていった。
石浦は終盤、一時はペナルティで後退していた#19 GR Supraの接近を許したものの、安定したペースで4位を守り切りチェッカーを受けた。このレースでは終盤ランキング上位の#1 GR Supraがリタイアを喫したほか、KeePer CERUMO GR Supraはランキング上位陣を上回る順位でフィニッシュすることができた。これで最終戦は、9.5ポイント差でタイトルを見据え挑むことになる。
そして迎える第8戦もてぎは、石浦宏明にとってもGT500ラストレース。チャンピオンを目指し、そして石浦の最後の戦いを良いかたちで終えるべく、チームは一丸となって臨んでいく。
ドライバー/石浦 宏明
「1周目のアクシデントで厳しくなるかと思いましたが、オートポリスは以前にも最後尾から表彰台に立ったこともありますし、まだ分からないと逆に大胆な作戦を採ることになりましたが、早めのピットインで戦っていたら、トップにまで立つことができました。オートポリスはタイヤの落ち込みが大きいこともあり、フレッシュタイヤの威力が大きいのですが、そういうオートポリスらしいレースになりました。ポイントとしては、大湯選手が早めにピットインした組の後続を抑えることができたことで、それが最後に繋がったと思います。僕に交代してからは、給油時間がどうしてもかかってしまうので3番手になりましたが、64号車は戦える雰囲気もなかったので、自分たちのパフォーマンスとしては最善の結果になったと思います。終盤、うしろが速そうな印象もありましたが、トラフィックやギャップをうまくキープしたりするうちに、残り10周を切ってからは逆にうしろが離れるなど、粘ることができました。ベテランの技をみせることができましたし、19号車の阪口晴南選手とのバトルは楽しかったです。良い順位でしっかりレースができ、自分にとっての残り2レースで、良い仕事はできたのではないかと思います。GT500ラストイヤーでチャンピオンの権利を残して最終戦に臨めるのは嬉しいことです。あわよくばチャンピオンを獲って終わりたいですし、そういうチャンスをチームみんなでもって臨めるのは、今のチームの力の証明だと思います。最終戦も頑張ります」
ドライバー/大湯 都史樹
「1コーナーでのアクシデントについては、レースですからね。相手もわざとではないですから仕方ないです。そこから最後尾になりましたが、第1スティントでは追い上げることができました。ただ、前に追いついてみてから抜けないなと思ったので、燃費やタイヤを護る方向に切り替え、チームとやり取りしながら戦略をガラッと変えていく判断をしました。燃費をある程度稼げていたこともありピットインし、その後アウトラップもペース良く走ることができました。結果的にまさかのトップになりましたが(笑)、パフォーマンスとしては足りていない部分があったのかもしれませんね。その点は課題であり、反省点です。とはいえ第2スティントまでトップを守りきることができました。結果的に、トップを守ってきた恩恵がホンダ勢に味方することになり表彰台には届きませんでしたが、スタート直後に最後尾になってしまったことを考えると、良いレースにできたのではないかと思っています。チームみんながミスなく戦うことができましたし、作戦も決めることができました。石浦選手が19号車を抑えてくれましたしね。最終戦にギリギリチャンピオンの望みを繋げることもできました。最終戦は優勝はマストだと思っていますし、石浦さんのラストイヤーでのチャンピオンという華々しい一年にしたいと思います!」
監督/立川 祐路
「スタート直後の接触で大きく順位を落とすことになってしまったのは痛かったですが、その後戦略と展開に恵まれ、挽回することができました。結果的に4位となりましたが、第2スティントで大きくアンダーカットができ、トップまで立つことができたのは大きかったですね。中盤、大湯選手が耐えてくれたことも大きかったと思います。終盤も石浦選手が粘りの戦いをみせてくれました。表彰台を逃してしまったのは悔しいですが、チャンピオンシップでも最終戦に可能性を残すことができました。第8戦もてぎはまさに勝負のレースになると思いますので、良い結果で終わることができるように、チーム一丸となって頑張っていきたいと思います。今回も応援ありがとうございました」